lynx   »   [go: up one dir, main page]

2025-05-26

Androidを持たされた子供です。

ずっとAndroidを持たされてきた。

家は個人営業飲食店で、角田光代の「ツリーハウス」って小説があって、ちょうとあんな感じ。兄妹は多く、祖父母も居るし、居候みたいな親戚も居て、大家族だった。狭い家にたくさんの家族と、ボロい車。個室なんてもちろん無い。子供ながらに、僕の家は貧乏なんだと思っていた。自営業の子あるあるだと思うけど、両親が毎日くたくたになるまで苦労して働いている姿を見ているので、何かを買ってもらえないとゴネることはなかった。

初めてスマホを買ってもらったのは、中学3年生の頃。塾に行くのに連絡用にスマホ必要という実用的な理由だった。iPhoneとかAndroidとかそんな希望なんて聞かれなかった。父が買ったのはブコメバカにされてた「OPPO」。多分2万円くらいのものだと思う。それでも自分スマホ持てるなんて思わなかったから嬉しかった。何かを調べるのも、音楽を聞くのも、ゲームをするのもこれ一つ。人生友達だった。

からは、高校公立にしてほしいと言われていた。弟や妹のことを思えば、言われなくても分かっていた。地元の県立校に進学。クラスの9割位はiPhoneだったと思う。それでハブられたりいじめられたりしたことは無いと断言できる。

でも、なんとなく「iPhoneを買ってもらえなかった人」と見られているのではないか貧乏な家と思われているのではないか、という引け目がこちら側にあった。iPhoneのほうがすっと優れたスマホという認識が周囲には厳然とあって、劣ったものを持たされている感覚いじめられるというより、僕がその意識から解放されなかった。iPhoneは高級感があって写真パリッとして綺麗だった。OPPOはいかにも安物で、あまり自分スマホを見られたくなかった。写真の交換のときにエアドロを使えなくて、iPhone友達自分だけLINEで送ってもらう。当たり前にみんなそうやってくれたが、そのほんの些細なことが嫌だった。

大学地元国立大学に進学。そこで夏休みバイトしまくって、ずっと欲しかったiPhoneアップルストアで買った。友だちが持っていた三眼カメラのが欲しかったので、20万円近くした。やっとマトモなスマホを持てたと思った。MNPすればもっと安く手に入れられたのはわかっている。でも親の回線マイネオ)を使わせてもらっていたから、回線そのままで買ったほうが良いと思った。4年前のOPPOと最新のiPhoneでは優劣は明らかだった。写真は素晴らしくきれいで、ストレージは使い切れないくらいあって、動作はキビキビしていた。OPPOでは出来なかったゲームもできた。とにかく、嬉しかった。

しかし、格段にすごいとか圧倒的によいとまでは思わなかった。それより、OPPOの良さもわかってきた。なにしろ、僕が買ったiPhoneの十分の一くらいの値段で、画面は大きくて軽かったし、iPhoneでできることはほとんどOPPOでもできたのだ。OPPOは頑張ってたんだなと思う。高校生の自分にはどう考えてもこれで十分だった。そして、その十倍の値段のするiPhoneが、値段に見合う価値があるとは、少なくとも自分には思えなかった。

iPhoneじゃなくて、そこそこ安いAndroidにして、余ったお金で、親を旅行に連れて行ったり、弟や妹のスマホを買ってあげても良かったかな、と思う。OPPOよ、ありがとう。そして、みんなが胸を張ってそれぞれの事情にあったスマホが使える世の中になりますように。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん
Лучший частный хостинг