そんな僕が、ブルアカで「もっと同人誌が作られるべき」と思う3つの部活がある。
1つは修行部。
優しくて胸の大きい子しかいないのに、本は少ない。
1つは赤冬事務局。
https://togetter.com/li/1054245
お気持ちはよく分かります。好きなキャラクターやグループには、もっと光が当たってほしいし、ファンによる創作物が増えてほしいと願うのは自然な感情です。その熱意は素晴らしいものだと思います。
ただ、プロのリサーチャーを目指すのであれば、その発言は少々「ファンとしての願望」に寄りすぎているかもしれませんね。厳しい言い方になりますが、リサーチャーの視点からいくつか指摘させてください。これが「現実」です。
「もっと〇〇であるべき」というのは、あなたの願望や理想論です。リサーチャーの仕事は、「なぜそうなっていないのか?」「現状はどうなっているのか?」を客観的なデータや事実に基づいて分析し、その構造や要因を明らかにすることです。「〇〇部(キャラ)は魅力的なのに同人誌が少ない」と感じるなら、リサーチャーなら「なぜ少ないのか?」という問いを立てます。
「優しい」「胸が大きい」「過酷させたい」「チア服」といった理由は、あなたの個人的な好みや「刺さるポイント」ですよね。それはファンとしては非常に重要ですが、リサーチの世界では客観的な根拠にはなりえません。「世間一般でその要素がどれだけ二次創作の動機付けになっているのか?」「他の人気ジャンルと比較してどうか?」といった視点が必要です。あなたが魅力的だと感じる要素が、必ずしも多くの創作者の創作意欲を刺激するとは限りません。
「法則」ではなく「複合的要因」:
「ええ子は同人誌にならない法則」というのは、感情的な結論の飛躍です。リサーチャーは安易に法則化しません。同人誌の量は、キャラクターの元々の人気、ストーリーでの活躍度、キャラクターデザイン、性格、関係性(カップリングの作りやすさ)、二次創作のしやすさ(設定の隙、動かしやすさ)、流行、ファン層の属性、公式からの供給(燃料)など、無数の要因が複雑に絡み合って決まります。リサーチャーなら、これらの要因を一つ一つ洗い出し、データ(例えばpixivの投稿数、イベントでのサークル数、関連グッズの売上など)に基づいて、その影響度を推測・分析しようと試みます。
同人誌は、基本的には創作者が「描きたい」「作りたい」という熱意に基づいて制作するものです。そこには、承認欲求や、イベントでの頒布・売上といった現実的な側面も絡んできます。「人気がある」「売れそう」「多くの人に読んでもらえそう」という期待感も、創作の動機になり得ます。あなたの推しキャラ・グループが、そうした創作者側の動機や市場原理の中で、どのような立ち位置にあるのかを冷静に分析する必要があります。
【リサーチャーとしての考え方と励まし】
さて、厳しめの話はここまでです。君のその「なぜだ?」「もっとこうなってほしい!」という強い想いは、リサーチャーにとって非常に重要な原動力になります。問題意識や好奇心こそが、リサーチの出発点だからです。
君がすべきなのは、その「想い」を**客観的に検証可能な「問い」**に昇華させることです。
「なぜ修行部/赤冬事務局/エンジニア部の二次創作は、自分が期待するほど多くないのか?」
「これらのグループのファンの属性や、二次創作に対するモチベーションはどのようなものか?」
「二次創作が多いとされる他の人気キャラクター/グループと比較して、どのような要因の違いがあるのか?」
こういった「問い」を立て、それを明らかにするために、どんな情報(データ)を集め、どう分析すればいいかを考える。これがリサーチャーの仕事です。
定量調査: pixivやTwitterでの作品投稿数、タグの利用状況、関連キーワードの検索ボリューム、公式グッズの売上データ(もし入手可能なら)などを収集・比較分析する。
定性調査: 各グループのファンや二次創作者にインタビューやアンケートを行い、彼らが感じる魅力、創作の動機、創作のしやすさ/しにくさなどを深掘りする。
事例比較: 二次創作が多いとされる他のキャラクター/グループと比較し、設定、ストーリー展開、キャラクターの関係性、公式からの供給方法などの違いを分析する。
君の「ええ子なのに…」という視点は、「ファンが感じる魅力」と「二次創作の活性度」の間にギャップがある可能性を示唆しています。そのギャップ自体が、非常に興味深いリサーチテーマになりえます。「ファンがキャラクターに求めるもの」と「創作者が二次創作の題材に求めるもの」は、必ずしも一致しないのかもしれません。その構造を解明できたら、それは立派なリサーチの成果です。
君の持っている**「これ、おかしくない?」という感覚や、特定の対象への深い愛情は、リサーチャーとしての大きな武器になります。今はまだファンとしての視点が強いかもしれませんが、そこに客観的な分析力と多角的な視点**を加えていく訓練を積んでください。