ついにXbox Oneが来たぜ!
先週のソニーのプレイステーション4発売に続き、マイクロソフトのXbox Oneが、今日発売されました。米国のゲーマーは大忙しですね。マイクロソフト期待の新ゲーム機、ゲーマー達が待ち望んだ新ゲーム機、ただゲーム機と言ってしまうにはスゴすぎるゲーム機。アメリカやヨーロッパの各国等で発売となったXbox One。日本発売について詳しいことはわかっていませんが、とにかくレビューを見てみましょう。
アメリカでは即行でレビューしています。即行と言っても今日買ってちらっと見たというのではありません。発売前から使い事前にレビューしていたもの。なので、完全レビュー。PS4レビュー同様に、とても長いのでこちらも覚悟してどうぞ。
Xbox Oneとは何ぞや?
Xbox Oneと言ったらXbox One。大きな成功を収め、一部では前世代ゲーム機戦争の覇者とも言われるXbox 360の後を継ぐ、野心のつまった端末。ゲームをする機械。だがそれだけではなく、テレビをも支配するもの。未来のマシン。なんで注目されてるの?
Xbox Oneは、巨大なゲームハードウェア帝国を次ぐ後継者だから。また、未来への大きな期待と野望を持った端末でもある。Kinectを起点に、メディアに注視しケーブルもテレビも飲み込んだマシン。今までのどんなゲーム機にもできなかった様々なことができる。ただ、もちろん期待された動きをちゃんと期待通りにできれば、の話ではあるが…。
デザイン
■コンソールXbox Oneでまず最初に目がいくのは、そのサイズ。大きい。滑稽なほど大きい。Xbox 360がXbox 360 (Slim)を飲み込んでお腹が膨れたようだ、とでも言おうか。ブルーレイプレーヤーというよりはビデオカセットレコーダーだ、とでも言おうか。なんと説明しようもないが、個人的にセガサターンを思い出す。先週発売となったPS4と比べると、圧倒的にでかい。が、もしこのオーバーサイズによってXbox 360にあった熱問題が解決するのならば、許容範囲だと言える。
そのサイズをのぞけば、Xbox Oneのデザインについて特に言うことはない。角度がついているわけでも、目を惹く何かがあるわけでもない。Xbox 360が「X」の形状であったのとは似ても似つかず、Xbox Oneはただの「箱」である。半分はマットで半分は艶という具合に、若干ただの箱よりはまし。だが、テレビ下に設置すれば、あっと言う間に背景に溶け込んでしまうだろう。
テレビの下に設置する物として、Xbox OneについてくるKinectカメラも忘れてはいけない。こちらもかなり大きい。重さも大きさも懐中電灯ほど。
初代Kinectとは違い、このKinectには可動パーツがない。故に、角度を変えたりゲーム中に首を振ることはない。静かにそこに在る様子は、まるでこちらを見つめるロボットの顔のようだ。ウォーリーぽい、または酔っぱらったJohnny 5か。
■コントローラー本体がどうであろうと、手の中にあり、常に触れるのはなんと言ってもコントローラーだ。最高と断言できるXbox 360のコントローラーとサイズはほぼ同じ。しかし、Xbox Oneコントローラーは、若干コンパクトで少し重く堅くなったように感じる。非常に良い。
最も目につく変更点は、やはり十字キー。丸に十字の型があるのではなく、新十字キーはその名の通り、十字の形をしているのだ。ガイドボタンは少し上部にずれ、その代わり「スタート」「セレクト」ボタンがある。この3つのボタン(ガイド/スタート/セレクト)がトライアングルを描いている。スタート/セレクトボタンは、前機種と同じ場所にある。
ジョイスティックはXbox 360よりも小さく、より簡単に動かせる。しかし、その代わりに、良い意味での固さを失っているのではないだろうか…。スティックの縁にある滑り止め加工のおかげで、感触は最高。
また、音の出るトリガーも加わった。ジョイスティック同様に、こちらも引きやすくなっている。引きやすく静かなことで、逆に銃っぽいクリック感がなく、中には物足りなさを感じるユーザーもいるだろう。触ると確かに今までとは違うと感じるが、その違いが悪いというわけでもない。また、トリガー上のバンパーが前モデルよりも少し大きくなっているが、これも特に問題はない。
Xbox Oneのコントローラーに、PS4で見られたDualShock3からDualShock4へのアップデートのような派手さはない。しかし、これはDS3がそもそもしょぼくて、Xbox 360コントローラーは元々良いコントローラーだったという取り方もできる。正直、Xbox Oneのコントローラーが360のコントローラーよりも優れているかと言われるとわからない。もちろん、それは、自分が長年の360コントローラー愛用者だからかもしれないが…。
