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ステレオラブ(Stereolab)が15年ぶりの最新アルバム『Instant Holograms On Metal Film』を発表。同作の日本盤ライナーノーツを執筆した天井潤之介に、バンドの歩みと15年ぶりの現在地を解説してもらった。 『Instant Holograms On Metal Film』フル試聴 初期作をめぐって──ミニマリズムと反復の美学 2009年に活動休止を発表したステレオラブが、2019年の活動再開に合わせて自身のレーベル〈Duophonic〉と〈Warp〉からスタートさせた一連のリイシュー・プロジェクトは、かれらの足跡を紐解き、そのレガシーの再評価を呼び起こす重要な契機となった。もちろん、活動休止の間/再開後も各メンバーは個々にさまざまな形で精力的に活動を展開していたが、オリジナル・アルバムから希少なコンピレーション作品まで網羅した膨大なアーカイブから立ち上がるス
左から、ブルース・スプリングスティーン、ドナルド・トランプ(Shirlaine Forrest/Getty Images; BRENDAN SMIALOWSKI/AFP/Getty Images) 米国時間5月19日(月)早朝。ホワイトハウス記者団の多くがまだ眠りの中にいる時間に、ドナルド・トランプ大統領は突然、歌手ブルース・スプリングスティーンへの“本格的な捜査”を政府に要求した。スプリングスティーンは2024年に副大統領カマラ・ハリスを支持し、公然とトランプを批判してきたアーティストの一人だ。 【画像】「共和党は大バカ者に乗っ取られた」批判するスプリングスティーン この前週の金曜、トランプはすでにスプリングスティーンに対して「口を閉じておくべきだ」と警告し、「アメリカに戻ってきたらどうなるか見てみようじゃないか」と脅しとも取れる発言をしていた。それにもかかわらず、スプリングスティーンは
今夏のフジロック出演も決定しているメイ・シモネス(Mei Semones)。自身のスタイルを「ジャズとボサノヴァにインスパイアされたインディーJ-POP」と形容する彼女の音楽は、さまざまな切り口から語ることができるはず。日本とアメリカのルーツ、デビュー・アルバム『Animaru』について語ってもらった前回の記事に続いて、ジャズ評論家・柳樂光隆によるインタビューをお届けする。 最近、個性的な若手のシンガーソングライターが次々に頭角を現している。その中でもメイ・シモネスはかなり独特で気になる存在だ。ミシガン州で生まれ育った彼女は、日本人の母を持ち、名前の漢字表記は「芽衣」。アルバムや楽曲のネーミングのみならず、歌詞にも日本語と英語が入り混じっている。そこから生み出される世界観は唯一無二だ。 ただ、彼女の個性はそれだけにとどまらない。バークリー音楽大学でジャズギターを学んだ彼女は、キャッチーな歌
スリープ・トークン(Sleep Token)の最新アルバム『Even in Arcadia』が大きな注目を集めている。Spotifyでは「Caramel」「Damocles」を含むシングル群が累計1億ストリーミングを突破。6月の米ダウンロード・フェスではグリーン・デイやKoRnと並んでヘッドライナーに抜擢され、北米ツアーも全公演ソールドアウト。2025年の最重要バンドとなったロンドン発・匿名ロック集団を、文筆家・ライターのつやちゃんが解説する。 新たな時代の到来だ。いま、ポップミュージックにおける大きな地殻変動が起きている。近年、しばしば語られる“メタルのポップ化”という言説──2020年のグラミー賞でブリング・ミー・ザ・ホライズンやアイ・プリヴェイル(I Prevail)が注目されて以降の、スピリットボックス(SPIRITBOX)やバッド・オーメンズ(Bad Omens)のバイラルヒット
中年ミュージシャンのNY通信、今回は舶来文化との付き合い方の話。長年の洋楽リスナーである私(担当編集)にもちょっと耳の痛い話が届いたので、みなさまと共有したいと思います。 ※この記事は2025年3月25日発売の『Rolling Stone JAPAN vol.28』内、「フロム・ジェントラル・パーク」に掲載されたものです。 アメリカに来て、はや9年が経ってしまいました。大学卒業から数えても4年ちょい、ステージの規模やギャラの水準はいまだ低空飛行から抜け出せず、もし私が親戚だったら、どっかのタイミングで見切りをつけて帰ってきたら? くらい言ってしまいそうです。というか私も自分にそんくらい思ってます(笑)。 それでも忘れかけたころになってギュッと成長の手ごたえが得られたりして、見切りをつけられずズルズルしがみついて、大統領が2度変わる程度には時間が流れました。生え際には白髪が目立つようになりま
