ヨルバの王「オニ」の頭をかたどったブロンズ像。12~15世紀ごろ。ナイジェリア国立イフェ博物館蔵。(ANDREA JEMOLO/SCALA, FLORENCE) アフリカの民族ヨルバ人が、神々が創造し、人類が発祥した聖なる地と信じている場所がある。イフェだ。 ナイジェリア最大の都市ラゴスの200キロ北東に位置するこのイフェで、20世紀前半、考古学者が古代の頭像を発見し、ヨルバ文化の豊かな歴史に光を当てた。 素材は金属だったり素焼きだったりと様々だが、頭像は正確に左右対称であるのが特徴だ。顔には線や模様が施され、髪形も精巧に作られており、いずれも堂々とした威厳を感じさせる。 しかし、ヨルバ人にとって頭部がいかに重要かを、1910年にこれらの像を初めて見たドイツの民族学者レオ・フロベニウスは知らなかった。頭像の起源についての彼の説は、凝り固まった人種差別的な考えに基づいていたものの、彼がヨルバ