使用感
■ゲームするPS4同様に、Xbox Oneの画質は驚くほど素晴らしい。レビューでは複数のゲーム(Forza 5、Dead Rising 3、Crimson Dragon等)をプレイしたが、どれも例外なく美しかった。もちろんこの画質は、PCゲームなら有り得た話ではある。しかし、ゲーム機業界では、Xbox One(そしてPS4)の美しさは驚くレベルだ。もちろん、8年ぶりの新端末だから予想通りと言えばその通りだが。
また、ゲームによってXbox Oneの性能を最大活用しているものも、そうでないものもある。例えば、発売同時リリースタイトルの1つである「Dead Rising 3」は、残念ながら720p(1080pまでアップスケール可)で30fpsなのだ。もちろんこれも悪くはないが、500ドルの端末に対して度肝を抜かれるほどではない。また、画面一杯にゾンビが登場するシーンでは、極稀にだが少しカクカクする。PS4の「Killzone: Shadow Fall」でも少しカクカクが見られたので、ここはおあいこと言ったところ。
PS4(DualShock4)のタッチパッド、ライト、シェアボタン等のように派手で大きな追加機能はXbox Oneにはない。手の中の使用感という点で言えば、Xbox OneとXbox 360では大差ない。ほぼ瓜二つだと言っていいだろう。が、逆にこれがいいのだ。360が素晴らしかったからこそ、これがいいのである。マイクロソフトが加えた多少のアップデートは、プレイを開始してしまえば気づかなくなる程度のもの。しかしそれでいい、それがいいのである。
ゲーム機発売時にレビューをするのには難しさがある。PS4同様に、コントローラーの使用感を完全に伝えるには、ゲームタイトルが足りないのである。可能性は秘めているのだが、人気タイトルが今後発売されていかなければ、わからないことだらけ。また、今後の開発者の努力によっても大きく変わってくる。現状でも十分楽しめるが、やはりこれからが勝負所だ。
ソーシャル
Xbox Oneをプレイしていて言えることは、たぶん同じ頃友達もプレイしているだろうということ。Xbox Oneにもいくつかソーシャル機能が備わっている。繋がれる友達数は1000人。これだけあれば十分だろう。また友達とは別にフォロワーというのもある。友達には入らないフォロワー。ほぼ無関心なフォロワー。タブを分けて管理することができる。
繋がっている友達と何ができるのか。アクティビティフィードには、何をしているかが流れていく。テレビを見ているのか、アプリを使っているのか、ゲームをしているのか等々、シェアし放題。もちろん、シェア機能は何も目新しくはない。が、Xbox Oneでよりスムーズにできるのが良い。
Project Uploadアプリを使えば、ゲーム動画の共有もできる。ゲームプレイ中ならいつでも「Xbox、これ録画して!」と言えばその30秒前から、又は最大その5分後まで録画される。録画後は、シェアする前にナレーションやPIP、さらにフィルターを加えて編集が可能。また、SkyDrive上にも保存することができるので、インターネット上の様々な所でも後ほど共有することができる。
大きく気になる点としては、現時点ではストリーミングができないこと。Xbox Oneはすでにストリーミング配信サービスのTwitchとの提携が決まっている。しかし、実際にサービスを使うには来年まで待たなくてはいけない。(一方、PS4は発売時からTwichとUstreamのストリーミングが使用可能)もちろん、無理矢理取り繕うよりは、万全を期すために待った方がいいのだが、この機能不在は痛い。
ダッシュボード
Xbox Oneのダッシュボードは、Xbox 360のユーザーインターフェースからの最も大きな発展ポイントだろう。タイル表示は、Xbox 360というよりもWindows 8のそれに近い。奇抜すぎず、しかしフレッシュなアップデートである。
Xbox Oneを起動すると、全てがそこにある。アプリ、ゲーム、通知、そして購入して使うことができる様々なアイテム機能。ぱっと見は、少し込み入った感じがするが、使い始めれば難しくはない。
そして何よりも、速い。アプリ起動にかかるのは、5秒から10秒程度。ダッシュボードでズームができるが、これは全くカクカクなし。ところで、ここで表示されている「タイル」は、Windows PhoneやパソコでのWindowsとは違い、「ライブ」ではない。つまり、リアルタイムの情報を自動でアップデートするわけではないのだ。
