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2025-04-26

文春砲とは

文春砲」という語に内包される意味を紐解き、より深く「文春砲」を理解したい。

  

まず「文春」とは、『週刊文春』を指す。

これは株式会社文藝春秋が出している週刊誌で、いわゆるゴシップ報道が多い情報週刊誌である文藝春秋を縮め「文春」となっている。

  

では「文藝春秋」とは何か。

元々は大正12年1月菊池寛が創刊した雑誌文藝春秋から由来し、更に言えば、この『文藝春秋』という誌名は『新潮』で菊池寛が連載していた文芸時評タイトルから由来する。

 

 「文藝」は文章の技巧ということだが、「春秋」とは何か。

由来はおそらく「春秋の筆法」。

  

春秋の筆法」」とは、何か。

孔子編纂に関わった魯国の年代記春秋』(五経の一つ)の文章には、孔子の短い表現の中に厳しい正邪の判断が加えられているとされており、転じて「事実を述べるのに、価値判断を入れて書く書き方」を指す。特に、間接的原因にも重要意味を認めて、直接的な原因であるかのように述べて、厳しく批判する論法を表す。例えば、「このトランプの放埓な関税政策は、春秋の筆法をもってすれば、白人中産階級の衰退に依拠するといえるだろう」と言った使い方ができる。

   

菊池寛「文藝春秋」の創刊の辞において、

「私は頼まれて物を云ふことに飽いた。自分で、考へてゐることを、読者や編輯者に気兼なしに、自由な心持で云つて見たい。友人にも私と同感の人々が多いだらう。又、私が知つてゐ若い人達には、物が云ひたくて、ウヅウヅしてゐる人が多い。一には、自分のため、他のため、この小雑誌を出すことにした。」

と述べているが、「春秋の筆法」を念頭においた文面にみえる。創刊に当たって、文章を通し、自身価値観に基づいて、社会事象を論じていきたいという意思が感じられる。

  

翻って、「週刊文春」は、この菊池寛の創刊の辞の如く、「文藝春秋」の意のように、自由な心持で書き、奔放に論じるからこそ、様々な方面評価され、恐れられているのかもしれない。

  

では最後に「砲」とは何か。

古代中国では投石機に「礮=砲」の字を用いた事があり、その内、火薬投射する物を特に火砲大砲などと呼ぶようになり、後に火砲大砲などが略されて「砲」の一字になっている。つまりは元々は石弓として石が投げられてたが、次第に、火薬を用いて、威力が増し、そうして強化されたものがまた改めて「砲」と呼ばれたようだ。

  

まとめ:

文春砲」:文章という物理的には何の脅威にもならぬ過小なものが、技巧を加え、自由な心持で書かれることにより、独自価値観社会事象を論じ、威力を増した兵器のように、社会に衝撃を与えるような存在となったもの

  

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