腎不全の末期症状において、腎機能の代わりの役割を果たす透析療法。患者の家族となったノンフィクション作家がその出口で見たものとは――。社会からこぼれる問題を取り上げてきた2人が、医療の功罪について語った。 【写真を見る】堀川 惠子氏 約34万人。それだけの透析患者がいる日本は、人口比では世界第3位の「透析大国」だ。しかし、終末期の選択肢はかぎられており、その実情が取り上げられる機会は少ない。家族が透析患者になった顛末を著書『透析を止めた日』に綴ったノンフィクション作家・堀川惠子と気鋭の評論家・荻上チキの両氏が現状と問題点を語る。 ■「透析を止める」の選択肢の先 【荻上】堀川さんはこれまでノンフィクションの書き手として自身の露出は控えるポリシーだったそうですね。それが今回、なぜ、自分のことを含めて書くことになったのでしょうか。 【堀川】私の夫が長い間透析を受けていたんですね。体調がどんどん悪化