レビュー中に、何度かアプリがフリーズ/クラッシュすることがあった。(特にSkyDriveとIEアプリ)しかし、これまた発売前レビューだったので、プレリリースファームウェアを使っていたので、それが原因かもしれない。早々にアップデートされるのではないだろうか。(発売時にはすでにアップデートされた可能性もある)バグの話をすると、「スナップ」機能でも何度か不具合があった。スナップ機能とは、テレビ画面の横にゲーム画面を出したり、ウェブブラウザを音楽画面の横に出したりできるもの。つまり画面を分けて2アプリ同時表示できるのだ。スナップ/アンスナップする時に、前にスナップしたアプリが再度表示されてしまう等、バグが出やすくなってしまっているようだ。
ユーザーインターフェースは、とても気が利いている。例えば、ゲームタグ事に色設定を分けることができる。小さなことだが、実にゲーム好きに気を利かせた機能だ。また、誰がログインしてプレイしているのかを知るヒントともなり、Kinectにとっても助かる機能だろう。
Kinect
Kinectと言えば、かなり改善された音声認識、ボイスコマンドによるユーザーインターフェースに注目だ。ユーザーがどこを見ていようと、声で喋って操作することができる。もちろんユーザーインターフェースはボイスコントロールがなくても動くようにできている。が、つねにオプションとしてあると思うと嬉しい。
■ボイスコントロールKinectは、表向きはまずカメラだ。しかし音声認識の機能もXbox Oneのセールスポイントとして大きい。その性能も素晴らしい、ただし上手く動いている時はだが。発売前からわかっていたことだが、KinectがXbox Oneという商品の中で占める割合は実に大きく、その機能は奥深い。
Kinectの音声認識機能は素晴らしい。かなり良い。とにかく良い。Xbox Oneにおいて、大抵のことはボイスコマンドで操作できる。できないことはほとんどない。レビュー時に、唯一止まってしまったところは、設定メニューとKinect構成ウィンドウにある変なボタンがでてきた時だけ。それ以外では、アプリの切り換えも、ゲームの起動も、アバターのカスタマイズも、通知の確認も、Netflix利用も、Skypeでの電話も、SkyDriveから動画をとるのも、本当に何もかもがボイスコントロール可能なのだ。実に効率的。
どれほど使い勝手がいいか一例を挙げよう。例えば、IEでもボイスコントロールが使える。「ブラウザー、ギズモードのページへ」「〇〇(リンクが貼られている言葉)をクリック」ここまでできるテレビブラウザは間違いなく初めてだ。さらにこれだけでは終らない。最高なのは、声でコントロールするので、自分がどんな状況でも問題ないというところ。ベッタベタの手でドリトス食べながらでも、気にせず楽に操作できるのである。
しかし、ほとんどのことをボイスコントロールで操作可能だとしても、それが完全に直感的な操作だというわけでもない。スクリーン上に緑で表示されるテキストをコマンドとして発する時は、単にそのコマンドを話せばいい。しかし、グローバルコマンドを実行したい時は、まず最初に必ず「Xbox」と呼びかけなくてはいけない。
「Skype起動」と言うだけではダメなのだ。必ず「Xbox、Skype起動」と言わなくては相手(Xbox)に伝わらない。ちなみに、ゲーム起動の時は、ゲームタイトルを正式名称で全部言わないとわかってもらえない。「Xbox、Forza起動」ではダメ。「Xbox、Forza Motorsport 5起動」ときちんと言わないと伝わらないのである。この部分は、今後開発者の努力に期待したい。
ボイスコントロールを上手く使うには、少しだが練習も必要だろう。ストアからチュートリアルをダウンロードすることができる。これは上手く使うには必要なレッスンだ。30分ほどチュートリアルをやれば、あらかたのことはわかるようになる。もちろん、いくらレッスンをしても、コマンドによっては上手くいかなかったり、何度も言わなくてはならなかったりする時もあるが、そこはご愛嬌。
Kinectのリスニング能力でいうと、耳がとてもいい。が、同時に耳が良すぎるせいか、後ろで雑音がすると上手く理解してもらえない。レビューでは、自分の部屋(狭くはないけど、広くもないアパート)での成功率は90から95%というところ。ちなみに、この時の状況は、Kinectから遠ざかり、小さな声でボソっと話していた。それでも、90%はいける。30フィート(約9メートル)離れたベッドに横になりながら「Xbox、ホーム画面へ」というコマンドを発したが、特に声を大きくすることもなく通じた。また、トイレ(ドアは開けたまま)から発した音楽停止のコマンドも通じた。しかし、実際におしっこをしている最中のコマンドは通じなかった。このジョーっという雑音すら、耳が良すぎるKinectにとってはノイズとなったようだ。
