東日本の拘置所で長年勤務した元刑務官の70代男性は、1990年代に1度、複数人の死刑執行に携わった。担ったのは、執行の際に死刑囚の首に縄を巻く役割だ。男性はこう語る。「拘置所で勤務したら必ず通る道だと分かっていた。拒否権はない」 執行の際は当日の朝に任務を伝えられ、男性を含む5人の刑務官のほか、複数の職員が補助のために付き添った。死刑囚の首に縄を巻く「首掛け」を任され、順に複数人を執行した。 「死刑もやむを得ない」と考える人は、内閣府の調査で8割以上となっている。ただ、2022年7月を最後に、死刑の執行はない。執行とは実際、どういうものなのか。元刑務官や、元法務省幹部が取材に証言した。(共同通信=今村未生) ▽執行の詳細 執行に携わった男性は、現場での手順を次のように明かした。 縄の結び目は首の後ろではなく、必ず横に来るようにする。そうすると、苦しみが軽減するとされる。両足を縛る「足掛け」