『ジークアクス』の主人公は、乃木坂46の元メンバーをモチーフにしており、彼女の過去の失敗を批判する目的で本作が作られたのではないか──という説を目にした。
ガンダムという有名IPに、そんな私情の持ち込みがあるわけない、と。
けれど、物語や設定、キャラクター描写の細部まであまりに符合していて、もはや偶然やこじつけでは説明できないレベルだ。
ガンダムとこの題材は全く無関係だし、相性が良いとも思えない。
なのに、どうしてここまで一致するのか──これはもはや「公然の批判」だ。
それでも、「10年前に不倫した芸能人のスキャンダルを題材に、アニメ業界の一流スタッフたちが技術を結集して描いていおり、好評を得ている」現実には、強い絶望を覚える。
戦争、権力、社会の矛盾──そういったテーマへの批判は、むしろ創作の原動力になりうる。
芸能人のスキャンダルをモチーフにすることだって、「浅いな」とは思うけれど、料理次第では意味を持たせられるはずだ。
だが『ジークアクス』からは、そういった“料理”の跡がまったく感じられない。
生のままの怒り、生のままの憎しみ。
それを暗喩で包んでいるのではなく、「責任を逃れるための偶然性」で包んでいるだけに見える。
例えば、「芸能界が若者の恋愛を制限する構造」や、「若者の青春を消費したコンテンツがたかが金銭的利益しか生まない虚しさ」など、掘り下げるべき要素は私でも簡単に思いつく。
けれど本作から伝わってくるのは、ただただ「2014年に不倫騒動を起こした女性への私的な憎しみ」だけだ。
これほどまでに有名なIPで、個人の過去の失敗をここまで執拗にモチーフ化する。
不倫に対しての必要以上の社会的制裁を受け、10年もの時間が経過したあとで、ここまでの晒し上げをするのが本人とまったくの無関係の人物。
『けものフレンズ2』の時でさえ、ここまでの悪意はなかった。
映像、音楽、演出、どれも力が入っているし、一流スタッフが集結した完成度の高さがある。
恋愛関連は心理描写が足りないと思うけど、総合的にとても楽しい作品だ。
けれど、その素晴らしい技術で表現したいのがたったひとりの若い女性への批判だと思うと、作品の魅力は一気に半減する。
気になるのは、他のスタッフがどこまでこの意図を把握していたかだ。
監督はもちろん理解していたはずだが、他の制作陣はどうだったのか?
彼らに隠して進めることも、やろうと思えば可能だろう。
でももしこれが、スタッフ全員の合意のもとだったとしたら──それはあまりにも絶望的な光景だ。
この魅力的な作品を作ったスタッフたちもわかって“公開リンチ”に加担していたのかを知りたい。
もしわかっていたのだとしたら、有名IPに関われる利のために“倫理”を手放したということになる。
『ジークアクス』を以前より色褪せて感じるのは、その可能性を拭いきれないからだ。
誰も彼も騙されて、楽しい作品を作ろうと技術を注いでいたのだと信じたいが、その証明は不可能だし、おそらくみんな触れないと思う。
他の「2014年モチーフ」もまた、下品なスキャンダルばかりで、制作者が普段どんな情報に触れているのかが伝わってくる。
範囲は狭く、刺激は強く、中身は空っぽ──そんな“虚構”を材料に選んだ創作者が、私怨を軸に、巨大資本を受けて作品制作を成し遂げた状況が何よりも不快だ。
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