これは、理系の大学院生、とくに研究テーマを自分で立てて日々取り組んでいる君に向けた話だ。
まず厳しい現実を言おう。
君の研究テーマが微妙だったとしても、それをはっきり「それ、筋が悪くない?」とか「その研究、意味あるの?」なんて言ってくれる人はいない。
なぜならそれを言うこと自体が、人間関係においてかなり高リスクだからだ。
嫌われたくないし、気まずくなるのも嫌。何より、明確な代案がないのに批判するのは無責任に思われかねない。だからみんなスルーする。
気を遣って、なんとなく「面白そうだね」と言ってくれるだけだ。
興味の方向性、社会的意義、技術的チャレンジのレベル……何を重視するかで評価は変わる。だからこそ「クソだ」とは断定しにくい。
でもそれが、「何も言われない=評価されている」と勘違いさせる温床になる。
何もコメントされなかったからといって、「誰にも否定されなかった=良い研究」と思い込むのは危険すぎる。
実際は、誰の心にも刺さらず、突っ込む気すら起きなかっただけかもしれない。
それは無関心であり、最大級のネガティブフィードバックだと認識すべきだ。
だから、もし君が本当に自分の研究テーマに価値があるかどうか知りたいなら、査読付きの学会や論文誌に出してみるべきだ。
そこではじめて、「その問題設定に意味があるか」「その手法は新規性があるか」「そこに時間を費やすべきか」を、専門家が真剣に評価してくれる。
査読付きの場に出すのは怖い。否定されるのも恥をかくのも嫌だろう。