戦後刑事法学の礎を築き、最高裁判事としては人権尊重の「リベラル派」としても知られた団藤重光さんが25日、98歳で亡くなった。新憲法下の学界における「重鎮」の訃報に、法学者や法曹界から悼む声が相次いだ。 「正に『巨星おつ』の思い」。東大刑事法学の教壇を引き継いだ松尾浩也・東大名誉教授は師をしのんだ。 団藤さんは戦後、30代でGHQ(連合国軍総司令部)の指示により新憲法制定に伴う刑事訴訟法策定に関与し「刑訴法の生みの親」と呼ばれた。刑事法学会のリーダーを長く務め、現在の刑事法学者にも門下生は多い。松尾さんは「日本を代表する学者として活動し、学会が成長しても常に先頭にいた」と振り返る。「趣味も多彩。歌舞伎やチャプリンの映画に連れて行っていただいた。自宅の庭ではバラを育てていた」と懐かしんだ。