99u:「99u」に興味深いポッドキャストが投稿されていました。そこでは、「RadioLab」というラジオ番組のホストAbumradさんが、人がリスクを冒して何かに挑戦している時、強い身体反応が出るということを自身の経験を引き合いに出しながら語っていました。Jad Abumradさんは、RadioLabが始まったばかりの頃のことを思い出すと、「胃がひっくり返る」という言葉が頭に浮かぶそうです。

Abumradさんのラジオ番組は、11年の歴史を持ち、今や450以上のナショナル・パブリック・ラジオで放送されています。その番組は、科学や哲学や人間の体験についてレポートしているので、Abumradさんが体験した胃のむかつきについて生理学的に調べたのもうなずける話です。

まず最初にAbumradさんは、共同制作者のMichael Elsesserさんに、自分たちのラジオ番組が始まってすぐの頃、不安や心配によって身体症状が出たのは、なぜだったのだろうかと聞きました。すると彼は「私も頭が痛かったから、自分の頭をさすったりするのに、ずいぶん長い間デスクの前に座っていたのを思い出すよ」と笑って答えたそうです。

そしてElsesserさんはこう続けました。「あの頃は、自分たちのやっていることを、誰にとっても合理的でわかりやすいように説明する方法がわからなかった。そうこうしているうちに、『一体どうなってるんだ?』と、誰かに詰問されるものと思っていた。その番組をどれくらいの期間やるのか、どうやって収支をつけるのかとね。焦燥感にかられながらも、長い間、その答えを出せずにいたんだ」

その緊張は悪いものではない

Abumradさんによると、緊張感に伴う胃がひっくり返るような感じというのは、太古から人間にある生理学的な反応です。人間の祖先が捕食者に囲まれて生活をしていた頃、人間の体は危機が迫った時、即座に外敵から逃げられるように順応していました。

生物学者のRobert Sapolskyさんによると、生命が危険にさらされるような状況に対して反応している時は、消化など、逃亡するために不要なシステムは止まるようにできているのだそうです。

「つまり、今まさに『生き延びるために逃げなければ』と体が言っているから、胃の機能が停まっているのです」とAbumradさんは言います。少し大袈裟に思えるかもしれないとも言っていますが、彼にとってラジオ番組開始直後の時期というのは、常に生命の危機にさらされているような気分だったのでしょう。

それでも、何か大きな課題に立ち向かっている証とはいえ、胃がひっくり返るような感覚というのは、あまり気分の良いものではありません。

偉大な心理学者のMilton Ericksonさんは、最悪の気分になっているということを自覚できれば、突如としてそれが解決法を示すことにもなると言っています。つまり、胃がひっくり返るような気分の時は、そのまま止まらずに進めと体が言っているということです。

「胃がムカムカして吐きそうな気分の時も、自分は正しい道を進んでいるのだと思えるなら、問題はないでしょう。それは多分、自分が良い仕事に取り組んでいるということなのですから」とAbumradさんは言っていました。

今度、緊張のあまり吐き気をもよおした時は、そうやって自分をなだめてみてはいかがでしょうか。

Stomach Tied Up in Knots? That's a Very Good Sign|Inc.

Laura Montini(訳:的野裕子)

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