「ずっと何も知らずに生きてきて、今思えばそれでよかったんです。ただ知ったからにはもう戻れないといいますか」 冒頭、貝塚陽太という人物が何者かに電話越しに話しながら彼が撮ったであろう“上ばかりを向いている映像”、鯉のぼりが“吊るされている”映像から始まる『魔法少女山田』(テレ東系)。全3話で構成された「TXQ FICTION」シリーズ第3弾の本作は、これまでのシリーズの中で最も生々しい作品だった。物語の内容を振り返りながら、何が“怖かった”のか考えていきたい。 ※本稿には『魔法少女山田』全3話分のネタバレが記載されています。 謎の歌の調査から浮き彫りになった、ある男の物語 本作は、貝塚という20歳の青年がたまたまラジオ番組で流れていた「唄うと死ぬ歌」を聴いた際、初めて聴いたはずなのになぜか歌詞もメロディーも全て覚えていることに疑問を持ち、これが何なのか調査し始めるところから物語が動き出す。そ