はてなキーワード: 洗面所とは
先日、恥ずかしながら男性とお酒を飲んでいる時に泥酔してしまった。
完全に自分が非がある、とも言いにくい、としておきたい。
というのも、その男性はそこそこ長くの付き合いがあり、どれくらい私が酒が弱いか、等把握しているので。
話を戻します。
店でコカボムを飲んだところまでは覚えている。そこからの記憶が無い。
目が覚めたら全くしらないホテルの一室だった。
ハアーーーーー ラブホ?馬鹿じゃねぇの……と思うと同時に泥酔して家まで連れていけなかったか……そりゃ申し訳ないわ……
とか思ったの一瞬だった。なんでブラ着てないんだ?なんで服脱げてんの自分
いやクッソ頭いて~~頭痛いだけでドスケベな事した形跡はないな……(股に違和感ないので)
と思いながらベッドの方見たら男がパンイチでねころがってんだわ。
え?ヤるき満々じゃん。
いや帰りたいし寝ますけど……と部屋の隅に座って目に着いた服を脱ぐけど、それも脱がされる。
泥酔した自分が悪い。いい年して馬鹿みたいな飲み方して意識も記憶も飛ばす方がわるい。
だとしても、私の家を知っているのに家までなぜ届けず、家の近くのラブホに行くのか。
チンポが勝ったのか?やはり男はチンポに脳みそがあるのか?
泥酔して意識がない女性をラブホへ連れていって、介抱の範囲ではないレベルで服を脱がし、下着を脱がし、プライベートゾーンや乳を触りまくる等する行為は、不同意わいせつ罪では?
午前3時、炊飯器のループBGMが「退路ゼロで前に出ろ」とドラムを刻み、冷蔵庫が勝手に自撮りした顔面テクスチャをAI Tuberに貼り付けて戦闘態勢。干しっぱなし靴下は旗印に進化し、コメント欄には<推し=家電=運命>三段活用が疾走する。電子レンジは「止まったら死ぬ」と扉ヘドバンでラップ、Wi-FiルーターはLEDを閃光手榴弾にして「踏み込め、躊躇うな」のモールス。壁ドンは絶叫ギターソロへ変貌、米派・靴下派・壁ドン教の三国志が血煙を上げる。猫型掃除機はスパチャ硬貨を吸い込みGPUを錬成、「残り血液まで投げ銭せよ」と真紅の字幕。洗面所の電球は一閃ごとに転職広告をシャウト、浴室ミストが観客席を召喚、家全体が“Sold Out”の戦場へコンバート。終盤、ドラム式洗濯機が輪廻転⽣しVTuberデビュー、「迷う暇など無い」と回転加速でスパチャファンネル乱射。部長の社内アカは“尊い”連投1000コンボ、就業規則が歌詞カードに書き換わり社員全員がコール&レスポンス。気付けば俺は背景PNGに格下げ、しかし瞳だけは燃え尽きず無限ループへダイブ。最後、窓がASCIIアートで「走れ、止まるな」と閉じ、炊飯器メロが夜明けの号砲を鳴らす――ドドンコ!
到着。ポストに令和5年の国勢調査のチラシが入っているのを見つける。2年以上空いていたとな?
玄関を開ける。くさっっ!
封水切れ。水を流す流す。下水の匂いは半日で消えた。よかった。
でもまだ臭う。なんか臭う。くさい臭いとくさくない匂いが混ざってる。
到着したらすぐ掃除をしようと思っていたのに、引越し屋さんが前倒しでやってくる。
荷物を入れてから、お掃除開始。クイックルワイパードライシートで床掃除。なんと!真っ黒!!靴下の裏も真っ黒!!!!
ウェットシートで拭き拭き。クイックルホームリセットと雑巾でも拭き拭き。真っ黒け。さいなら〜。
床がこれなら、壁も天井も…?拭いてみる。雑巾真っ茶っ茶。わぁ〜。
排水口にポンと入れるやつを入れる。あと何したっけな?
シーリングをつける。カーテンをつける。あれ?遮像を買ったはずだが?スケスケ??
ガス開栓。ちゃんとお湯が出た。よかった。
ドラッグストアにお出かけ。指定のゴミ袋とトイレットペーパー、消臭元ZEROなどを買う。
小窓を開けたら閉められなくなって、ググってなんとか閉める。
実家から持ってきたはずの歯ブラシが見つからない。どこにやった??
