(文:清水 克行) 私自身もそうだが、東日本に生まれ育った者ならば、誰しも納豆については、大なり小なり一家言あるのではないだろうか。関西人から納豆はダメだという話を聞くたびに、心のなかで密かにその味覚の狭隘さを哀れむし、たまに外国人で納豆が食べられるという人に出会うと、「なかなかやるじゃないか」と、急に親しみを覚えたりする。 その根底には、あのニオイとネバリの良さが、そう簡単によそ者にわかってたまるか、という思いがある。納豆はクセがあるだけに、他の食べ物と違って、それを好む者同士の連帯感や自尊心をつねに複雑にくすぐるもののようだ。 打ち砕かれる私たちの納豆に対する既成概念 ミャンマーの奥地でアヘン栽培に携わり、西南シルクロードの密林を象で縦断、ソマリアで氏族紛争や海賊の現場を取材するなどして数々の“レジェンド”を築いたノンフィクション作家・高野秀行の最新作『謎のアジア納豆 そして帰ってきた
カンボジア北西部、タイとの国境の街ポイペト。カンボジアとタイをつなぐ主たる陸の玄関口とはいえ、普段はカジノを楽しみに来るタイ人や陸路を旅するバックパッカー集団が通る程度の小さな国境の街である。 その小さな国境検問所に、6月中旬から7月にかけてカンボジア人が殺到、その数は2週間程度の間に20万人をゆうに超えたとも言われる。2006年9月以来となるタイのクーデター勃発の影響により、タイから逃げ戻るカンボジア人が大挙して国境に押し寄せる事態となったのだ。 8年ぶり19回目と、ある意味“クーデター慣れ”していると揶揄されるタイ国内では、前回の反政府デモの際の空港封鎖のような大きな混乱を招く事態にまでは発展しないまま今日に至る。 だが、意外なところで直接あおりを受けたのが、6月28日に隣国カンボジアの首都にグランドオープンした「イオンモールプノンペン」だ。 タイのクーデターでアジア最大規模のイオンモ
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