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2025-05-10

彼女は目を閉じて、ゆっくりと唇を近づけた。胸の鼓動が激しくなり、頬に熱がこもるのを感じる。初めてのことじゃないけれど、毎回緊張する。

「もう少し…そう、ゆっくり…」

彼の声が耳元でささやかれると、彼女の手は微かに震えた。緊張を和らげるように彼の指が優しく彼女の手を握る。

「いいよ、焦らないで。ゆっくり、丁寧にね」

彼女は彼の言葉に励まされるように、自分のペースで続けた。唇が柔らかく触れる瞬間、小さく息を飲んだ。感触を確かめるようにゆっくりと押し当て、指先にまで力をこめてしまう。

「強すぎないように、軽く触れるくらいがちょうどいい」

優しくも的確な指示を出す彼。彼女はそれに応えるように微妙な加減を繰り返した。額に汗がにじみ、二人の吐息けが静かな空間に響いた。

「あっ…」

彼女が思わず声を漏らすと、彼が慌てて言った。

大丈夫、よくあることだよ。気にせずそのまま続けて」

彼女は小さく頷き、唇を再び慎重に動かし始める。完璧リズムを掴むのは本当に難しい。だが彼の的確な助言で徐々にコツをつかみ、動きがスムーズになっていく。

「そう、その調子。ほら、だいぶ上達したよ」

彼の褒め言葉に、彼女は誇らしげに微笑んだ。緊張が解けてきたのを感じると、ますます大胆に動きを加速させる。

そしてついに、彼女は満足げに息を吐き出して顔を上げた。彼も嬉しそうに微笑んでいる。

「やったね、これであなた完璧だよ」

彼はそう言って、テーブルの上の小さな布巾を手渡した。彼女はその布巾で、ピカピカに輝く真鍮製のトランペットマウスピースを丁寧に拭いた。

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