疲れた。寝床を用意。歯を磨かず、風呂にも入らず、寝袋で就寝、爆睡。
起床。部屋が臭う。すぐに窓を開ける。
壁をクンクン。ちょっとだけ臭い。昨日と同じように拭き拭きする。
家中をクンクン。玄関と、トイレ、洗面所が臭い。風呂は大丈夫。防水パンまわりも臭い。水を流しておく。
洗面所の壁を拭き拭き。まだ臭い。耐えられず、空間に香水を振る。くさっ。この香水嫌いなやつ。なんで持ってきた。捨てよう。
今日の午前中は配送業者さんが来るから出られない。昨日のスティックパンの残りを食べる。
電話が鳴る。電気屋さーん。はいはい。15時から設置で!お願いします。
電気屋さんが来る。優しい。冷蔵庫の上にレンジを載せてもらった。レンジくらい自分で持ち上げられるだけの筋力がほしい。
頑張ってベッドを組み立てる。へとへと。歯を磨きたい。近くのスーパーで歯ブラシを購入。ついでにちょっとだけ食料も買う。
野菜安い。パン高い。卵も高い。肉と魚は同じくらい。(地元のスーパー基準)
帰宅。風呂に入る。シャワー使うか?もったいない。頭まで湯船に浸かってゴシゴシして終了。これで全身洗ったことにする。
ベッドで横になる。爆睡。
起床。窓を開ける。
床と壁を拭き拭き。まだ臭う。
必要なものをAmazonで注文。昨日届いたデスクを組み立てる。脚を内側につけちゃった。なんで気づかへんのや、アホ。
でも大変なのはベッドだけだった。ベッド以外の組み立て家具はたいしたことない。
早急に手桶が欲しい!ということで、30分歩いてお店がたくさんあるエリアへ行く。
手桶と椅子を買いたい。が、荷物になるので後回し。100円ショップに行って、必要な物を買う。ドラッグストアで消臭元ZERO(2個目)を買う。
エコバッグ2つに詰め込んで、最後に手桶と椅子を購入。どでかい袋に入れてもらい、30分歩いて帰宅。バスはあるけど使わない。
帰ったら、また近所のスーパーへ行き、食料をちょっと買う。遠くの店と価格を比較したいので、まだちょっとしか買わない。
起床。窓を開ける。だいぶ臭いが薄くなってきた。でもまだ臭う。
5のつく日なので楽天で買い物しなきゃ。その前にお出かけしたい。今日は家にいなくても大丈夫。朝から出かける。バスに乗る。
マグカップとお茶碗がほしい。マグカップがないので今まで紙コップを使ってた。そろそろちゃんとしたカップで飲みたい。
あちこちブラブラ。地図で雑貨屋を検索。気に入ったマグカップが見つからない。お茶碗も見つからない。
大きめの皿とフォークとスプーンと茶筒は見つけた。しかし茶は買ってない。
トイレに行く。ハッと気づいた。タンクや!!そーっとタンクを開けてみる。くさっっ!!!黒っ!!!
ググってタンク用の洗浄剤があることを知る。初日に行ったのとは別のドラッグストアを目指す。ついでに商店街も覗いてみる。が、閉店ガラガラの時間帯。残念。
ドラッグストアには置いてなかった。洗剤や柔軟剤を買う。疲れたから入浴剤も買っちゃった。
帰宅。Amazonでタンク用の洗浄剤を注文。早く届け〜と願う。飯食って風呂入って爆睡。
朝から大雨。風ビュービュー。トイレのタンクを開けて、手の届く範囲を掃除。くさっ!昨日買った洗浄剤早く届かないかな〜。
ニトリでキッチンマットとロールスクリーンとその他もろもろを注文。お届けまで1週間?ふぅ〜ん。まぁいいや。
母から着信。元気ですよー。実家の猫が元気ないみたい。私ロスとな。帰りたい、かもしれない。
そういえば、あれほど悩んでいた肌荒れがなくなった。猫アレルギーだった、かもしれない。
午後になって雨が止む。近所のスーパーは卵が高いので、別のスーパーを覗いてみようと思い立つ。
ついでに昨日行った商店街へ行く。そんなに安くないんだな〜。ちょっとがっかり。てくてく歩いてスーパーをはしご。値段あまり変わらない。
白ワインビネガーが欲しい。置いてないので諦める。んー。やっぱりマグカップとお茶碗がほしい!
地図で再度雑貨屋を検索。アフタヌーンティーが近くにある。ハッ!盲点だった。なぜ昨日行かなかったのか!!
めっちゃ気に入ったマグカップを購入する。お茶碗も別の店で買う。昨日買った大きめで深さもある皿は大変よろしい。一つあると便利。
ドンキへ行く。あまり食品を置いていない。(地元の店舗と比較)わざわざ行くほどではない。
歩いて帰ろうとしたけど坂がきつい。タイミングよくバスが来たので乗る。降りてスーパーで買い物。
帰宅。玄関が臭い。トイレが臭い。ご飯をつくって食べて風呂入って爆睡。
天気がいい。窓を開ける。部屋の臭いはだいぶ消えた。
今日、トイレタンクの洗浄剤が届く!シャワーヘッドその他もろもろも届く!
まぁ、いまさらなんだけど、酸素系の漂白剤でよかったっぽい。いまさらなんだけど。
届いたものを片付ける。浄水器が蛇口に合わない。想定内。(なぜ買った)
ご飯を作る。実家より狭いキッチン。あまり凝ったものは作れそうにない。残念だけど、仕方ない。
起床。窓を開ける。壁を拭く。まだ黒い。
トイレを流してみる。水が真っ黒!!うわぁ……。ハッ!くさくない!!