2025年の第67回グラミー賞では、ジェイコブ・コリアー(Jacob Collier)の『Djesse Vol.4』が最優秀アルバム賞にノミネートされた。最終的に受賞したのはビヨンセだったが、これまでに15回ノミネートされ、7度の受賞歴を持つジェイコブの作品が、いわゆるポップ・アーティストとは一線を画す音楽性でありながら、主要部門に名を連ねるようになったのは注目すべきことだ。 『Djesse Vol.4』は、ジェイコブが2018年に始動した『Djesse(ジェシー)』シリーズの第4作であり、全4部作が揃って初めて完結する壮大なプロジェクトの最終章となる。当初、彼はこのラストピースについて相当悩んでいるように見えた。シングルのやライブ盤のリリースを挟みながら、方向性を模索している印象もあった。しかし最終的には、現代ゴスペルの重鎮カーク・フランクリン、コールドプレイのクリス・マーティン、スティ
パステルカラーの自由帳を開くと、24年間の思い出が束となって飛び出てくる。メイ・シモネス(Mei Semones)が自身初となるフルアルバム『Animaru』で描いたのは、彼女が感じた日常の中の「なんかいい感じ」だ。 バークリー音楽大学でジャズギターを学び、自身の楽曲ではボサノヴァやマスロックからの影響を取り入れながら、平易な日本語と英語で滔々と歌いかける。独特のスタイルは彼女の生活の多層性をそのまま反映したものであり、結果的に多くのリスナーの心を動かしている。昨年リリースのEP『Kabutomushi』に対し、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが「本当に美しいレコード」と賛辞を送るなど、その歌は言語や世代の壁を超えた支持を集めているようだ。 今作のジャケットを担当している日本人の母とアメリカ人の父、さらには双子の妹と共にミシガン州で育ったメイは、現在ブルックリンを拠点に音楽活動をし
左から、ピーター・フック、ジリアン・ギルバート、バーナード・サムナー、スティーヴン・モリス。1989年撮影(Photo by Bob Berg/Getty Images) ロックの殿堂は2025年の新たな殿堂入りアーティストとして、バッド・カンパニー、チャビー・チェッカー、ジョー・コッカー、シンディ・ローパー、アウトキャスト、サウンドガーデン、ザ・ホワイト・ストライプスを選出した。これに異を唱えるのが、ローリングストーン誌の名物ライター、ロブ・シェフィールド。彼は問いかける──「史上最も革新的なバンドのひとつを、なぜロックの殿堂は軽視し続けるのか?」 殿堂が、殿堂が、またしても私たちを引き裂く(the Hall will tear us apart)──。ロックの殿堂(Rock & Roll Hall of Fame)は2025年の新たな殿堂入りアーティストを発表し、ニュー・オーダーが今年
UKジャズ・シーンにおいて、エマ・ジーン・サックレイ(Emma-Jean Thackray)はひときわ特異なポジションを築いている。「UKジャズはダンス・ミュージックである」と多くのアーティストが語っているが、イギリス独自のクラブカルチャーとの結びつきをここまで強く感じさせる存在は他にいない。 彼女の音楽には、ハウスやディスコやレアグルーヴ、再評価が進むブリット・ファンク、ジャズ要素を含むニュージャズ(NuJazz)など、さまざまなダンス・ミュージックのエッセンスが息づいている。それに加えて、DJがダンスフロアでプレイしたくなるような機能性を備えた楽曲を制作できることも大きな強みだ。2021年の前作『Yellow』以来となる最新アルバム『Weirdo』が、ジャイルス・ピーターソン主宰のレーベル〈Brownswood〉からリリースされたのも大いに頷ける。 オーガニックな生演奏の魅力と、大胆な
パレスチナへの連帯メッセージを掲げた、アイルランドのラップグループKneecapがコーチェラに登場(Photo by Scott Dudelson/Getty Images) アイルランドのラップグループ、Kneecap(ニーキャップ)が、コーチェラでの物議を醸したパフォーマンスについて口を開いた。パレスチナ支持のメッセージをめぐる批判に応答し、シャロン・オズボーンの発言には「真剣に応答する価値すらない」とコメントしている。いったい何があったのか? Kneecapは政治的な発言を避けたことがなく、最近のコーチェラでのライブでもパレスチナを支持するメッセージを掲げたことで物議を醸した。ローリングストーン誌へのメールで、メンバーのMo Charaは、Kneecapは「2023年10月以前から、バンド結成以来すべてのライブでパレスチナについて語ってきた」とし、「パレスチナの抑圧と過酷な占領は77
