思春期真っ只中にいた僕も今やすっかり都会の味を覚えたけれども、それでもふと故郷のことを思い出して懐かしくなったりする。
ここでいう都会とはつまり僕が今聴いている音楽であり、故郷とはつまり、2009年を中心としたニコニコ動画ミュージック、つまり初音ミクとその仲間たちの音楽である。何が言いたいかというと、音楽の趣味が変わっても昔聴いてた音楽って特別だし、無性に聴きたくなる時があるよねってこと。
2009年の僕にとっては目の前に広がるインターネットってのが全てであったわけだ。そこにあるのは最先端かつ世界を変える予感を孕んだ音楽ジャンルであった。結局ボーカロイドの全盛期はたったの数年で終わってしまった。2007年の末にメルトが公開され、2011年の9月に千本桜が公開され、そして2013年にサマータイムレコードが公開される。長く見積っても10年無い。2017年には既に砂の惑星となっている事が発見されるわけだしね。まあでもロックだって69年を最後にスピリットは売り切れてるわけだし、ジャズだって結局54年にバートランドの夜が明けてから向こう10年くらいに伝説の名録音ってのは集中しているわけで、(ジャンルの細かい定義の話とか、みんなのこだわりは一旦置いといてくれ)そうやって考えると音楽ジャンルの絶頂ってのは10年くらいが限界なのかもな。それくらいの年数が経つと、人が集まりすぎたり先鋭化しすぎたり、そもそもみんなが飽きちゃったりってことで萎んでいくんだろう。
こういうことを書きながらSpotifyを徘徊しているとけっこうまだみんな活動していて、あの頃の曲をセルフリメイクしていたりする。(白い雪のプリンセスはのリメイクが2022年に公開されてるなんて知ってたか?)聴いてみると、オケのクオリティなんかはもちろん上がっている。そりゃ当時はオタクが暗くて狭ーい部屋で安物のDTMソフトで作っていたんだから音のクオリティが上がるのは当たり前だ。初音ミク自体も、あの頃はappendで大騒ぎしていたのにV3,V4と経ていまやNT2(ニュータイプ2)まであるらしい。こういった曲たちを聴いてみると、まあ確かによくなってるはよくなっているんだけど、うん、でもやっぱり、あのころ通っていた店が地元に帰ってきたら改装していたみたいな寂しさがある。一丁目ゆきみ商店街もずいぶん様変わりしているなって感じる。
今ちょっと言ったV3エンジンってのは当時めっちゃ革命で、本当にボーカロイドの歌い方それ自体がガラッと変わってしまう代物だった。これは聴けばわかる。V2エンジン特有のキンキンした感じがとられて、声は丸みを帯びて親しみやすくなった。でもあの金属音のような感じもボーカロイドの良さであったことに変わりはない。もちろんV3エンジンがもたらした恩恵ってのはものすごい。きっと音声読み上げソフトみたいな、実用的な方面にも影響をあたえてるんじゃないだろうか。でも俺の好きなボーカロイド曲はどれもV2だ。それに、俺が離れていったタイミングとV3が発売されたタイミングはほぼ一致している。だから、新しくリメイクされたいろんな曲を聴いてみても、なんとなくしっくりこない。曲自体は、絶対新しい奴のほうがいいんだけどね。
たまーにDECO*27の初期の曲とか聴いてると、しみじみよくって泣きそうになっちゃうね。愛言葉とか本当にいい曲だよ。よかったらみんなの、あの頃のボカロの好きな曲とか教えてくれよな。
packageすきやった
kzいいよな。 俺はyellowが好きやで
初音ミクの豊胸
サボテンと蜃気楼 今見ても泣く