あ〜よかった、よかった。これでひと安心ですわ〜。
段ボールに入っていた荷物を棚に入れる。ひょんなところから歯ブラシが出てくる。アホ。
・すぐ使うものはひとまとめにしておけ。アホ。
・トイレが臭かったらタンクを疑え。酸素系の漂白剤なら店に売ってる。
・下水の臭いはすぐに消えるけど、隠れた別の臭いがあるから気をつけろ。
・2年以内に引っ越そう。
ペットショップで月齢4ヶ月の子猫をお迎えして1ヶ月、まあまあしんどい。
元々犬派だったが散歩面倒だし今は在宅勤務だけど出社になったら犬だと可哀想だなーくらいの気持ちで猫にした。
猫は1匹でも平気だって聞いてたし、成猫になれば2泊くらいなら平気だから旅行も行けると聞いていた。
家財を荒らされることは覚悟していたが持ち家だし多少いいか、それくらいの覚悟。あと犬だと噛まれるなやだなあ、くらいだった。
なので、猫でも育てやすいらしいメスを選んだ。
ところが猫、面倒くさい。
半日家を留守にしただけで怒るし、私が仕事部屋に籠ってると大鳴きするくせにリビングで仕事すると邪魔をする。
ケージ生活もそのうち慣れると聞いてたが、うちのはいまだに慣れてくれない。今ロボット掃除機をかけてるからケージに入ってもらってるが、出せ出せと泣き喚いて暴れている。
1日5回は遊ぶ時間を作ってるがそれだけだと満足できないのか、構え!と噛む。
朝起きたらガブ、洗面所でガブ、ソファでまったりしてたらガブ、とにかく噛む。無視したら痛がるまで噛む。
水をかけるなど虐待はしたくないので、無視やダメ!と言うなど試してるがあまり効果はなさそうだ。
噛むおもちゃもたくさん与えてるが、噛む時におもちゃを渡してもポイされる。
噛み癖についても調べてるが、人間が我慢する以外の選択肢がない。
猫の問題行動に対してしつけはできず、基本的に人間側が対処するしかない。これはかなりストレスだ。
家で歩いたりくつろいだり生活してるだけで無条件で噛む生き物が存在してることが人間にとっては大きなストレスなのだが、われわれが猫へ配慮をしないといけないらしい。
爪切りや病院はまだわかるが、扉が開いてないことや入りたい部屋に入れない、人間が食事中の時にテーブルから下ろされる、ドライヤーの音程度でストレスなのか暴れたり八つ当たり噛みや毛づくろいをし出す。
理想としては人間が猫様に配慮して生活することなんだろうが、さすがにこのレベルになってくるとやってられないだろ。
保護猫団体の譲渡条件が厳しいなんて言われるが猫ファーストを考えると妥当な条件だ。
猫は1匹でも平気?いや平気じゃないから単身は難しい。賃貸だと夜の猫の大運動会が問題になるだろう。うちは好きに走り回らせてるが、大抵の家はここも悩みの種になる。もちろんしつけはできないので走らせないことはできない。
水を顔にかける、叱りつけるなどが効果的なのかは知らないが逆効果になる場合が多いと聞く(そもそもストレスに弱い猫に対してストレスになることをしたらどうなるかは察してほしい)
などなど、猫思ってるより面倒くさいなと飼って思う。
単身だけど寂しいから飼ってみたいなーなんて気持ちで飼う生き物ではない。
動物病院でケロッとしてる犬たちを見て、やっぱり犬を飼うべきだったなと少し思う。
うちのこを捨てるつもりはないし、死ぬまで一緒にいるつもりではあるけれど……。
なお、うちのこは血液検査やエコーなどすべて検査をしているが異常はありませんでした。
病気で噛んだり暴れてるわけではありません。
お前のせいで洗面所血まみれだよ!
旅好きの皆さんこんにちは。
荷物を軽くするパッキングの話題が盛り上がってるので、はてぶにはほぼ需要がないであろう頻繁に海外出張する時の最低荷物セットの話を書いておくよ。UNIQLOだよ。
感動ジャケットとパンツを買え。ワイシャツは形状記憶のブルーか白。エアリズムのインナーとトランクス。靴下は防臭の長い黒かグレー。パッカブルタイプの防風パーカー(か、寒いところならウルトラライトダウンのパーカー)、うっすいジョガーパンツ、肌弱いならTシャツ。以上。
肌着は1着をジップロックに空気抜きながらつめとけば良いよ。カバンは黒の通勤カバンでええんちゃうか。
あとは、不織布?のスリッパ、耳栓、ノーパソに各種証明者類の紙のコピー。これだけ積めてれば困ることはないよ。絶対に持ち込むんだ。なぜならば預けると時間かかるし壊れるしロストするしで良いことないので。
国内線もしくは二、三日遅れてもまあそれも思い出だよねとできないのであれば確実に持ち込むべき。
靴だけはアシックスの走れる革靴(実質運動靴)が良いと思うけど、まあそこは人によるかな。アメリカなんかだと別にスーツにスニーカーとか見るしね。
なぜスーツがベストかって言うと、短パンサンダルNGのところはあるけど、スーツ革靴NGはまず無いから。機内はジョガーパンツに履き替えてYシャツ脱いでエアリズム着てれば良いよ、透けるようならパーカー羽織ってな。
治安が良い地域なら、ジョガーパンツとエアリズムで観光したら良いし、なんかあれだなってところはスーツ着てれば良いよ。
エアリズムの下着は何も考えないで洗面所で洗って干しとけば次の日の朝には乾いてるよ。
仕事で行くんだYシャツ白で一枚は不安?クリーニング頼めるようなホテルに泊まれ。
ヨレたスーツ vs ヨレたTシャツならノータイムでスーツの方がマシな扱いになるので、世の中は不公平だね。
