「事項要求」そして「補正回し」。私たちの税金が使われる国の予算編成の現場で、最近、耳にすることばです。この2つ、日本の財政が膨張を続ける要因になっているという指摘も出ています。ことしも8月末に概算要求が締め切られ、来年度の予算編成作業が始まりました。先進国で最悪の財政状況とされる日本の予算編成で、今、何が起きているのでしょうか。 (経済部財務省担当記者 横山太一)
今年二月に森喜朗元首相が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの女性蔑視発言が原因で五輪組織委員会の会長を辞任したことは記憶に新しいが、近年、このようなシニア世代の「暴走」を目にする機会が増えている。 つい先日も、森氏と同じく80代であるDHCの吉田嘉明会長が、兼ねてより氏が繰り返している在日コリアンへの差別発言を番組で取り上げたNHKに対して、「NHKは日本の敵です。不要です。つぶしましょう」などの信じがたい声明を出したことに、多くの批判が集まった。 森氏や吉田氏の発言そのものも驚くべきものであるが、私が最も危機感を覚えるのは、このような「暴走」に自分自身で気づくことすらできないレベルで時代遅れの価値観にとらわれた人たちが、政治にしても企業にしてもリーダーという立場に居座り続けているという「世代循環」の問題だ。 世代循環の遮断。日本社会の未来を左右するこの問題は、政治や企業
「寄付2億円」の原動力「『憲法の重要性』とか『立憲主義』みたいな話って、多くの方には残念ながら、響かないと思うんですよね。目の前の生活でそれどころじゃない。今月を乗り切れるかどうか。それなら野党は、こうやって皆さんの暮らしを楽にします、と提案できなきゃ。 第二次安倍政権が誕生してから、野党が今日まで負け続けてきた理由は、経済政策が弱すぎたこと。そこに尽きると思う。 なぜなら、例えば与野党が安保法制や特定秘密保護法で激しく対立した時、世論調査では『自民党、ちょっとやり過ぎだよね』という答えが圧倒的に多かったわけです。そんなことが何度もあったにもかかわらず、6年間の間に5回選挙をやって、すべて野党は負けたわけですよね。その現実と向き合わなきゃならないですよ。 理由は何か。野党はよく財政再建、財政規律と言いますよね。ですが、それを実際にやろうとすると何が起こるかと言ったら、財政カットと増税がセッ
国民民主党は13日、7月の参院選の公約を発表した。子育て支援の拡大や賃貸住宅に住む世帯への月1万円の家賃補助など家計への経済支援を打ち出した。公約のタイトルは「新しい答え2019」。玉木雄一郎代表は記者会見で「アベノミクスの恩恵が家計に及ぼす消費が低迷している。今こそ家計を豊かにしていく」と述べた。 児童手当は年齢の上限を15歳から18歳に引き上げる。対象年齢などにかかわらず一律で月1万5千円を支給する。家賃補助は年収500万円以下の世帯を対象とする。最低賃金は「全国どこでも1千円以上を早期に実現」とした。 地域活性化策では、高速道路料金は「土日祝日は1千円、平日は2千円」を上限とし、乗合タクシーやコミュニティーバスの普及を支援する。 10月の消費増税には「消費拡大による景気回復を十分に果たさなければ消費税引き上げを行うべきではない」と反対している。 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の同県
やっぱり日本のメディアは報じないが…消費税増税の外堀がさらに埋められた。安倍総理は、15日の臨時閣議で、来年10月に予定している消費税率10%への引き上げに備えた対策を早急に講じるよう指示する。この臨時閣議は、首相が16日から訪欧するために開催されるもので、西日本豪雨や北海道地震の災害復旧費などを盛り込んだ平成30年度補正予算案が決定される。 消費増税の足音が近づいてきているが、前回の本コラム(「消費増税で国民に負担を強いる前に、政府がいますぐにやるべきこと こんな順番では納得できない」 https://gendai.media/articles/-/57879)では、消費増税前に、政府保有株の売却などやるべきことがあると指摘した。 今回は、その続きの一つとして、IMF(国際通貨基金)が公表した重要なレポートを紹介しよう。先週も指摘したように、IMFは財務省出向職員が仕切っている側面もあり
自民党総裁選の共同記者会見で安倍総理大臣は「消費税は予定どおり引き上げていきたい。今までは5分の4が借金の返済に使われていたが、今度は、半分が子どもたちの教育に使われる。しっかりと前回3%上げた時の反動減をよく学んで、対応していきたい。自動車や住宅の消費を喚起する、あるいは商店街などの売り上げに悪い影響がないよう、きめこまやかな対応をしていきたい」と述べました。 安倍総理大臣は「私は現職であり、この6年間のリーダーシップの在り方や、経済政策、外交・内政全般について評価をいただくことになるので しっかり説明していきたい。6年前の選挙では、私は党員票で石破氏の半分であり、いわばチャレンジャーの立場だ。あの時いただいた票を1票でも増やし、与えられたルールの中で勝利をおさめたい」と述べました。
