最初からSF路線匂わせすごかったしそんなん既定路線だろ!というのは分かった上で、それでも孤星以前の鉱石病やシーボーンが「なんかよく分かんない脅威による理不尽」扱いされていた頃の方が共感できてたんだよな。鉱石病は理不尽だし社会は糞だし人間は分かり合えないかもしれないけどそれでもなんとか出来ることを希望を捨てずに頑張って行きましょうって空気が濃かった頃というか。今もその理念自体は一貫してると思うけど。
実際(8章でも盛り上がってたけど)孤星で滅茶苦茶ハネたのは知ってるし、実際孤星は単体の物語としてもイベントストーリーとしても良くできた集大成のストーリーだったとは思うが、でもあの後全体のトーンが孤星的な色付けに一気に染まって(あるいはそれまでの種明かしとして)、物語の要素がとことんSF的な世界観にどんどん回収されていく様になったのは正直ついていくのが難しい。
決定的だったのは生存航路で、勿論それまである意味メインのストリームから完全に浮いていたシーボーン関係のストーリーがちゃんとメインに合流していきそうな期待感を提示されたのは良かったのだが、ああ自分が潮汐、狂人号、統合戦略で惹かれた「クトゥルフ的な正体不明の脅威」としてのシーボーンや深海教会は最早無くなってしまったのだな……と感じてしまって少し寂しくなった。
またスケールがデカくなかった分、初期に焦点が当たっていたような一般的な感染者や天災トランスポーター達がささやかに物語に絡む隙が今までよりも更に失われている気がして、まあ結局のところ自分の推しにシナリオの焦点が当たることは多分もうほとんどないんだろうなと感じることが増えたというか(というかこれが全てなのだが)。
勿論シナリオを畳み始めているが故にというのも分かるし、実際アークナイツのシナリオ自体は評価されるに値するものだとは疑わないが、それはそれとして初期のある意味素朴だった頃から楽しんでいた身からすると、なんかアークナイツ君も随分大きくなっちゃったねと時々遠い気持ちになる。