あとはまあ、観光地でTシャツ売ってないことはないから観光気分を味わいたいなら買うと良いよ。治安が良い地域なら微笑ましい光景だしね。
俺は部屋の中のセーフティを信頼できるような高級ホテルには泊まらないので基本全部ボストンバックに詰めて持って観光するけど、その辺は体力と相談してくれ。基本高級さは何かあった時の保証の手厚さと考えてください。(何も起きないとは言わない)
あと小技としてはiPadじゃなくてKindleにするとか、モバイルバッテリーは現地で買って空港チャレンジするとかあるけど、まあ余録かな。
あとUNIQLOって書いといてなんだけど、日本の夏をスーツで過ごすつもりならミレーの網のやつは買っとけ。鎖帷子ことドライナミックメッシユな。これとエアリズム。理屈はよくわからんけど競合の似たやつと比較しても圧倒的に快適。いまんとこ代替製品無いのでご存知の方がおられましたらお教えください。
家を買った。
数ヶ月におよぶ物件探しと、終わらないローン計算、毎週末の内見、冷たいコンクリートの床に膝をついて、図面をにらみ続けた果ての、ちいさなマイホーム。
「ちいさな」って言葉、まさか自分の家に使う日が来るとは思わなかったなあ。
実家と比べたら——もう、比べるのもバカバカしいってわかってるけど——いちいち劣って見えてしまって、引っ越しの日なんてちょっと涙ぐみそうになった。嬉しくて、じゃなくて、惨めで、ね。
そして、その新居にやってきた母が、開口一番、こう言った。
……え、そこまで言われるような家、だった? って、思った。
もちろん言葉には出さなかったけど、脳内では100回ぐらい叫んだ。「この“まあまあ”のために、私はどれだけ血を吐く思いでがんばったと思ってるのよ」って。
不動産も、株も、現金も。ざっと数億円。人生で「カラカラに乾いた財布」っていうものに出会ったことすらないような人だ。
けれど、その豊かさは、なぜか私の代でぴたりと止まった。いや、もはや、ここで絶やすつもりらしい。
私は、家を買うとき、ほんの少しだけ援助を受けた。ほんの、ほんの少し。
「これで足しにしなさい」って言いながら渡されたそのお金には、どこか“情け”みたいな湿っぽさがついていて、受け取ったあと、手を洗いたくなったのを覚えてる。
一方で父は、昔から財産をチラつかせて言うことを聞かせようとしてきた。
「あの土地はお前にやってもいい」「将来のために今は我慢しろ」って。
でも、あの土地も、あの金も、結局は“母の実家のもの”だった。つまり、父のフリをしてきたただの管理人。
親の持ってる富と、私の持ってる現実。
そのあいだの深い谷を、ずっと飛び越えようとしてきた気がする。
でも、飛び越えられなかった。親の世代の「豊かさ」って、私たちには渡されないシステムだったらしい。使い切って、終わり。
私が家を買ったという事実は、「ようやった」じゃなくて、「まあまあ」になる。
たぶんその言葉のなかには、母のうっすらした哀れみとか、「自分ならこうはならなかった」っていう見下しとか、いろんな感情が詰まってる。
でも一番つらかったのは、「その家に私が住むのが、当然のこと」みたいな空気だった。がんばったね、のひとこともなく。
なんていうか、悔しいんですよね。
お金が欲しかったわけじゃない。いや、正確に言えば、お金は欲しかったけど、それ以上に「祝福」が欲しかったんだと思う。
私は私なりにがんばって、この“まあまあ”の家を手に入れたんだから、せめてちょっとくらい誇らせてほしかった。
子どもが何かを成し遂げたって、それは「親の補助がなければできなかったこと」に分類されてしまう。
実際はほとんど自力だったとしても、ほんの少しでも援助があったら、全部“親の功績”になる。地味に地獄。
だけど、そんな“まあまあ”の家で、私はいま毎朝コーヒーを淹れている。
陽の光が差し込むリビングで、ちょっとボロくなったソファにもたれながら。
この家は、たしかに実家ほど広くないし、ゴージャスでもない。でも、冷蔵庫の中のプリンも、洗面所のうがい薬も、ぜんぶ自分で選んだものだ。
“まあまあ”どころか、案外、すごくいいものだったりするんだよね。
どうしようもなく悔しいし、わかってほしかったって気持ちは消えない。
でも、母の“まあまあ”に傷ついたのと同じくらい、いまの暮らしにちょっとずつ誇りを持ち始めてる自分もいる。
私は“まあまあじゃない私”になっていく途中、なのかもしれない。
家を買った。
数ヶ月におよぶ物件探しと、終わらないローン計算、毎週末の内見、冷たいコンクリートの床に膝をついて、図面をにらみ続けた果ての、ちいさなマイホーム。
「ちいさな」って言葉、まさか自分の家に使う日が来るとは思わなかったなあ。
実家と比べたら——もう、比べるのもバカバカしいってわかってるけど——いちいち劣って見えてしまって、引っ越しの日なんてちょっと涙ぐみそうになった。嬉しくて、じゃなくて、惨めで、ね。
そして、その新居にやってきた母が、開口一番、こう言った。
……え、そこまで言われるような家、だった? って、思った。
もちろん言葉には出さなかったけど、脳内では100回ぐらい叫んだ。「この“まあまあ”のために、私はどれだけ血を吐く思いでがんばったと思ってるのよ」って。
不動産も、株も、現金も。ざっと数億円。人生で「カラカラに乾いた財布」っていうものに出会ったことすらないような人だ。
