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スティーブ・ジョブズがAppleを葬った日(1/3 ページ)

» 2007年02月16日 09時00分 公開
[David Morgenstern,eWEEK]
eWEEK

 10年前の2月第1週、スティーブ・ジョブズ氏はAppleを殺した。つまり、社内および社外から、コンピュータ業界にとって高い価値を持つものとみなされていた多くのプロジェクトや組織を解体し始めた。

 これは、悪名高き1997年春の組織改編の発表で、この年の春を通して段階的に進められた。忍耐強い同社の開発者や独立系ソフトウェアベンダー(ISV)は、WWDCで強い衝撃に見舞われた。スティーブ・ジョブズ氏がAppleのその後の方向性について計画を発表したのだ。

 現在では、ここ最近Appleの歴史を彩っているiPod景気や、小売り戦略とIntel搭載Macへの移行の成功に気を取られ、われわれは1997年に語られた「未来」の幾つかが実現していないことを忘れている。

 WWDCとAppleと開発者の関係は昔も今も気に掛かる。無理もないのだ。

 Appleのメディア担当者は今週、記者らに対し、WWDC 2007の予定を6月のカレンダーに書き込むようにと連絡してきた。

 Mac好きのサイトでは、「Mac OS X 10.5」(コードネーム:Leopard)の発表日と、Appleのスイート製品の次期バージョン、「iWork '07」の同時リリースのうわさが飛び交っている。まだ発表されていない2月20日のAppleスペシャルイベントの話も多い。

 詳細はどうあれ、Appleは今度のWWDCまでにLeopardを出荷した方がいい。過去2回のWWDCで、このOSの更新された機能や新機能については既に発表されているのだ。また発表だけというわけにはもういかない。

 AppleのWWDCは、新機能を生かしたクールで新しいプログラムを開発者が作る(そして販売する)ためのノウハウが語られる場でなければならない。もちろん、Leopardを買い求める行列を見れば、開発者は心からそうしたメッセージを支持するだろう。(そして、ぱっとしなかったWindows Vistaのプロモーションと違い、Macユーザーは大挙してLeopardをインストールするだろう。現行バージョンのTigerリリース時と同じように。)

 Appleはツールを整理する必要もある。昨年の秋、同社はXrayという、OpenSolaris DTraceベースのダイナミック・アプリケーション・パフォーマンス・フレームワークを追加していると言った。

 だが、開発者は新機能の追加にバグフィックス――特に新機能のバグフィックス――が追いつかなくなっていると長い間批判している。

 こうした認識は、プログラマー、マシェイ・スタコウィアック氏の2月6日のSurfin' Safariブログへの書き込みなどに見ることができる。このブログでは、ブラウザのSafariで使うフレームワークであるWebKit、MacのDashboardウィジェットなどのMac OS Xアプリケーションが扱われている。

 スタコウィアック氏は次のように書いている。「利害関係者やWebKitコミュニティーのメンバーと何度も話し合った結果、われわれは本気でコードを完成させる時が来たと決心した。開発に約2年を費やし、その間複雑な互換性の調整、パフォーマンスの向上、標準遵守の強化、新機能開発などを行った。今こそソースツリーを完成品にする時だ」

 開発者は待ちきれないと言う。

 Karelia Softwareの共同経営者、ダン・ウッド氏はこう語る。「いいことだ。WebKitは、Mac OSへの依存性の軽減やSVG(Scalable Vector Graphics:2次元ベクター画像記述形式)のサポートといった新しいプロジェクトで暴走気味だった。それ自体はいいことだが、フィックスする必要のあるバグが山積みなのだ」。Karelia SoftwareはSandvoxという、Webサイトをリアルタイムで編集できるシンプルなエディターツールのメーカーだ。

 「明らかに、AppleはWebKitをLeopardのリリースのために完成させようとしている」(ウッド氏)

 もちろん、Windows Vistaがついに市場に投入された今年は世界が注目している。Microsoftの悪夢のような開発プロセスのおかげで、Appleは過去数年間、Windowsとのプラットフォーム比較で楽勝してきた。

 Appleは「スニークピーク」でLeopardの機能の幾つかを紹介してきたが、最も忠実な開発者でさえ、完全なパッケージはまだ入手していない。Leopard発表の際、ジョブズ氏はAppleはリリースまで幾つかの機能を秘密にしておくと語った。

 例えばディスプレイ技術の「レゾリューションインデペンデンス」や「ZFS」(Zettabyte File System)の統合など、「隠された」機能の幾つかは既に公開された。レゾリューションインデペンデンスは、ウィンドウやメニューといったOS要素の解像度をコンピュータ画面の物理的なピクセル密度から切り離す技術で、ZFSはSolaris 10のファイルシステムだ。

 こうしたLeopardの新機能は、Appleのサイトで大々的に宣伝されてはいない。だが、開発者はこうした機能に期待しており、開発者のほとんどはLeopardのビルドに取り組んでいる。

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