消費増税が再延期されることになった。 諸般の状況から見て、やむを得ない決断だったと思う。 私は首相の決断を支持する。 が、手続きというのか、持っていき方というのか、事情説明の方法というのか、ともかくこの半月ほどの間に起こっている一連の経緯には納得していない。 当件については、今年の3月の段階で増税の延期が話題になった時に、以下のような感想をツイッター上に書き込んでいる。 《個人的には消費税10%の再延期には賛成だけど、この決断を国民へのプレゼントみたいに報じてはいけない。再延期はアベノミクスの失敗を認めることとワンセットだと思う。方針を転換するならするで、これまで国民に言っていた説明が間違っていたことを認めた上でないとスジが通らない。(こちら)》 あらためて説明するまでもない話だ。 前回の総選挙の折り、安倍首相は、消費増税の延期を争点のひとつとして挙げて「信を問う」旨を強調していた。「再延
(前回からの続き) 歳出の抑制と言うと、いつも、やり玉に挙げられるのは社会保障だが、これから最も重要になるのは、地方交付税交付金の削減である。交付税は2007年度から4年で2.2兆円も拡大した。これは、地方がムダ使いをしているわけではなくて、リーマン・ショック以降、地方税が大きく落ち込み、それを補填せざるを得なかったためだ。 現在、アベノミクスによって、法人税を中心に国の税収が急増している。それは地方税にも言えることである。地方税が増えれば、交付税の補填を減らせるのだから、国の歳出を削ることができる。それは、痛みを伴う社会保障の抑制より、遥かに容易なことだ。もっとも、地方についても、高齢化に伴う歳出の自然増は認める必要はあるにしても。 それでは、地方税はどのくらい増えるのか。大まかな計算だが、今年度は、当初の地方財政計画を7000億円ほど上回るのではないかと見ている。また、このまま好調に推
4/4の日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が「バズーカ砲」とも例えられた大規模な「量的・質的金融緩和」を決定した後、円相場は1ドル100円の壁を突破する円安となり、日経平均株価は15000円を超えました。*1 この現象を資産だけが高騰するバブルだと言っている人もいるようですが、機械受注が伸びているという報道もあり、実体経済にも影響が及び始めたようです。 アベノミクスの「第一の矢」である金融政策は、着実にその効果を発揮しつつあるようです。 [東京 17日 ロイター] 内閣府が17日に発表した3月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は2カ月連続で増加、伸び率は比較可能な2005年4月以降で過去最大となった。 製造業、非製造業ともに大型案件が増え、年度末要因に加え円安による企業活動の活発化が奏功した可能性がある。外需も5割近い増加となり、多数の
2024年度修了生・卒業生 国土交通省 JT(日本たばこ産業) 2023年度修了生・卒業生 ゴールドマン・サックス証券株式会社 独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT) NEXCO西日本 アクセンチュア株式会社 株式会社DeMiA 2022年度修了生・卒業生 ベイン・アンド・カンパニー 三井住友海上火災保険株式会社 日本アイ・ビー・エム株式会社 ゴールドマン・サックス証券株式会社 株式会社パスコ 関西化工株式会社 2021年度修了生・卒業生 東洋経済新報社 NTTドコモ 公正取引委員会 2020年度修了生・卒業生 システム科学研究所 名古屋鉄道 京王電鉄 関西電力 中央復建コンサルタンツ 阪急阪神ホールディングス 2019年度修了生・卒業生 JR西日本 国土交通省 大塚商会 新日本コンサルタンツ JPモルガン 2018年度修了生・卒業生 国土交通省 中央復建コンサルタンツ
1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス 国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。 バックナンバー一覧 3月のロンドン・ケンブリッジでの「消費税」についての講演がdiscussion paperとして公開されることになった。正式に公開されるのは数日後だが、先行して紹介したい。今、旬なテーマであり、世界中からのアクセスを期待している。 野田佳彦首相と小沢一郎民主党元代表が2度にわたって会談した。野田首相は、年金、医療など膨張する社会保障費を賄う安定
