画像提供, Ukraine Presidential Press Service/EPA-EFE/Shutterstock
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2025年2月18日、サウジアラビアの首都リヤドで、米国とロシアの政府代表団による直接交渉が行われた。表向きの議題はウクライナ戦争の終結に向けた「和平交渉」だったが、最も重要な当事者であると主張するウクライナは交渉の場から排除された。この決定は、戦争の膠着状態と欧米の支援疲れを背景に、米露が現実的な解決策を模索し始めたことを示している。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、「我々抜きで和平を決めることはあり得ない」と強く反発したが、トランプ米大統領は「ウクライナは3年間も交渉の場にいたのだから、もっと早く戦争を終わらせることができたはずだ」と批判した。ロシアのプーチン大統領も、「ゼレンスキー大統領はもはや正当な指導者ではない」とみなし、ウクライナの新たな選挙を和平の前提条件として提示した。これに対し、ウクライナ政府は「戦時下での選挙は現実的でない」と反論し、ロシアの要求を拒否してきたが、米国
核兵器を増やす中国 米国政府がいま警戒の目を光らせている動きがある。それは習近平の主導のもと、中国の核戦力強化がいまだかつてないスケールで進んでいることだ。米国の情報機関によると、中国では核弾頭保有数を2030年までに現在の倍の1000発に増やす計画だという。 「習近平は、中国の核戦力を強化すれば、米国とその同盟国が中国の力を認めざるをえなくなり、中国の核心的利益を尊重するようになると考えているのです」 中国の核戦略をそう読み解くのは、シンクタンク「カーネギー国際平和基金」の研究員の趙通だ。 趙通は、中国と核兵器に関する優れた専門家である。趙通によると、中国政府はウクライナでの戦争を見て、学んだ教訓が一つあったという。それは核兵器を使うというプーチンの威嚇がロシアの安全保障を強化したことだ。 つまり、中国は将来、台湾との武力紛争が勃発したとき、米国の介入を阻止するため、核兵器を威嚇に用いる
ウクライナ東部ドネツク州の前線付近の陣地で休息するウクライナ兵。ウクライナはロシアを確実に疲弊させてきた=2024年12月12日(ロイター) ロシアによるウクライナ侵略の早期終結を掲げるトランプ次期米大統領は1月20日の新政権発足後、本格的にロシアとウクライナに停戦を働きかける見通しだ。仮に一部のウクライナ領の実効支配をロシアに認める条件で停戦が成立すれば、ロシアは一定の「勝利」を収める形となる。ただ、その場合でも、過去約3年間にわたる侵略戦争でロシアが払った代償は地政学、軍事、経済の全ての面で膨大で、差し引きで言えば大赤字が確実だ。 一部領土で実効支配を受忍もトランプ氏の停戦案の一部には、現在の前線を停戦ラインとして紛争を凍結させることが含まれているとされる。そうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は最近、北大西洋条約機構(NATO)からウクライナの安全が保証されるのであれば、占領下に
投資の世界でよく耳にする「地政学」。その要素をふんだんに取り入れた漫画が『紛争でしたら八田まで』(モーニングで連載中)です。 主人公の八田百合は“地政学リスクコンサルタント”として、世界各地で起こる問題をその土地の歴史や文化、宗教や民族といった視点から解決していきます。作者の田素弘さんに、この作品が誕生した経緯や、自身が心がけているニュースの見方について聞いてみました。 田舎で起きる不良の抗争から「地政学」を学ぶ ――本作品では、各国で起きるさまざまなトラブルに主人公が立ち向かいます。たとえばミャンマーでは、日系企業とその現地工場スタッフの対立、最新刊(16巻)のスウェーデン編では、住宅団地で起きているクルド人をはじめとした移民との問題がテーマになっていますよね。そもそもなぜ、このような漫画のアイデアが生まれたのでしょう。 田 最初から私が「こういう作品を描きたい」と思っていたわけではない
