新宿区の下落合や(城)下町の人々を中心に、街角の物語を想いにまかせて綴っています。 主題は「わたしの落合町誌」。記事の利用につきましては一報いただければ幸いです。 コンテンツの無断使用は、ご遠慮ください。 竹久夢二が、愛人の笠井彦乃と逢瀬を重ねるため、人目につかないようひそかに下落合で暮らしていたことは、ほとんど知られていない。日本橋の西河岸延命地蔵Click!の裏に開店し、離婚の話し合いが進む妻・たまきに経営をまかせていた「港屋絵草紙店」を飛び出して、彦乃との本格的な同棲生活が始められるよう、夢二はまず目白駅の外側、下落合に仮住まいを探した。そして、この仮住まいで夢二と彦乃は結ばれている。 1915年(大正4)の春、夢二が借りた下落合の家がどのあたりだったのか、はっきりとはわからない。下落合に住んだ夢二は、わずらわしい外界とのコミュニケーションを断つかのように、笠井彦乃との甘い生活に没入