5月14日、グランドプリンスホテル新高輪。 Jリーグ25周年を記念したイベントの控室に、”神様”は現れた。ブラジル代表史上に残るスーパースターにして、元日本代表監督、ジーコさんその人だ。 久保竜彦のことを取り上げたい。 そんな取材の趣旨を伝えると、深々とうなずいた。 しばらく考え込んだ後、「本当に、最後まで悩みました」と切り出す。 ちょうど12年前。同じ5月14日。 ドイツW杯の日本代表メンバー発表会見を翌日に控え、代表監督のジーコさんはなおも悩んでいた。 「あれだけの逸材を、世界に披露できなくなる。そんな結論を、自分で下さなければならなかった」 切なそうに、ため息をつく。 「大事な大会前にけが人が出て、チーム構想を練り直す必要に迫られる。そういう事態は、サッカーには付きもの。そう納得しようとしたけど、やはり残念だった。そして、あれから12年が経ちますが、いまだに残念に思います」