けれど、その豊かさは、なぜか私の代でぴたりと止まった。いや、もはや、ここで絶やすつもりらしい。
私は、家を買うとき、ほんの少しだけ援助を受けた。ほんの、ほんの少し。
「これで足しにしなさい」って言いながら渡されたそのお金には、どこか“情け”みたいな湿っぽさがついていて、受け取ったあと、手を洗いたくなったのを覚えてる。
一方で父は、昔から財産をチラつかせて言うことを聞かせようとしてきた。
「あの土地はお前にやってもいい」「将来のために今は我慢しろ」って。
でも、あの土地も、あの金も、結局は“母の実家のもの”だった。つまり、父のフリをしてきたただの管理人。
親の持ってる富と、私の持ってる現実。
そのあいだの深い谷を、ずっと飛び越えようとしてきた気がする。
でも、飛び越えられなかった。親の世代の「豊かさ」って、私たちには渡されないシステムだったらしい。使い切って、終わり。
私が家を買ったという事実は、「ようやった」じゃなくて、「まあまあ」になる。
たぶんその言葉のなかには、母のうっすらした哀れみとか、「自分ならこうはならなかった」っていう見下しとか、いろんな感情が詰まってる。
でも一番つらかったのは、「その家に私が住むのが、当然のこと」みたいな空気だった。がんばったね、のひとこともなく。
なんていうか、悔しいんですよね。
お金が欲しかったわけじゃない。いや、正確に言えば、お金は欲しかったけど、それ以上に「祝福」が欲しかったんだと思う。
私は私なりにがんばって、この“まあまあ”の家を手に入れたんだから、せめてちょっとくらい誇らせてほしかった。
子どもが何かを成し遂げたって、それは「親の補助がなければできなかったこと」に分類されてしまう。
実際はほとんど自力だったとしても、ほんの少しでも援助があったら、全部“親の功績”になる。地味に地獄。
だけど、そんな“まあまあ”の家で、私はいま毎朝コーヒーを淹れている。
陽の光が差し込むリビングで、ちょっとボロくなったソファにもたれながら。
この家は、たしかに実家ほど広くないし、ゴージャスでもない。でも、冷蔵庫の中のプリンも、洗面所のうがい薬も、ぜんぶ自分で選んだものだ。
“まあまあ”どころか、案外、すごくいいものだったりするんだよね。
どうしようもなく悔しいし、わかってほしかったって気持ちは消えない。
でも、母の“まあまあ”に傷ついたのと同じくらい、いまの暮らしにちょっとずつ誇りを持ち始めてる自分もいる。
私は“まあまあじゃない私”になっていく途中、なのかもしれない。
それは突然やってきた。
その日、自宅の最寄り駅にある眼鏡屋で眼鏡を使った後、ガストで飯を食らっていたのだ。チーズオンチーズインハンバーグ、ポタージュもセットで。いささかガストにしては高めの価格だが、クオリティには満足した。
日曜日の昼下がり、いろんな人たちが思い思いに会話を楽しむ賑やかなガストに一人の中年男性が遅めの昼食である。当然、話す相手もいないし、食事自体が終わったらすぐに店を出るつもりであった。この後はATMに行かなければいけない用事がある。ATMのあるスーパーに寄って帰ろう……
食事が終わり会計をする。キャッシュレスレジの前には年配の女性と娘夫婦と思しき三人組。どうやら、有人レジで会計している家族を待っているようだが、そこにいられてはキャッシュレスレジを使いたい私が会計できない。一言「すみませんが、空けてもらえますか」と頼んでどいてもらう。あー、これレジだったの、と謝るでもなくちょっとこちらをにらみつけながらどいてくれた。
何だあの態度、邪魔なのはそっちだろ、などと心の中で思ったことが私の弱さだったのだろう。今にすればそう思える。
会計を終え、先ほどどいてくれた家族の少し後ろから店をでた。次の角を曲がればスーパーだ、というときにオナラが出た。
ただ、それはオナラではなかった。
温もりというよりは、妙な熱さを携えた肛門。なんらか液体が流れてくるのを感じる太もも。ガスだと思ったそれはガスを内包した爆弾であった。
かねてより増田の諸兄の事例は聞いていたが、自分の身に降り掛かろうとは甚だ思いもやらなかった。
ATMの予定を後回しにして、自宅に帰りトイレに駆け込みその悲劇的な色に染まったトランクスを対面した。トイレでひとしきり再戦しウォシュレットして拭いた後、洗面所で下半身裸のままトランクスを手揉み洗いした。
唯一救いだったことは、里帰り出産で実家に帰っている妻から、出産後の緩みからかトイレの直前で漏らしたという話を聞いていたことだった。産まれたあと数日間私も親子三人一緒にいたのだが、新生児である我が子もよくオムツ交換中に一撃を放ってくれた。家族三人、短期間のうちに「漏らす」という実績を解放できたことで、今後家族の絆が強くなっていくのは間違い無いだろう(私だけ何の理由もないが)。
一つ教訓があるとすれば、人には優しくしておいた方がいいね、ということかもしれない。これからもった、広い心で人々とコミュニケーションできるように胸に刻もうと思う。
自分は父親に対して反抗期無かったんだけど、やっぱりキモイこと言わないしないが大事だと思う
トイレは座ってするし、オナラしてる所未だに見たことないんだけど聞いたらわざわざトイレとか別部屋に行ってしてるらしいし鼻ほじってるのも見たことない