今月8日、エズラ・クラインがオバマ政権の経済危機対応を振り返る記事を書いた。以下、各人の反応。 デロング サスキンド本*1よりずっと良い。確かに特効薬的な政策は存在しなかったかもしれないが、小規模や中規模の政策――それらの中には今も実行可能なものがある――を積み重ねていけば、また違った結果になっていただろう。 ケビン・ドラム 非常に優れた記事。オバマ政権は良くやったのではないか。70−80%の出来と言えるだろう。住宅問題は最大の失敗だったが、それについては、「無分別な」借り手を救済することへの納税者と議会の抵抗が、多くの評論家が指摘する以上の大きな制約となった。大不況への適切な対処の失敗は、オバマ政権のせいというよりは、いざ経済危機に直面した時に必要なだけの政策を投入する度胸を欠いてしまう、という人間の本質に根差すもの*2。 スティーブ・ワルドマン オバマ政権への評価が甘い。問題は銭金では
日本経済新聞の電子版。「ビジネス」に関する最新のニュースをお届けします。
今から1週間前の5月16日、米国政府の債務は法律で定められている上限の14兆3000億ドルに達した。歳出が歳入を大きく上回っている状況にあって、政府は上限を突破する事態を防ぐために「異例の措置」を取り始めた。 財務省によると、政府は8月初めまでは、例えば連邦政府の退職者・障害者向け基金への支払いを一時停止したりして会計を操作し、第三者に対する債務の増加を食い止められる。 だが、8月2日にはそうした選択肢が尽き、「第2案」は存在しないと政権は話している。そうなれば、政府はデフォルト(債務不履行)する。 政府のデフォルトは恐ろしいことだと思うかもしれないが、ワシントンはこれを平然と受け止めている。5月16日の期限は何カ月も前から話題になっていたにもかかわらず、予算協議にそれと分かるような圧力をかけることはなかった。議会はそれが存在しないかのように、期限をやり過ごした。 現在は、新たな「本当の」
官庁エコノミストのブログやwrong, rogue and booklogで取り上げられているが、ニッセイ基礎研究所が今回の税制改正の家計への影響をシミュレートしたレポートを出している。そこでは3つのケースについてシミュレーションを行い、いずれのケースでも2010年から2011年に掛けて低所得者層の可処分所得が増加する一方、高所得者層の可処分所得が減少すると報告している。これは、高所得者層の負担が重い、という今回の税制改正に対する一般的な批判と整合的な結果である。 そのシミュレーションで可処分所得の変化を生み出している主な要因は、子ども手当満額支給*1というプラス要因と、扶養控除廃止による所得税増額というマイナス要因の2つである。前者が所得によらず一定額なのに対し、後者は累進的な所得税に比例して効いてくるので、シミュレーションの結果はある意味当然と言える。 ただ、レポートでは絶対額でグラフ
○非伝統的な政策が失敗に終わった場合にFed(あるいは中銀)の権限が侵害されるのではないかという恐れ(独立性の罠)→失敗の過大視→慎重すぎる態度→政策当局者の"bias toward caution"→too little, too lateな政策→政策の効果出ず→マクロ経済政策(財政刺激策、金融緩和策)に対する国民の疑いの目="political trap" ◇"political trap"→マクロ経済政策に対する国民・一部専門家の不信(「マクロ経済政策なんて無効だ」)→政策スタンスの現状維持、政策当局による様子見(wait and see)戦略の容認 (最悪ケース) ◇"political trap"→マクロ経済政策に対する国民・一部専門家の不信(「マクロ経済政策なんて無効だ」)→不況下における財政緊縮、金融引き締めに対する国民の賛同=清算主義に対する広い支持→不況下における財政緊縮
今から数年前、英国が歴史の流れを変えたように見えた時があった。強国としては中程度の国だった英国は、大英帝国に幕が下りて以来、概して手に入れられなかった自信と立ち位置を取り戻した。 経済は開放的で、活気に満ち、競争力があった。ロンドンは金融サービス業の世界の中心地として、また、世界の新興大国で新たに富を手にした人々の第2の住まいとして賑わった。トニー・ブレア氏率いる中道左派政権は、潤沢な税収を使って国の公的部門を立て直し、刷新した。 何より重要なのは、英国が一見矛盾する2つのこと、つまり、金持ちがどんどん金持ちになる自由市場経済と、近代的で財源が豊富な公共サービスと福祉とを両立させられたことだった。熱心な移民には門戸が開かれ、大学は全盛を極めた。国内での成功に伴い、国外でのステータスも手に入り、英国は再び、世界の最重要国の仲間入りを果たした。 もちろん、問題はあった。イラク戦争でブレア氏の名
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