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2025-05-23

ETV特集 「ねちねちと、問う ーある学者の果てなき対話ー」』を観た

この間、ETV特集でやってた「ねちねちと、問う 」ってのを観たんだ。これがまた、いろいろ考えさせられる内容でさ。

メインは京大宮野公樹先生。もともと金属の研究バリバリやってたのに、いきなり「学問とは何か」とかい学問論に転向しちゃったっていう、なかなかの変人。息子さん3人とも不登校にさせてるってのもすごい。アナーキストっぽいのに、超有名国立大学に籍を置いてる矛盾もまた味わい深い。先生曰く、社会的価値のある金になる研究より、自分の好きなことを研究できたらいいのに、って。「社会のものさし」じゃなくて「自分のものさし」で幸せを測ろうぜ!って話。

まあ、言ってることはめちゃくちゃわかる。でもさ、これって結構理想論じゃね?って思うわけ。人間ってのはどうしたって他人と比べちゃう生き物じゃん。俺だって、街中でカップル見かけなきゃ、別に恋愛なんてしたいと思わないかもしれん。見ちゃうから、比べちゃうから、俺もパートナー欲しい、って躍起になる。理性では、どうでもいいこと、って分かってても、本能競争に勝とうとしちゃうんだよな。となると、「社会のものさし」って一体なんなんだろうな。

番組にはもう二人、印象的な人が出てきた。

一人は半導体メーカー部長守屋周さん。典型的仕事デキる人で、ガンガン仕事こなしてたんだけど、宮野先生プログラムに参加して考え方が変わったらしい。上司相談して仕事量を減らしてもらったってんだから、この会社もすごい。まさに「自分のものさし」を取り戻そうとしてる感じ。

もう一人は名城大学武藤将道先生昆虫研究してるんだけど、テーマニッチすぎて科研費がなかなか通らないのが悩み。宮野先生とは逆の境遇だね。でも、この先生ゴキブリを手づかみで標本にするくらいのガチ勢宮野先生ワークショップ一般の人に研究テーマを公開したら、意外にも興味を持つ人がいて励まされたり、大学では、先生研究をやりたい、って学生が出てきたり。これって、「自分のものさし」で研究してたら、結果的に「社会のものさし」でも評価されて自己肯定感上がってるパターンじゃん? あれ? どっちだ?

ふと思ったんだけど、ちょっと前までスマホが普及してなかった発展途上国って、メディアあんまり発達してないか比較対象がいなくて幸福度高かった、みたいな話あったよな。インターネットって、否応なしに他人キラキラ生活とかを見せつけてくるから、「自分のものさし」をいとも簡単にへし折ってくる凶器でもあるよな。グローバル化ってのは、良くも悪くもこのインターネットとセットだ。そういや、トマス・モアユートピアも、外界から隔離された島だったっけ。

結局のところ、「自分のものさし」を確立したぜ!って思っても、隣の芝生が青く見えたり、ネットマウント取られたりしたら、一瞬でグラついちゃうのが人間なのかもしれんな。宮野先生、どうやったらその境地にたどり着けるんですか? ねちねちと問いたい。

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