洗面所でうがいしてもグチュグチュペェッッッッッ!!!!って周りに飛び散るようにしないし、体型や顔の事についてブスデブはもちろんのこと可愛いともスタイルいいとも言わない。つまり本人の努力だけではどうにもならない事に対しての言及はしない。
女は〜みたいな事も言われた事がないし、怒鳴られた事も殴られたこともない
全裸どころかパンイチでリビング歩くこともないし、父が先に風呂入った時は湯船に浮いてるゴミとか取ってから出てくれるし、風呂一緒に入るのも小学低学年くらいからは父親側から断られた
塾で帰り遅くなる時は断っても迎えに来てくれたし、土日朝5時から部活の練習があってもこれも自分でチャリかなんかで行くと言っても送ってくれた
褒めるとしたら頭がいいとか外見についてではなく頑張ったこととか、物事に対しての姿勢を褒めてくれた
なので全然父親に対してうるさい!とか汚い!という気持ちになった事がない
別にファザコンでも父親に対しての親愛はあるけど好き♡みたいな感情もない
反抗期というか父親キモイ!みたいな話を聞くと便座上げっぱなしだとか全裸で歩くだとか外見についてなんか言ってきたりするって聞くからそういうの全部辞めれば嫌われるまでいかないのでは?と思ってる
あと当たり前に思春期以降は父と一緒に風呂は拒否感あるので、私が拒否感を持つ前に父親から距離を取ってくれたのも大きいと思う
二十代後半で独身なのに結婚しないのかとも聞いてこないし彼氏は?とかも聞いてこないし、仕事で昇格した!とか報告するとよかったね〜とだけ言ってくれるのも良い父親だなと思う
テレビで見かける「年収1000万がいい」とか「顔はジャニーズレベルじゃないと」みたいな高望み婚活女はダメなものと思って育った。
そういう女は醜いし、配偶者探しは謙虚な姿勢でいるべきでどうせ自分も大した人間ではないのだから身の程を知らなければならないと思い込んでいた。
ただ、まあ、今回の件で自分を低く見積もるのもやめた方がいいなと学んだ。
ノイズが無いように先に書いておくが私のスペックは一人暮らし30歳158センチ46キロ関関同立卒の年収600万でデート代は割り勘。誕生日デートは相手の誕生日にお互い奢りましょう派。(彼氏の誕生日は私が奢るし私の誕生日は彼氏が奢る)結婚後は共働き希望。通勤のために23区外だろうと都内に住みたい。無理なら神奈川埼玉千葉のギリギリ東京に近いところ。もしフルリモートならどこに住んでも何でもいい。それでもやっぱり相手が神奈川千葉埼玉の中心奥深くとかに住みたいのならば私は通勤できなくなるので私は転職して年収めちゃくちゃ下がるけど文句言わないでねというかんじ。
DVしない・ギャンブル癖や借金が無い・タバコを吸わない・店員に偉そうな態度しない・既婚歴無しの正社員という理由で結婚前提に付き合った彼氏のスペックがこちら。
男性の身長で選んではいけないと思い考えないようにしていた。しかし、人が多い東京では身長が低い男は人混みに押し負ける。女を守れない。
駅の構内など混雑した場では黙って私の後ろにピッタリくっ付いて歩くので、先頭の私が道を切り開くことになり、私がぶつかられたりしていてもただ黙って後ろを着いてくる。
少しいい店に行くと男性店員に見下された対応をされている。女だけじゃなくて同性(男)も意外と低身長の男を見下すんだなと思った。
男の30代の平均身長って171センチだよね。私も女の平均身長あるから相手もせめて平均身長マイナス5センチぐらいは欲しくないか。そんなに平均マイナス5は難しいか。
首都圏在住の四大卒正社員の35歳で年収500万はぶっちゃけ結婚するには低い。年下で女の私より低い。彼の貯金額は私の三分の一。実家も細い。金融資産もない。彼氏の会社を検索したところ評判投稿サイト曰く年収は上がらないままずっと続くとのこと。50歳で年収600万レベルとのこと。ホワイトなので転職する気はないらしい。
一人で生きていくなら十分だろうが東京近郊で結婚して子供作るのは無理だろ。その代わり背が高くてイケメンとか性格が死ぬほどいいとか家事が彼女並みにできるとか実家が太いとか加点要素があるならまだしも。
スパイス臭がする。一日仕事して帰宅した際はすごいスパイス臭がする。洗濯すると衣類に臭いが移る。外科手術などは死亡事故があったから嫌とのこと。かと言って定期的に汗拭きシートを使うとかデオナチュレ使うなど対策しない。「自分で自分の臭いとか分かんなくない?」とのこと。
早漏のため入れた瞬間に一発で終了。また、最中はいつにも増して強いワキガ臭が室内を充満している。
アデノイド顔。動画投稿者のもこうに似てる。しかしもこうのように喋りの面白さも年収も得意なゲームも応援したくなるような雰囲気も無い。面白さも魅力も金も何も無いもこうというかんじ。顔にデカいホクロがある。
偏差値50くらいの都内私大文系。高校は進学校だったことをしきりにアピールしてくるのだが、じゃあなんでその程度の大学にしか入れなかったのと聞きたいが聞いたら性格が悪すぎるかと思い聞かない。
食べるときにやたら音を立てて食べる。字が汚い。歯並びが悪い。すれ違った通行人の見た目の悪口を言う。ポリコレ揶揄や冷笑系ネタが大好き。テレビに外国人が出てると「ポリコレ枠かな」と嬉々として言う。
映画やドラマで少しでも女性が活躍するシーンがあると「これポリコレか」と言う。
頬にガーゼ+保護テープ(頬を殴られた痕っぽい)付けた女性とすれ違ったら「ねえ!今の見た!?」とすぐにデカい声で言う。
