売上高が日本最大の農業協同組合「JA愛知みなみ」(愛知県田原市)で今年4月、満期のJA共済金350万円を着服したと見られる29歳の職員が自殺したことをきっかけに、農家の農協への不満が高まっている。地元紙は報じたが、農協は警察に被害届も出していなかった。 この程度の「事件」なら珍しくないが、農家の怒りが収まらないのは、同農協が債権回収を強化し、貸し剥がしをしているからだ。農業は天候に左右されるなど不安定な要素が多いため、返済も大目に見られることが多かったが、「最近は容赦なく土地を売って金を返せと迫り、今の農協に農業を育てる気などさらさらない」(同農協元幹部)。地元の農家は「協同組合だから皆で助け合う組織なのに、農協は自分さえよければよい保身の組織に堕している。こんな農協ならいらない」と怒る。 温暖な渥美半島に位置する田原市は農業産出額が全国1位。キクやキャベツ、ブロッコリーが全国でトップ。キ