HOME アーティストがオーガニックに活動を広げるために:経産省「New Music Accelerator」を運営するCANTEENのマネジメントから見えてきたもの 「クリエイター・エンタメスタートアップ創出事業費補助金」を活用した経済産業省による音楽分野のアーティスト支援プログラム「New Music Accelerator」が2025年3月31日に始動した。事務局として本プログラムの運営・企画を行うのは、2025年2月にぴあアリーナMMで初のアリーナ公演を成功させたTohjiをはじめ、ralphやkZm、Elle Teresa、JUMADIBAなど、現在のヒップホップシーンで最も勢いのあるアーティストのマネジメントや、日本でのBoiler Roomのオーガナイズなどでも知られるCANTEENだ。 CANTEENを率いる遠山啓一と米澤慎太朗にプログラムの全貌と、アーティストマネジメン
1995年生まれのヴィブラフォン奏者、ジョエル・ロス(Joel Ross)は、2020年に名門ブルーノートからのデビュー作『KingMaker』で一躍注目を集めた逸材だ。ミュージシャンの間でも評価は高く、ミシェル・ンデゲオチェロやマカヤ・マクレイヴンらの作品に起用され、瞬く間にシーンのキープレイヤーになった。 僕(柳樂光隆)は2020年代以降のジャズに関しては、イマニュエル・ウィルキンスやジョエル・ロスの世代が牽引していくのではないかと思っている。昨年、Rolling Stone Japanでイマニュエルに取材した際、彼は壮大でフィクショナルな物語を通じて、21世紀のアフリカ系アメリカ人としての音楽を形にしようとしていた。 ジョエルは2022年に『Parable of the Poet』、2024年に『nublues』を発表している。どちらのアルバムも、これまで耳にしてきたジャズとは一線を
Photo by Tasos Katopodis/Getty Images for SEIU; Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic 日本時間4月13日に開催されたコーチェラ・フェスの2日目。バーモント州選出のバーニー・サンダース上院議員が、クレイロのステージに先立ちサプライズ登場。砂漠のフェスに突如現れた政治活動家の言葉に、観客は一瞬どよめいた。 【動画を見る】バーニー・サンダースの演説、クレイロのステージ クレイロのステージに、観客が予想もしなかったゲストが現れた最初に登壇したのは、下院議員のマクスウェル・アレハンドロ・フロスト。「今は本当におかしな時代。だからこそ、今夜は特別な人を紹介します」と語り、サンダースを迎えた。サンダースは彼に感謝を述べ、「下院最年少メンバーにして、私の見解では最高の議員の一人」と賛辞を送った。 同日昼、サンダースとアレクサンドリア・
1960年代末のブラジルで発生した前衛芸術運動=トロピカリアは、ヒッピー・ムーブメントに代表される同時代の欧米のトレンドと共振しつつ、自国の伝統文化を時の軍事政権やグローバリズムへの抵抗の手段として用いるという特異な性質を有していた。 オズワルド・デ・アンドラーデが1920年代に発表した「食人宣言」に端を発し、ロックやフォークを巧みに飲み込みながら、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルなど時代に楔を打つ声が若者の中から高速で飛び出してきた、ごく短い季節。その主要人物たちは弾圧によりブラジル国外への亡命を余儀なくされ、1970年代のはじめにはムーブメントが沈静化したという見方が大勢を占めている。 それから半世紀以上が経過した現在。今もトロピカリアの精神は形を変えながら息づき、文化に新しい風を吹き込んでいる。フィリペ・カット(Filipe Catto)の言葉とアティチュードは、そう断言せざ
プロレスリング・ノアに稀代のダークヒーローが誕生する事件は、2025年の元日に日本武道館で起こった。それまでNOAHの若手選手のひとりだった小澤大嗣は、将来を期待される存在ではあったものの、海外遠征を経て練習中のケガによって欠場していた。しかし、2024年11月の愛知大会で当時のGHCヘビー級選手権王者であり、所属するユニットのリーダーであった清宮海斗の背後を手に持った松葉杖で急襲。衝撃のヒール転向を果たした。 【写真ギャラリー】OZAWAのスペシャルフォトセッション OZAWAとなった彼が口にしたのは、腐敗しているというプロレスリング・ノア内部に対する不満と、清宮の生々しいプライベート事情の暴露。どこまでがリアルで、どこまでがフィクションなのか、その境界線があまりにスリリングなOZAWAの言動にプロレス界が揺れた。そして、復帰戦でありながら、いきなりのタイトルマッチ、さらには日本武道館大