こっちが聞きたい。 3月13日 ウ米の交渉@サウジで「30日間停戦」合意が成った、あとは露がこれを飲むかどうか、という状況だそうだ。 安全の保証(さらなる露の侵略が確証的に予防されてあること)を停戦・和平の必須の条件としてきたウにとっては譲歩である。その代わりウは大きなものを得た。①停止されていた米の対ウ軍事および情報支援が即時再開される②ゼレンスキーの訪米・トランプとの会談にまた道が開けた(トランプが今回の合意を評価し再度のゼレンスキーとの会談に意欲を示した) 日本の一般報道のサンプルとして自分が摂取している朝日新聞も一面で大きく取り上げ明るいニュースという論調だ。 だが待て。ものごとをその真の名で呼ぶのはジャーナリズムの要諦である。トランプのいう戦争、停戦という言葉に報道は引っ張られ過ぎていないか。ウ露間の事象は一面で「戦争」であるが一面で「侵略(露による)」である。前者はそれが双方向
SNS上で私の中傷を続けていた茨城県警の元警部が、侮辱罪で略式起訴されたとの連絡に接し、まずは安堵しております(事件番号:令和6年検第2368号)。 元警部は、私を恒常的に中傷していた複数のアカウント(すでにその多くについては開示請求済です)とやり取りを行いながら、私に対する侮辱を繰り返していました。また、元警部が侮辱を書き込んでいた対象は私に留まらず、ロシアによる侵略に耐えるウクライナや、同国に心を寄せる人々、国際政治学者、私が勤務する筑波大学、そして中国や韓国等と言った隣国、さらに皇室に至るまで、多岐にわたっていました。報道にあった「バケモノ」や「ヒステリーババア」などの私に対する罵倒は、元警部による問題ある書き込みのほんの一部にすぎません。「醜い女に『醜い』と言っただけで刑事告訴するのか。言論の自由の弾圧だ」という趣旨の非難が私に向けられていることは承知していますが、そうした非難は今
ドナルド・トランプの復活か、あるいはカマラ・ハリスが米国史上初の女性大統領になれるのか――。 ドナルド・トランプ前大統領とカラマ・ハリス副大統領(写真/Getty Imagesより) 日本だけではなく、世界各国でもアメリカの熾烈な大統領選挙は日々メディアで取り上げられている。ニュースを斜め読みする限りだと、民主党のハリスがリードしているようだが、それは報道にバイアスがかかっているからだろうか? そこで、一般社団法人日本外交政策学会の理事長として「地政学講座」で教鞭を執るだけではなく、10月1日からは石破茂内閣の内閣官房参与として官邸入りした、安全保障、アメリカの政治、日米関係のプロフェッショナルである、元拓殖大学教授で国際政治学者の川上高司氏に、アメリカ大統領選挙報道の“見方”を聞いた。(インタビューは2024年9月22日に収録/一部修正しました) 著名人の応援よりも激戦州の獲得 ――11
48月24日で、ロシアがウクライナへ侵攻を開始して2年半が経過する。 このタイミングでロシアは第2次世界大戦後、初めてとなる外国軍によるロシア領土への本格的な侵攻を受けている。 にもかかわらず「国民の安全を守る強いリーダー」を自負するプーチン大統領は、ウクライナの攻撃について不自然なほど言及しない。 そして、ロシア国内でも避難者の状況を伝える報道は極端に少ない。 ウクライナが越境攻撃を加えているロシア西部クルスク州の国境地帯から300kmほど北東に位置するオリョール市。中心地の建物に支援物資が集められている ここに来れば、避難者の現状が何かわかるのではないか。 ウクライナが攻撃を始めて1週間後の8月13日。その現場を訪れた。 現場を監督している女性は当初、取材を許可してくれた。しかしほんの数分後、私たちは同じ女性により建物から追い出された。 「撮影をやめてください。今すぐに出て行って下さい
ウクライナ軍の越境攻撃によって制圧されたロシア領内クルスク州の町スジャ(2024年8月16日、写真:Ukrinform/アフロ) 2022年のロシアによる全面侵攻開始時、北東方面からウクライナの首都キーウを目指したロシア軍はスーミ市を攻撃しました。そのスーミ市に近いロシア領内の町スジャを中心として、ウクライナ軍は徐々に支配領域を広げています。戦況は、今のところウクライナ軍にとって順調と言えそうです。また、8月22日には、新たにブリャンスク州にも越境攻撃を開始したと報じられています。 越境攻撃が開始された時点では主に東部でウクライナ軍の苦境が伝えられていたこともあり、越境を疑問視し、その意図が理解できないという声も多く聞かれました。しかし、軍事的には十分過ぎるほど妥当性があるため、筆者は昨年からその可能性を考えていました。 根本的に戦略を変更するとしたら、ずいぶん前に、自分で言及しながらあえ
