東京で働いていると、昼飯が一日の数少ない楽しみになる。これはもう会社員の業のようなもので、昼休みのために朝を耐えて、午後のためにカツカレーを食べる。そんな毎日だ。
とはいえ東京は外食天国なので、油断するとあっという間にランチ代が吹っ飛ぶ。気づいたら月末、Suicaのチャージが1万円減っていて、記憶にあるのは「お、今日はちょっと良いとこ行くか」と言って入ったビル地下のタイ料理だけだったりする。自分は一体、何を食べてここまで来たのか。いや、何を食べて生きているのか。
で、本題なんだけど、「東京で最もコスパが良くて美味しいランチ」はどこかという話になると、これはもう答えなんて出ない。なぜなら東京は広すぎるし、人によって「美味しい」の基準も違うし、そもそも”コスパ”という言葉自体が自己申告制だから。
ただ、自分なりの答えを出すならば、それは「大衆中華」か「町のとんかつ屋」になると思う。
例えば、神保町にある某中華料理屋。ここは平日限定で、ランチ定食が650円。しかもライスとスープがセルフでおかわり自由。麻婆豆腐定食を頼むと、明らかに中華鍋を振ったであろう香ばしい香りの湯気が立ちのぼり、豆腐がきっちり熱い。味もちゃんと辛くて旨い。唐辛子のパンチと花椒のシビレがきいてる。おっさんばかりの店内で、みんな無言で白米を掻き込んでいる。この沈黙こそが信頼の証だと思ってる。
あるいは、高田馬場のとあるとんかつ屋。ヒレカツ定食が800円。ご飯、味噌汁、キャベツおかわり自由。とんかつは厚切りで、衣がサクサクしていて、箸で切れる柔らかさ。これで800円って正気か?と毎回思う。しかも大将がめちゃくちゃ無愛想で良い。常連にもタメ口をきかないタイプの老舗の貫禄。客もそれをわかってて、誰も無駄口をきかず、みんな一人で黙々と食べて出ていく。ここも沈黙の美徳。
最近は1000円超えのランチも当たり前になってきて、スタバのフラペチーノより安いと「安っ!」と思ってしまう異常な感覚に陥っている。でも、まだ東京には「この値段でこのクオリティ!?」という店が確実に存在する。問題は、それを見つけられるかどうか。口コミを頼っても、すぐバズって行列ができてしまうから、結局は自分の足で歩くしかない。
たまに、「飯にコスパ求めるやつって可哀想」みたいな言説を見るけど、僕はコスパを求めること自体が、むしろ誠実さだと思ってる。限られたお金と時間の中で、どうにかして最適解を見つけようとしている。その姿勢はまるで、人生の戦い方そのものじゃないか。
なので、今日も昼休みに地図アプリとにらめっこして、まだ見ぬ名店を探している。できれば、増田たちのおすすめも教えてほしい。そしたら、また昼休みの人生がちょっとだけ楽しくなるかもしれない。
チッ (「東京ローカルな話題ですいません(笑)」かいな腹立つやっちゃのぅ)