「令和の米騒動」からほぼ半年たつ。コメの生産を抑える減反政策は続き、米価は高止まりしたままだ。「コメは余っている」と政府は繰り返すが、本当だろうか。農業問題に詳しい東京大大学院の鈴木宣弘・特任教授は「今こそ食糧安全保障の強化が求められるのに、コメ政策は逆行している」と訴える。行政の「罪」が浮かび上がる。【聞き手・宇田川恵】 政府の認識は誤り、生産が減りすぎだ ――昨夏の米騒動をどう振り返りますか。 騒動の最大の要因は、コメの生産が減りすぎていることです。それは「コメは余っている」という政府の認識自体が間違っているからです。 あれほどのコメ不足となったのに、しかも米価は今も高いままだというのに、農林水産省は「コメの需要は減少傾向にある」と言い続け、「とにかくコメは作るな」と農家に減反を迫っています。需要は年約10万トン減るから、それに合わせて生産を抑えようというのです。 実際、農水省は昨年1