国際社会が躍動感に満ちた過去30年 前回解説したように、デジタル化の波に乗った生産性向上は、技術への投資と無形資産への投資(仕組みの見直し)が一体となって実現する。先陣を切ってこの波に乗り、ニュー・エコノミーを実現したのは1990年代の米国経済だ。 多くの実証研究によって、米国経済がデジタル技術への投資で生産性を再加速させ、高い成長を実現したと実証されている。見落としてはならないのは、デジタル化の波は冷戦終結に伴う「平和の配当」の中で世界に広がったことだ。 ヒト、モノ、カネなどの経済資源が国防関連から民間のハイテク分野へとシフトする中、旧社会主義圏が市場経済に移行したことで、人口比で2割程度にすぎなかった西側の市場経済圏が一気にグローバル規模に広がった。 すり合わせ型のアナログ製品とは異なり、モジュール構造のデジタル財は、グローバルな分業になじみやすい。新たに市場化した経済圏の安くて豊富な