1.クルスク進攻で起きていること ウクライナは8月6日(ウクライナ大統領が認めたのは8月10日)に、ウクライナのスームィからロシア西部クルスク州に越境攻撃を開始した。 ウクライナ正規軍がロシア領内に進攻したのは、ロシア軍のウクライナ侵攻以来初めてのことだ。 ウクライナは当初、3個旅団、さらに3個旅団と1個砲兵旅団など、おそらく2万人近い兵力を投入している。 ウクライナのオレクサンドル・シルスキー総司令官によれば、クルスク進攻の戦果は8月12日、制圧地域が1000平方キロ、74の居住区になったとしている。 ウクライナ軍はすでに制圧した地域において、塹壕を掘り始めている。 ロシア軍の反撃を受けた場合に、防御態勢を作り、反撃をくい止めることを考えているのだ。 つまり、占拠した地域からは撤退しないで、長期間確保する狙いなのである。 図 ウクライナ軍によるクルスク進攻と占拠地域(青:ウクライナ占拠)
妻の郷里であるオデッサ州の某村にひと夏里帰りした。その日記。(※完結済み) 期間:2024年7月14~22日(移動日含まず) 登場人物:私、妻、太郎(4歳児)、義父母、義兄 ※渡航の経緯については「盗む」の記事参照 7月15日 ウクライナは異常な暑気に見舞われている。これ書いてる今は15日の正午だが玄関の水銀柱は38度を指す。オデッサの緯度が北海道・稚内と同じであることを思え。 わたしの当地入りは昨14日昼で、妻と子に遅れること七日。この時間差は、妻としては帰郷するからには二週間くらいはゆっくりしたい、が私は仕事をそんなに休めない、それで妻と子を先に行かせる(帰りは一緒に帰る)という選択をした。 妻と子のウクライナ入りの日の前日にゼレンスキーがオデッサを電撃訪問していて、ゼレの陸上の移動経路と妻らの動線が重なる可能性があり、その日は大変に気を揉んだ。また、私の到着は本当は一昨日の夜のはずだ
私は明日の朝、早朝の電車に乗って都内のホテルに行き、「ヨーロッパからみた中国」について話をしないといけないので早く寝たほうがいいのですが、明日の話に絶対欠かせない展開をハンガリーのオルバン首相が作って下さったため、泣きながらまとめています。 こんな夜遅くに誰も私のマニアックなnoteなんて読んでいないとは思うのですが、せっかくなのでまとめのごく一部をお裾分けとしておいておきます。 (トップ画像は、華春瑩外務次官の手にうやうやしくキスをしようとするオルバンです。動画のこの瞬間をスクショするの、とても苦労しました。 …いや私、なにやってるんでしょ…) まずは「平和の使者」を自らを位置づける、オルバン首相の肉声(およそ3時間前にXで公開)を聞いてみましょう。 President Xi made it clear to me today that #China will continue its
5月7日、モスクワのクレムリンで就任宣誓をするロシアのプーチン大統領(ロシア大統領府提供・AP=共同) ウクライナ侵略を続けるロシアと中国の貿易関係に異変が起きている。ロシアの軍需産業を支援しているとみなした海外の銀行に対し、米国が新たな制裁を科す方針を昨年末に発表したことを受け、影響を懸念した中国の銀行が次々と対露ビジネスから手を引き始めているためだ。中国との経済関係は、ロシアにとって命綱ともいえる存在で、5月中旬に実施された露中首脳会談でのプーチン大統領の発言にも、対応に苦慮している現状がうかがえた。ロシアはこれまでも制裁回避を繰り返してきただけに、どこまでの効果が生まれるか注目される。 海外の金融機関を対象「第三国の経済活動に対する制裁は極めて不当なものだ」。5月17日、中国・ハルビンで行われた会見でのプーチン氏の発言には、新たな制裁による影響への懸念がにじんだ。「政府レベルで支援す
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