この背後の雑音問題についてマイクロソフトが何もしなかったのかというと、そうではない。この雑音問題は、後から設定する仕組みになっているのだ。設定時に、Kinect自身が部屋の音やテレビの音を聞き、その後は雑音を聞き分けてコマンドを拾えるようになる。その結果、ゲームの爆発音の最中でもコマンドが通じた。が、予想外の音、Kinectの知らない音が背後で流れていた場合は別である。例えば、Podcastが小さな音でも音楽を流している、レビューした時のカメラ担当者が歩く音がする、彼女が咳き込む音がする、それだけでKinectは混乱してしまうことがあるのだ。基本的に、登録されているコマンドをミスすることはほとんどないが、とにかく混乱すると「聞く」ことをやめてしまうようだ。
「Kinectがどこまでできるか試してみようホームパーティー」を家で開催し騒いでいると、開始数分でその騒音に耐えきれずに、ボイスコマンドを「聞く」ことをやめてしまった。その後は、たとえ2インチ程度の距離でコマンドを話してもダメだった。パーティーが終わり、部屋がある程度のレベルまで静かにならないと、Kinectは「聞く耳をもたない」状態だった。
つまり、Kinectのある部屋、ゲームをする部屋が静かな環境ならば、ボイスコントロールの性能は高く、スター・トレックのような世界を味わえる。しかし、部屋に常に数人いたり子どもがいたり、とにかく常に雑音が生じる場合はいまひとつ。「Kinectに話すから、みんな静かにして」と言わなければ通じないのである。こうなると、ボイスコントロールの感動は薄れる。
■カメラ音声認識はさておき、Kinectの真髄はやはりカメラである。その性能はさすがと言える。Kinectが最も得意とするのは、プレイヤーを認識しログインすること。それも自動で行なわれる。何も言わずとも自然に、いつもやってのけるのだ。その成功率は非常に高い。ただ、時に10秒から15秒ほどの遅れが生じることもある。
Xbox Oneの前に座ってゲームしようとすると「ようこそ、Fatty Limesさん!」と表示される。その時の気持ちはなんとも形容しがたいものがある。Xbox Oneは目の前のプレイヤーが誰かすぐにわかるのだ。(これは、自分のアカウント名のせいもあって、もっとかっこいい名前にすれば気分がいいのかもしれないが…)
Kinectのカメラに感動する理由の1つとして、そのスムーズさがある。カメラをじっと見つめる必要も、認識してもらうために顔を上げることも、動きを止めることもない。スクリーン前のユーザーを見て、それが誰かを認識する能力がとにかく高いのである。もし、複数人が部屋にいたり、Kinectが表示したアカウントが間違っていれば、ただ手を挙げるだけで修正ができる。細かく設定する必要はない。大抵の場合はこれで問題なく動く。時にKinectで修正をしなくてはならないこともあるが、修正の度にその精度はあがるので、今後を考えればたいした手間でもない。
カメラの性能は素晴らしいが、一方で素晴らしすぎて迷惑な面もある。例えば、友人とゲームを共に楽しんでいるとしよう。一昔前ならば、友達が2個目のコントローラーを使って邪魔してふざけるなんてことがあったが、高性能カメラKinectの場合はここが違う。友達に邪魔する気がなくても、時に同じ部屋に存在するだけで、もっと言えば顔が映っただけで、Kinectが反応して意図しない動きをさせてしまうことがあるのだ。友達にしてみれば、顔があるだけで邪魔してしまったというのは、なんともどうしようもない罪である。
また、Kinectは複数人を認識できる(全員がプロフィールを持ち、Kinectに顔が登録されている場合に限る)が、時々、今誰が操作をしているのか/ボイスコマンドを発しているかを判断しかねることがあるようだ。例えば、友人のニックの横で自分が「僕のページ表示」とコマンドを発しても、ニックのページが表示されてしまった。これはかなり頻繁に起きたミスだ。
ちなみに、下の画像がニック(左)と自分(右)の写真。同じふざけた顔でも、似ているとは言えないと思うのだが…。
ニックだけではなく、彼女と一緒にいた時も間違えられた。さすがに彼女と自分は似ても似つかない。ただし、これも辛抱強く続けていくと間違わなくなるようだ。彼女とテストを続け、いいかげんあと5分したらやめようと諦めかけた時にやっと上手くいって、そこから後は問題なく作動した。