上原ひろみがHiromi’s Sonicwonder名義での最新アルバム『OUT THERE』をリリースした。長年続けてきたトリオを経て、アドリアン・フェロー(Ba)、アダム・オファリル(Tp)、ジーン・コイ(Dr)との新たな「バンド」を結成。2023年の前作『Sonicwonderland』とライブ活動が世界中で好評を博し、そのままの勢いで2作目が制作されたというわけだ。 1作目からこれまでの上原の作品とは異なるものが聴こえていたが、この2作目でも新たなチャレンジが聴こえてくる。全4曲・30分超の「OUT THERE」組曲を筆頭に、バンドメンバーたちの個性がそのまま反映されたような楽曲が多く、他の3人が上原を導いているようにも、上原がそれを引き出したようにも聴こえる。 またデビュー時からの人気曲で、過去にはSonicbloom名義でもセルフカバーしていた「XYZ」の再演があったり、ファン
昨年11月、ドナルド・トランプの当選をきっかけに、音楽ジャーナリズム一筋だった筆者は、これまで無視してきたヘヴィメタルの世界に飛び込んだ。そしてもう、後戻りするつもりはない。 時代の思想や出来事というのは、まるで天気のように音楽に影を落としたり、光を差し込んだりする。1967年の夏の盛り――サンフランシスコのHaight-Ashburyでは“サマー・オブ・ラブ”が花開き、ビートルズは『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』でサイケデリック文化を総括し、ほとんど神のような位置にまで押し上げていた。 まさにその頃、私は一枚のアルバムに出会った。『The Velvet Underground & Nico』。今でもおそらく、私の人生でいちばん好きなレコードだ。悲惨な喪失、凍てついた心、ハードドラッグ、荒々しいセックス。そんなテーマが次々と飛び出してくる。私は
ラブリーサマーちゃんの約5年ぶりとなるミニアルバム『Music For Walking (Out Of The Woods)』は、「健康と内省」をテーマとしている。コロナ禍に散歩が習慣となったことで、心身のバランスが整っていった彼女は、取材前日も「散歩に合う」というDOOPEESを聴きながら1時間ほど歩いたそうだ。 走るのではなく、ゆっくり歩くこと。誰かと競い合うのではなく、そのままの自分を肯定すること。『Music For Walking』を通じて、ラブサマちゃんは社会と向き合い、ありのままを曝け出し、「休めサボれ腐れ!」と勝利至上主義からのドロップアウトを表明しながら、「何のために音楽をやっているのか?」を見つめ直している。 卓越したメロディセンス、90年代ロックへの憧憬に満ちたサウンドを持ち味とし、シンガーソングライターとしてデビューを飾ってから早10年。ラブサマちゃんの楽曲には、い
エズラ・コレクティヴは昨年のマーキュリー・プライズに続き、今年のブリット・アワードで「グループ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。2010年代から注目されてきたロンドンのジャズ・シーンは、彼らの大躍進もあって、ひとつの頂点に達したと言えるだろう。 そんなエズラ・コレクティヴでの活動と並行して、早くからソロ活動も展開してきたのが鍵盤奏者のジョー・アーモン・ジョーンズ(Joe Armon-Jones)。2018年のデビュー作『Starting Today』、翌年の2作目『Turn To Clear View』とアルバムを重ねながら実験性を深めてきた彼が、ついに最新アルバム『All The Quiet Part.1』を発表した。この6年ぶりの新作は、6月リリース予定の『同 Part.2』と2部構成の大作となっている。 以前のインタビューでも語っていたように、彼は演奏のみならずダブ・ミックスにも自ら取り組
