「ASD プレコックス」で検索するとGoogleのAI検索結果サジェストが「ASDにプレコックスはあるか、ないか」の結果について言を左右させている事が観測できた。
プレコックス感というのは、本来的な用法としては精神科医が統合失調症患者を前にした時に覚える違和感とされる。古い概念である事も併せて、ASD(自閉スペクトラム症)とは本来全く無縁の概念と考えられている。
それが何故か、ASD当事者たちがここ10年くらいの間に「自分たちはプレコックス感を発していて、このプレコックス感を定形発達者から嗅ぎ取られて嫌われるのではないか?」という主張を繰り広げている。
統合失調症の兆候を、医師でもない一般人が、定形発達というだけで嗅ぎ取ってASD当事者を嫌う?
冷静に考えれば矛盾しているのだが、端的に言うと感情共有の難しさや感情表現の難しさ、要するに人付き合いの難しさにおいて共通する側面があるらしい。そして発達障害全般の理解が進まなかった時代には、統合失調症と誤診されたASD患者がいるだろう。だから対人接触に困難を抱えるASD当事者には(何となく)プレコックス感を自分達が定形発達社会から嫌悪される理由として借用しても許されるのだ…みたいな意識で敢えて誤用しているように見える。
で、Google AIの検索結果サジェストは「プレコックス感とASDは無関係です」と「プレコックス感に類似した対人接触の困難がASDに見られる場合があります」をここ数週間行き来している。
この辺の言説はXで「プレコックス」で検索するとたくさんポストが出てくるので(その正誤はともかく)見てみると面白いかもね。