文/後藤雅洋 ジャズの楽しさをもっともわかりやすく伝えてくれるミュージシャン、それが多くのファンに愛されたピアニスト、オスカー・ピーターソンです。 私もジャズを聴き始めたばかりのころ、彼の演奏を観ていっぺんでジャズの魅力に取りつかれました。心地よいリズムに乗った華麗な演奏テクニック。そして何より、ジャズだけがもつ独特の快適なスイング感が、ピーターソンのピアノからはダイレクトに伝わってきたのです。 このように多くのファンに親しまれているピーターソンですが、彼の演奏スタイルはバド・パウエルやビル・エヴァンスといった、同じように偉大なジャズ・ピアニストたちとは微妙に異なっていることを知ったのは、だいぶ経ってからのことでした。 といっても、ピーターソンのピアノ・スタイルはけっして異端ではありません。彼の奏法は深くジャズ・ピアノの伝統と結びついているのです。だからこそ、私を含め多くのファンは、ピータ