ジョージ・クリントンの宇宙規模のファンク・ビジョンが世界を変え、他に類を見ない音楽的マルチバースを生み出した。その全貌を体感するためのガイドがここに。 デトロイト出身の“狂人”でありドゥーワップのベテランでもあるジョージ・クリントンは、70年代に「ギター重視でロック路線」のファンカデリック(Funkadelic)と、「ダンスフロア直撃のブギー」を展開するパーラメント(Parliament)という、銀河系でも指折りのクレイジーな2つのバンドを率いていた。この二つを同時に成り立たせられたのは、クリントンのような天才だけだ。やがてパーラメント=ファンカデリック帝国(Pファンク)は一大現象となり、「アンクル・ジャム」ことクリントンが率いる超絶技巧のオールスターバンド――“宇宙から来た兄弟たち”が、ぶっ飛んだコンセプト・アルバムを次々とリリースしていく。そのビートは、後のヒップホップやダンス・ミュー
韓国のチョン・ジンヒ(Jeon Jin Hee/전진희)が2023年に発表したアルバム『Without Anyone Knowing(아무도 모르게)』は、個人的にその年もっとも耳を傾けた一枚だ。静謐なピアノと語りかけるような歌声で、彼女はリスナーの心に寄り添い、自身の内面と対話しながらパーソナルな物語を紡いでいる。 大学時代にジャズピアノを専攻した彼女は、2019年にソロピアノ作品集『Breathing』を発表。日記を綴るように感情の機微を描き出したこのアルバムには、「January」から「December」まで各月の名前を冠した、親密で透明感あふれる楽曲が並ぶ。今年1月には、その続編となる『Breathing II』もリリースされたばかりだ。 今年3月上旬、韓国のインディレーベル、SSE PROJECTから一通のメールが届いた。繊細で儚い作風で知られるシンガーソングライター、Damon
イギー・ポップ(Iggy Pop)がまもなく再来日。3月30日(日)に千葉・幕張メッセで開催される「PUNKSPRING 2025」にヘッドライナーとして出演。4月2日(水)には東京ガーデンシアターにて単独公演も開催される。パンク界のゴッドファーザーが残した武勇伝の数々を振り返ろう。 極端なやつはいる。伝説的なやつもいる。でもイギー・ポップはそのさらに先を行く。彼は過剰をアートに変えた。自傷行為、露出、自己破壊。彼の危険なまでのパフォーマンスは、観客に「反応」を求めた。参加しろ。さもなければ、そこからいなくなれ――そのセックスと暴力の宴は、ステージが終わっても止まらなかった。イギー・ポップが最も狂っていた瞬間を紹介しよう。 ※US版記事初出:2016年4月21日 Photo by Peter Hujar/Conde Nast/Getty 1. 『Little Caesar』の表紙でフルヌー
佐野元春が、デビュー45周年及び、活動を共にするTHE COYOTE BANDの結成20周年を記念したアルバム『HAYABUSA JET I』(ハヤブサジェット ファースト)を2025年3月12日に発売した。 「Youngbloods」に始まり「約束の橋」まで、これまで世に送り出してきた代表曲、大ヒット曲、ライブ定番曲等、“元春クラシックス”を新世代に向けて“再定義”した10曲を収録したアルバムだ。おなじみの人気曲のアレンジがガラリと変わっていたりタイトルが改題されているなど、思い切った変化を恐れることのない今作からは、安易なノスタルジーだけで終わることをよしとしないアーティスト・佐野元春の揺るぎないアティテュードが感じられる。全曲のことに触れながら、作品に込めた想いを訊かせてもらった。 ―『HAYABUSA JET I』は、これはもうオリジナル・ニューアルバムと言っていいんじゃないか、と
HOME Japanese Breakfastが語る「自分とは何か?」韓国での発見、音楽人生の新章、メランコリーの深層 2021年に出版された、亡くなった母の思い出と韓国文化とのつながりを、“食”を通じて探ったノンフィクション・エッセイ『Hマートで泣きながら(Crying in H Mart)』は、『ニューヨーク・タイムズ』を始めとした各種メディアで、その年のベストブックに選ばれた。同年リリースされた、ジャパニーズ・ブレックファスト(Japanese Breakfast)の3rdアルバム『Jubilee』は喪失の先にある再生や希望をテーマにした作品で、批評家からも高い評価を受けた転換作だった。音楽家、作家、バンドのフロントパーソンとして走り続けてきた、ミシェル・ザウナーは自身の成功を噛み締めつつも、ひとときの休息を求めていた。 2024年、ザウナーは母の祖国である韓国・ソウルに約1年間、滞