彼は一人で食べるときの食事はカップ麺が基本。二週間に一度、家にある野菜を使うのではなく、新規で食材と調味料を一から購入してX(旧Twitter)で独身男性に人気な某料理系男性ユーチューバーの動画を参考に料理する。これを本人は俺は料理ができると自称している。
洗濯は彼のものと私のものは一緒に洗っている。彼の衣類は定期的にオキシ漬けが必要。私が五回洗濯したら一回ぐらいの回数で彼が洗濯する。ドラム式洗濯機で乾燥まで終わった私の分の衣類は除けて畳まずに床に積み重ねられている。ゴミ袋を縛って指定曜日に捨てる・ゴミ箱に新しいゴミ袋を被せることはできる。
床をクイックルワイパーで掃除、トイレ掃除、洗面所の掃除、キッチンの五徳周りの掃除、排水溝の髪取りなどはできない。たまごや調味料や洗剤など無くなっていると判断して買うことはできない。
結婚して共働きしていく上で相手の家事能力は必要不可欠だ。もし年収が私の二倍あるとかなら私が全部やるが。実際は私の方が年収が高く家事能力も私の方が高い。
同棲の家賃・生活費は完全同額支払い。毎月いくら出すと決めてその金額を払っている。
ちなみにデートで入った飲食店ではその店の最安値の商品を頼む。スーパーでもその店の最安値のプライベートブランドしか買わない。
どん兵衛や赤いきつねはぜいたく品で、パスタ乾麺はマ・マーや大容量のバリラやディチェコもぜいたく品らしい。私を選んだのも年増の見切り品だったからとかそういう理由だろう。
自分から口を開くことはない。彼は口下手で私から会話を切り出して話題を提供しなければならない。私が生理痛や仕事の疲れで話さないと「はぁ…怒ってるの?」と迷惑そうに聞いてくる。
また、会話の正確性を重視してくる。
例1:
彼「この役者なにかで見たなー。なんて役名?役者の名前は?他にどんなドラマに出てるの?」
私「刑事ドラマのモブ刑事の中の一人のことなんて知らないよ…」
例2:
彼「へー。あとはどこなんだろう」
彼「うん、あとは?」」
彼「あとはどことどこ?」
私「うーん…」
彼「ほら、あとはどことどこ?」
私「さすがに覚えてないよ」」
例3:
私「あ!ライチュウだ!」
彼「アローラライチュウだね」
私「ウィンディもいる~」
私「ケンホロウだ」
彼「ケンホロウのオス」
私「…ねえ、いちいちそういうの言わなくていいから」
彼「え!?なになに!?急に怒り出した!(彼女のヒステリーにおびえている被害者のような顔)」
では彼の会話に正確性があるかといえばそうではなく、ソースはX(旧Twitter)だったり、金融・経済・政治の話ではそもそも義務教育レベルで間違った知識も多い。
リボ払い機能も一緒についてきたが「悪魔の発明」らしいので、一度も使ったことがない。
1.01の365乗は37.8になるけど、0.99の365乗は0.03になる。
毎日1%ずつ増えれば1年後には37倍になるが、1%ずつ悪化すればほぼゼロ。
得をする方向で複利を使うには、NISAとかiDeCoとかいうのをやっておくのがいいらしい。
銀行の預金金利は年利0.1%しかないから、いくら複利でもほとんど恩恵が得られない。
Twitterでバズっていた「普通の人が資産運用で99点をとる方法」という記事を流し読みする。
数式と図がやたら多い。
記事の URL を貼って、これでいいんだよみたいな涼しい顔してツイートしてるやつ、
お前ら本当に全部読んでるの?
でもまぁ、NISAでオルカンやS&P500を買って放置するのが賢いってことなんだろう。
資産運用会社の調査によると、最も成績が良かったのは「亡くなっている人」、
次いで「運用しているのを忘れている人」だったらしい。
プロのトレーダーですら勝ち続けるのは難しいのに、素人が個別銘柄を追いかけて勝てるわけがないよな。
さっき調べたらこの話のソースは不明らしいけど、どう考えても事実だろう。
具体的にアメリカのどの会社がどのくらい成長しているのかは知らないが、
アメリカ版の東証みたいなところで取引されているGoogleとかAmazonの株を含む株式市場全体が長期的には大きくなっていっているってことだろ。
長期的にこのトレンドが続く保証があるのかどうかは知らないが、
政府も NISA をやれと言ってるし多分大丈夫なのだろう、そうであってくれ。
でも、それでオレの年収がいきなり倍になるわけじゃない。
ドラム式洗濯機で時短したいけど、ワンルームの狭い洗面所には置けないし、
そもそも独り身には高すぎて買えない。
いくら時短になるとはいえ、元を取るまでに何年かかるんだろう。
Twitterを開くと、まともに働いている人間はみんなNISAをやっている気がする。
書店に行くと『普通の人が資産運用で99点をとる方法』が書籍化されて平積みされていた。
やらないと損することはあっても、やっても得するってことはないってことだよな。
資産運用をはじめる前は前向きな期待があったけど、いまとなっては年金とか国保みたいに手取りを食う要素でしかない。
みんなが俺みたいなら納得できるけど、世の中には「金持ち」というのがいるらしい。
親が金持ちで相続しただけならわかるけど、そうじゃない人は何をして金持ちになったんだろう。
資産運用をはじめた頃は一攫千金を目指して怪しいビジネスに手を出す人を馬鹿にしてた。
でも、いまならそういうものにすがりたくなる気持がちょっとわかる。
