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豚バラを濃いめに味付け!「帯広風豚丼」はガッツリいきたい気分を満たしてくれる

料理・食文化研究家の庭乃桃さんに、ガッツリ飯「帯広風豚丼」を自宅で簡単・美味しく作るコツを教えてもらいました。

こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。今回ご紹介するのは、帯広風豚丼! 養豚業の盛んな北海道帯広・十勝エリアのローカルフードとして知られ、肉フェスなどのイベントでも定番になりつつあります。ジューシーに焼き上げた豚肉とパンチのきいた甘辛いたれが食欲をそそるメニューです。

今回はご家庭でもチャレンジできるように、手軽に美味しく作るコツをご紹介したいと思います。

▲厚切り豚バラ肉は、豚丼で使われる定番部位のひとつ

帯広名物の豚丼は、地元・北海道でもお店ごとにさまざまな味付けがあり、どんな部位の肉でも作れますが、材料自体は基本的にとてもシンプル。豚肉と、砂糖や醤油などの基本調味料があれば作れます。

中でも今回は、帯広の豚丼でよく使われる厚切り豚バラ肉で作る方法をご紹介します。さらに、たれの作り方をひと工夫することで、薄切り豚バラ肉でも満足感のある味に仕上げる方法もお伝えしていきます。

それでは、思い立ったらすぐに作れるとびきり美味しい帯広風豚丼、早速一緒に作っていきましょう!

「帯広風豚丼」

材料(1人分)

  • 温かいご飯……1人分
  • 厚切り豚バラ肉(※1)……200g
  • 小ねぎ……2本
  • 油……小さじ1/2~1

【たれ】

  • 砂糖(※2)……大さじ2
  • 酒……大さじ2
  • みりん……大さじ1
  • 醤油……大さじ2強

※1 焼き肉用の厚切り豚バラ肉(またはブロック肉を5mmの厚さに切ったもの)だと本格的な味わいになりますが、後述のようにしゃぶしゃぶ用の豚バラ肉や薄切り豚バラ肉などでも美味しく作れます。

※2 砂糖は、できるだけ茶色がかったもので作るとコクやうま味が増します。

作り方① たれを作る

まずは、たれを作っていきましょう。

おうちで帯広風豚丼ならではの香ばしさやコクのある味わいを再現するために、一番大きなポイントとなるのがこのたれ作りです。

単に焼いた豚バラ肉に調味料をからめるのではなく、このしっかりしたパンチのあるたれを先に作っておくことで、どんな厚さの豚バラ肉で作っても満足感のある豚丼ができます。

▲家庭にある基本調味料でOK!

たれに使う調味料は、砂糖、酒、みりん、醤油の4つ。このうち、砂糖は黒糖、きび糖、てんさい糖、三温糖など、できるだけ茶色がかったものを使った方がコクや甘みが強く、味に深みが出ます。

また、醤油だけは風味が飛ばないよう仕上げに加えますので別にしておきましょう。

▲まずは、砂糖、酒、みりんだけ煮詰めます

砂糖、酒、みりんを、カラメル状になるまで煮詰めていきます。小鍋に入れて、中火にかけましょう。

次第にフツフツしてくるので、スプーンなどで軽く混ぜます。

▲水分が飛び始めたら、時折鍋を前後に傾けるようにして煮詰めていきます

徐々に水分が飛び始めますが、まだ我慢! 

時々鍋を傾けるようにしながら、鍋底全面を使ってさらに煮詰めていきます。

▲泡が大きくなってきたら、香ばしい匂いがしてくるか確認

フツフツした泡が、かなり大きくなってきました。ここから、香ばしい匂いがしてくるまで、鼻をきかせながら待ちます。

▲香ばしい匂いが少しでもしたら、すぐに火を止めます

たれが茶色っぽくなり、香ばしい匂いがほんのり感じられました。ここですぐに火を止めましょう。

▲醤油を加えると余熱でジュワ~ッと泡立ちますが、これでOK

火を止めたら、最後に醤油を加えます。

▲このまま置いておくと、冷めてとろみがさらに強くなります

鍋を再び傾けながら、全体をムラなく混ぜ合わせたらできあがり。

カラメル状になった砂糖と、煮詰めた酒とみりんがコクを支える、濃厚なたれの完成です!

