戦後を代表する知識人、加藤周一さん(1919〜2008年)の蔵書や遺稿を収めた「加藤周一文庫」が4月1日、京都市北区の立命館大衣笠キャンパスの平井嘉一郎(かいちろう)記念図書館2階にオープンした。広範かつ深遠な思索をたどる拠点となりそうだ。 蔵書は加藤さんが所蔵していた書籍や雑誌など2万冊。宗教や哲学から映画、音楽まで幅広い分野を網羅、うち1万2000冊を開架し、貸し出しも行う。他に遺稿やノート、書簡など1万点を所蔵する。 文庫内には、加藤さん愛用の机と椅子、書棚、さらに17〜22歳に書かれたノート8冊を展示している。ノートには、日記や詩歌、スケッチ、小説の構想メモなどが英語やフランス語、ドイツ語も交えて記されており、多感な時期の思索の断片を示す貴重な資料になっている。「太平洋戦争」が始まった1941年12月8日の日記には<弾丸や飢えは僕を変へるであらう>などと書かれていた。 文庫の開設と