弁護士法はその第1条で「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と定めている。一般に弁護士の仕事は、単に裁判で弁護を引き受けた依頼人の利益をマキシマムに追求獲得し、権利の実現に尽力貢献することだと考えられていて、今回の問題でもそのような皮相的な理解が横行しているように見えるが、無論、それは弁護士の使命を見失った誤った認識である。弁護士の使命は二つ、人権の擁護と正義の実現である。今回の安田好弘と足立修一の問題は、二人が被告人の人権の擁護にのみ妄執狂奔して、正義を実現する弁護士の使命を忘れ、無視逸脱していることである。ところで、この社会正義の実現は、弁護士が単独に負う使命ではなく、司法に携わる者の全てが等しく使命として受け持つものである。したがって刑事裁判は、裁判官と検察官と弁護士の三者が共同の作業で社会正義を実現するものであり、単に対立する二者と判定者で勝ち負けのゲ