HOME tofubeatsが語る「ON&ON feat. Neibiss」 音楽文化に自分はどのように貢献できるのか? tofubeatsの新曲「ON&ON feat. Neibiss」を聴いた時、初期の代表曲「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」を思い出した。それは彼がインタビューでも公言している通り、昨年からクラブでのDJプレイを中心に据えた新たな活動フェーズに入ったことも関係しているだろう。なぜ彼は「ON&ON」(何度も何度も)と題されたパーティーチューンを制作したのか。昨年から今年にかけて開催された『tofubeats JAPAN TOUR 2024』を踏まえ、客演のNeibiss(hyunis1000 & ratiff)や自身と音楽との向き合い方について話してもらった。 自分1人で公演を成立させたい ー「ON&ON feat. Neibiss」のお話しの前に、5年ぶりとなった全
レディオヘッド再始動も噂されているなか、トム・ヨークと先駆的プロデューサーのマーク・プリチャードが手を組み、デュオとしてのデビュー・アルバム『Tall Tales』を〈Warp Records〉から5月9日にリリースする。4年にわたる秘密のコラボレーションについて、マークがその全貌を語った最新インタビューを前後編でお届けする。こちらは前編。 マーク・プリチャード&トム・ヨークの『Tall Tales』は、2020年、パンデミックの真っ只中に始まった。 レディオヘッドは2016年以来アルバムをリリースしていないが、バンドのフロントマンであるトム・ヨークは、ジョニー・グリーンウッドとジャズ・ドラマーのトム・スキナーとのバンド、ザ・スマイルで3枚の素晴らしいアルバムを制作し、このところ、スタジオでのクリエイティビティに並々ならぬ勢いを見せている。そして2020年以降、トムはベテランのエレクトロニ
今年の1月で82歳になったヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)が12年ぶりに来日。フェアウェルツアーの成功を祈りつつ、米ローリングストーン誌による1968年の秘蔵インタビューをお届けする。(序文:荒野政寿) “最後の来日公演”と銘打たれた今回のツアーは、3月26日(水)・27日(木)にビルボードライブ東京、さらに追加公演として4月1日(火)にビルボードライブ横浜、そして4月3日(木)に再びビルボードライブ東京という日程。3月26日・27日の東京公演のみ、スペシャルゲストとしてヴァン・ダイクと度々コラボしてきたイナラ・ジョージ(ザ・バード・アンド・ザ・ビー、リヴィング・シスターズ 他)が出演する。イナラの父が、ヴァン・ダイクがプロデューサーとして関わったリトル・フィートのロウエル・ジョージであることは、今さら言うまでもないだろう。 リトル・フィート「Sailin' Sho
鍵盤奏者のエリオット・ガルヴィン(Elliot Galvin)は、21世紀のUKジャズ・シーンが今日のような国際的評価を獲得する前から活躍してきた実力者だ。マーキュリー・プライズのノミネート経験もある英国屈指のグループ、ダイナソー(Dinosaur)の一員としても知られる彼は、エマ・ジーン・サックレイを筆頭に新世代からも広く起用され、UKの先鋭的ジャズレーベルEdition Recordsから発表してきた自身のリーダー作も本国で高い評価を得てきた。 エリオット(および彼周辺のミュージシャン)は、アメリカのコンテンポラリージャズやECM、クラシックや現代音楽の要素を取り入れつつ、ロックやエレクトロニック・ミュージックも吸収するハイブリッドな音楽性を特徴としてきた。Gearbox Recordsから発表された最新アルバム『The Ruin』においても、彼は独自のサウンドスケープを展開しながら新
HOME フレーミング・リップスが語る『Yoshimi』の真実、Corneliusとの邂逅、日本で知った「もっとマシな生き方」 10年ぶりに来日、3月26日(水)、27日(木)に東京・Zepp HanedaでCorneliusとダブルヘッダー公演を開催するザ・フレーミング・リップス(The Flaming Lips)。彼らが日本でCorneliusと共演するのは1999年の新宿リキッドルーム以来。しかも代表作のひとつである『Yoshimi Battles The Pink Robots』(2002年)の再現ライブを披露するという。これは事前に訊いておきたいことが多過ぎる……と考えていたところ、インタビューにはいつも協力的なフロントマンのウェイン・コインがオンライン取材に応じてくれることになった。 そもそも『Yoshimi Battles〜』のコンセプトは、フレーミング・リップスの面々がOO
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