久々の分析哲学の本でやや読むのに時間がかかりました。年とると、「難しかろうが何が何でも読み切る!」という気迫というか執念というかが薄れちゃってダメですね。 といっても、この本はそんなに難解な本ではない。「もっとわかりやすい例や説明があるだろう」と思う部分もありますが、著者の問題意識は一貫しています。 そして、そのチャーニアクの問題意識とは次のようなもの。 ここでの私の主要な仮説は、哲学に浸透しそこで暗黙のうちに仮定されてきた合理性という概念は、あまりに理想化されているので、まともな議論の対象となるような意味では現実の人間には適用できない、というものである。(6p) つまり、哲学の世界ではa=b,b=cならば、合理的な人間は常にa=cと判断するはずだと考えますし、a>b,b>cなら必ずa>cという選好を示すと考えます。 ところが、人間には記憶や計算量の限界があって必ずしもきちんと合理的には振