作り方② 豚バラ肉を焼く

たれが完成したら、豚バラ肉を焼いていきます。

同じ豚バラ肉でも、厚切り肉と薄切り肉とで焼き方にちょっとしたコツがあるので、それぞれご紹介しますね。

いずれにしても肉はすぐに焼けてしまうので、その前にトッピングの小ねぎを刻んでおきましょう。

▲水にさらす手間がないので、今回は簡単な小ねぎで

小ねぎは白髪ねぎやさらしねぎで代用してもかまいません。ねぎがあると彩りが豊かになるだけでなく、薬味にもなるので豚バラ肉を飽きずに美味しく食べることができます。

また、お店によっては、ゆでたグリーンピースや紅しょうが、温玉などをトッピングするケースもあるようなので、お好みでそろえてみてくださいね。

▲豚バラ肉は重ならないように並べましょう

それでは、いよいよ豚バラ肉を焼いていきます。まずは、厚切り豚バラ肉の焼き方から。

強めの中火で熱したフライパンに、油を入れて厚切り豚バラ肉を並べていきます。豚バラ肉自体からも脂は出ますが、少し油を入れておいた方が、フライパンの底面の温度が上がりやすくなるので、呼び水ならぬ「呼び油」的に使っていきます。

▲厚切り豚バラ肉の場合、しっかり焼いてもジューシーさが残ります

やや強めの火であまり動かさずに焼き、片面にこんがり美味しそうな焼き色がついたものからひっくり返します。

そして、裏面はさっと焼くだけ(ほんの3秒ほど)にして、すぐに取り出します。この後たれをからめる時にまた火にかけるので、この段階では中まで完全に火が通っていなくても大丈夫です。

▲余分な油を取ることで、しつこさのないすっきりした味わいに

そして、ここで一度しっかりと豚バラ肉の油を切っておきます。あらかじめ皿などにキッチンペーパーを重ねて敷いておき、上下からはさむようにしてしっかりめに取っておくと、この後の工程でたれの味が中まで入りやすくなりますよ。

作り方③ たれをからめる

それでは最後に、たれをからめましょう。

一度使用したフライパンは余分な油や肉の破片などで汚れていることが多いので、まずはそれをさっときれいにしておきます。

▲先ほど作ったたれが冷えてとろみが強くなりすぎていた場合には、水(分量外)を小さじ1程度加えてフライパンでのばしておきます

続いて、たれを入れて弱火にかけます。

▲最後はたれを煮からめながら、豚バラ肉に火を通します

煮立ったところで豚バラ肉を戻し入れ、丁寧にたれをからめながら中まで火を通しましょう。

火が通ったら、丼に盛ったご飯の上に肉をのせ、

フライパンに残ったたれをまわしかけて、小ねぎをたっぷりとのせます。

さあ、できました! 早速いただいてみましょう。

▲照り感のある、あめ色のたれが最高

厚切り豚バラ肉はやわらかく、香ばしさもあってしっかりとジューシー!

所々についた焼き色と、しっかり煮詰めて作ったあめ色の濃厚だれが本当によく合います。薬味の小ねぎが、一層食欲をそそります。

ご飯との相性も、もちろん最高です。たれ自体がとても美味しく、香ばしさや奥深いコクがあるので、もうそれだけでもペロリと食べられてしまいそうな勢いです!

薄切り豚バラ肉での作り方

さて、続いて厚切り豚バラ肉よりもお求めやすい薄切り豚バラ肉で美味しく作るコツをご紹介します。厚切り豚バラ肉ほどのボリュームはありませんが、肉の焼き方と仕上げ方を工夫することで手軽に、美味しくいただけます。

▲さっと焼くだけで火が通りやすい、しゃぶしゃぶ用の豚バラ肉で作るのもおすすめ

薄切り豚バラ肉を使う場合は、とにかく焼きすぎないのがポイント。たれにも香ばしさや濃厚さがあるため、肉をさっと焼くことに集中します(※上の写真は、カリッと感&こんがり感を出すために少し長めに焼いています)。

こちらも後でたれをからめる時に火が入るので、裏面は焼くか焼かないかくらいで大丈夫です。

▲薄切り豚バラ肉も、一度しっかり油を切るのがポイント

厚切り豚バラ肉の時と同様、一度キッチンペーパーにあげてしっかり油を切ります。

▲かさの少ない薄切り豚バラ肉なら、たれの鍋に直接入れてからめてもOK

最後は弱火で軽く火を入れながら、味を含ませます。

こちらも完成!

余熱でも火が通ってしまう薄切り肉の場合、肉のジューシーさに加え、カリッとした豚バラ肉の香ばしさも楽しめます。厚切り肉の方がごちそう感は出ますが、これはこれで十分美味しいです!

しっかり味の濃厚なたれでガッツリいただく帯広風豚丼。お好みの厚さの豚バラ肉で手軽に作れますので、ぜひこの満足感をご自宅でも味わってみてください。

書いた人:庭乃桃

niwanomomo

料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。

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