でも勇気がないから、せいぜい俺の人生は宝くじを買って外すだけの人生なんだろう。
まぁ、80点くらいではあるだろう。
そうであってくれ。
風を起こすのは、他ならぬ自分だ。鼻の穴近辺を、鼻毛がちょろつく時期となった。
布団から起き出し、毛抜きを手に洗面所に向かう。鼻腔の平穏を乱すものはどれか、どれかと目を剥き鏡を凝視しあたりを付ける。
キングクリムゾンのアルバムジャケットのような表情。ほどなくして、首謀者と思しき獲物をキャッチする。
コツは、無理に引き抜かない事だ。掴んでテンションを掛け続けると、向こうが根負けしてくれる。
召し取った獲物をティッシュの上に置き、定規と合わせて撮影する。
「今日はまずまず。長さはめぼしくないけど、先端が白くなってハーフアンドハーフなのはレアかな」
コメントをつけてSNSにアップする。フォロワーが投資で成功し南国で暮らしているらしいブロガーただ一人の、
今日の調子なら、来週ぐらいに大物が捕れるかもしれない…。鼻毛は群生する。そして白髪になると自律を失い
出勤時間を確認するためスマホを見ると、SNSの通知が来ていた。
「この程度でレアとかwww義務教育からやり直しレベルじゃんwwwwww」
引用リツイート。誰だ?発信元を見に行く。フォロワー10万の鼻毛アカウントだった。製図用の定規を隣に、毎日のように
アップされる鼻毛。太い。これはひじきではないのか?驚愕で汗の滲んだ手の中で、スマホが震える。
「ごめんねえ。急で。」
父親が心不全で倒れた。ICUの前で母と落ち合う。一命は取り留めたが、しばらく一般病棟での入院が必要との事だ。
「携帯の充電の線とか分かるかしら?あと枕元にあるラジオも持ってって」母に促され、十数年ぶりに父の部屋へ入る。
煙草と、名状しがたい臭い…。父の余命がいくばくもないように感じる。ふと目が留まる。机の上にSNSで見た製図用の定規があった。
…まさかな。病院に戻ると、父は寝入っていた。実家から持ち出した父の一式を置き、踵を返すと、懐かしく厳しい声がした。
「太さは…」
「え?」
父は目を閉じて続ける。
「太さは、葉巻タバコを吸う事で養われる。安い…安いものでいい。たくさん吸い込み、鼻から出す」
3日後、父は容態が急変し死んだ。鼻毛アカウントの更新は倒れた日を最後に途絶えた。
父の鼻の穴には今、ひじきと見紛うような業の塊ではなく、白い綿がしおらしく詰まっている。
母は高校教師だった。
それが私。
弟と妹も生まれた。
今の私と同じ年齢である。
幼い時、母が私を抱きしめてくれるたびに、私の幸せは母の幸せだと感じていた。
私も高校教師になった。
働きはじめはとにかく忙殺されており、朝6時~夜22時まで働いていた。
一校目では吹奏楽顧問だったので運動部よりも拘束時間が長かった。
何より、自分で働いて得たお金を自分のために好きに使うことができることを楽しんでいた。
母が私を出産した年齢と同じ25歳になっていたことにふと気づいた。
今でもそのときのことははっきりと覚えている。
そのとき鏡にうつった私は、手入れの行き届いた髪の毛、艶のある肌、自分に似合う化粧、洗濯機でガシャガシャとは洗えない質の良い服を着ていた。
そして、変に顔を傾けたり、目を見開いたりと迷走していた大学生時代とは違って、
充実した日々に裏打ちされた良い表情になっていた。
そして母を思った。
同じ歳の母はそれらを全て持っていなかった。
赤ちゃんを産んで育てるというためだけのために全部捨てた。
今の自分にそれができるか?
絶対無理だった。
たった数年の教員人生で、数十年経ってもずっと慕ってくれるような生徒が一人以上いる。
そのことだけで、母がある程度優秀な教員だったのだろうとわかる。
なのに母は、母になるために全部なくした。
一人で楽しく生きていけるだけの能力がありながら、
キャリアを捨て、夫の稼ぎに頼る人生を選ばざるを得なかった母。
何も珍しいことではない。
母の世代はそれが普通だったし、充実した育休制度・時短勤務なんてものは無いに等しかった。
また、父は母より年上で大企業に勤めていたので、給与の差の面でも母が職を辞めるのは必然だったと思う。
それでも、25歳の母は本当に幸せだったんだろうか。
でも、それは本来享受できていた25歳の女性としての幸せの全てではない。
しかも、隣にいる夫はキャリアに傷をつけることなく、ずっと働いて、社会で認められ続けている。
昔の母は、よく図書館で借りた本を読んでいた。
よくビーズ小物を作ったりもしていた。レンタルビデオで映画もみていた。
いつも無地の動きやすそうな服を着ていた。
美容院にいくこともあったが、近所のスーパーに併設されているところで一時間以内で切ってもらうだけだった。
なのに私は母が味わうことができなかったその幸せを手に入れている。
でも、それは週に二日だけ。あとの三日間は今と同じようにフルタイムで働く。
母が私を生むことで得ることができた幸せも、
私は両方手に入れることができるように準備した。
母に悪い気もする。
そして私もきっと、何かの幸せを取りこぼしてこの選択をしている。
25歳だったお母さん。
それは私のせいです。
だから私はあなたが取りこぼした幸せも、手に入れた幸せも、両方つかみ取ります。
あなたにもらった命なので、あなた以上に一生懸命に幸せになりたいと思っています。
お母さん。いつもありがとう。
来月のレストランでのディナー、楽しみだね。