調査報告書について説明する第三者調査委員会の工藤涼二委員長(右から2人目)ら=13日午後、神戸市中央区(撮影・小林良多)
調査報告書について説明する第三者調査委員会の工藤涼二委員長(右から2人目)ら=13日午後、神戸市中央区(撮影・小林良多)

 兵庫県の告発文書問題で、文書を作成した元西播磨県民局長(故人)の公用パソコンに記録されていたとされる私的情報が交流サイト(SNS)などで拡散された問題で、経緯を調べた県の第三者調査委員会は13日、外部に漏らしたのは県職員の可能性が高いものの、特定はできなかったとする調査結果を公表した。

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 県は、容疑者不詳のまま、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で県警に告発状を提出。県警が受理するかどうかを判断する。

 私的情報は、知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首らが昨年11月末以降にSNSや動画投稿サイトで公開。県は今年1月、委員3人と補助委員1人の計4人の弁護士でつくる第三者委を設置し、3月末に調査を終えていた。

 調査は、元県民局長の私的情報が県保有情報と同一かどうかと公益通報の該当性を確認した上で、漏えい経路を調べた。

 報告書によると、私的情報は県保有データと同一で、刑法にかかる事実の記載などを要する法定要件に照らし、公益通報に当たらないと判断。だが、漏えいした経路は絞りきれなかった。ただ、元データの保管場所などを知るのが人事課職員の一部に限られ、ネットワーク外部から侵入された形跡もないため、県職員から漏れた可能性が「極めて高い」と指摘した。

 会見で工藤涼二委員長は「誰が持ち込んだかではなく流出経緯を調べる趣旨。漏えい者の探求になる恐れがある」として、立花氏を聴取しなかったと説明。県は、拡散した私的情報が県保有情報と同一とする調査の結論が出た後も、立花氏らに削除を要請はしていないと明らかにした。

 第三者委は、知事に批判的な内容だった週刊文春記事についても情報の提供経路を調べたが、特定できなかったとした。

 13日に神戸市内で会見した立花氏は「データは昨年、県職員から見せてもらい、表示画面を撮影した」などと話した。

 告発文書問題では、元県民局長の私的情報の内容を前総務部長が県議らに漏えいした疑惑を調べる第三者委も今年3月末に調査を終了。人事上の処分の有無が決まるまでは公表できないとしている。(井上太郎)

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