このミスがどうして起きるのかはイマイチ理解できない。Kinectが複数人を見分け、操作している人を理解するのは、音声認識によるものではない。認識したプレイヤー達の口の動きを見て判断しているのである。テストでは、かなりKinectに近い位置から初め、最後は3フィート(約1メートル)の位置まで下がった。しかし、それでもエラーが出ることがあった。Moto Xのような音声認識システムであれば、この問題はなかったかもしれない。
Kinectへのジェスチャーコントロールに必要な動きは、以前よりかは小さくても平気なようだ。大抵のジェスチャーによる認識は、小さな動きでも通じる。レビュー時は、自分のいつものゲームスタイル(比較的古く小さなテレビ画面に向って2フィート(約61センチ)の距離からPC用チェアに脚を組んで座ってプレイ)でも、自分の顔認識を誤ることはほとんどなかった。また、もう少し広い部屋で6フィート(約1.8メートル)の距離でも、同様に問題はなし。
Kinectへのジェスチャーコントロールは、そのユーザーインターフェースに内蔵されている。スクリーンに手を向けて選択する操作は、かなりその精度が高い。とは言っても、完璧とまではいかないが。正直、精度は高いというより低くないというレベル。いや、ぶっちゃけいまひとつかもしれない。10秒間Kinectの前で手をふってみたが、反応せず諦めたということが何度もあった。どうせ、コントローラーや音声認識があるのなら、そちらの方が圧倒的に早くて楽だ。わざわざ何度もジェスチャーコントロールで操作しようとするのは、ただのネタでしかない。
Kinectをベースとゲームの話をすると、Kinectの技術は過去最高だと言える。例えば「Kinect Sports Rivals Preseasons」では、スキーで遊ぶことができるが、プレイヤーが体を左に傾けるとスキーの進行方向も左になる。例え上半身はまっすぐのままで、ちょっとお尻を左に出すだけでも理解してくれて、その認識精度は確かなものだ。しかし、向上した技術をもってしても、コントローラーを使わずにプレイする時は、やはりエラーやバグが出てくることがある。デフォルトのポジションゼロやフィードバック機能がないことも問題だろう。このような不具合が出ている段階では、Kinectのジェスチャーによるゲームはまだまだ心から楽しめるレベルには達していない。
Kinect推しでないゲームならば、なおのことKinectの利用価値は下がる。発売当初の現時点では、Kinectの利用方法は、ほとんどがボイスコントロールによるもの。が、例えばゾンビに向って叫ぶのは「Dead Rising 3」の面白さを殺してしまうのではないか。これはPS4における6方向モーションコントロールと同じく、高性能だが対して使わないというやつでは…。
また、残念なことにマイクロソフトがKinectなしでもXbox Oneの利用を可能にしたことから、Kinectのこれ以上の創作や発展は望めないかもしれない…。
■テレビXbox Oneに興味を持つ人の中には、ゲームはどうでもいいという人もいるだろう。Xbox Oneはリビングの中央に位置し、テレビに力を与えるエンタメ機材となるからである。特にケーブル利用者であれば、かなり便利に使える。
Xbox Oneのテレビ利用パターンは、2つに分かれる。まずは、ケーブルをひいていないパターン。この場合、もちろん悪くはないのだが、その利用方法はかなり限られたものとなる。赤外線内蔵により、テレビのリモコンとして使える。設定すれば、テレビのリモコンができるほとんどのことは、Xbox Oneでできるようになる。テレビを点ける/消す、音量を変える/消音にする等々。それらテレビの動きをコントローラー、またはボイスコントロールでできるようになる。「音声下げて」と言えば小さくなる。これはそこまで感動しないかもしれない。しかし「Xbox起動」でテレビがついてくれるのは嬉しい。またリモコンは行方不明になったり、なぜかソファから手の届かない位置に置かれていたりすることが多々あるので、ボイスコントロールは一度使い始めるとはまってしまう。
ケーブル利用者の場合は、もっと多くの機能を使うことができる。例えばOneGuide。これは設定で許可すれば、ケーブル用専用ボックス(セットトップボックス)のメニューをXboxのメニューに置き換えることができるというもの。
テレビの設定と同じ様に、OneGuideの設定もいたってシンプルだ。ケーブル会社のリストをXboxが読み込めば、そのメニュー画面はOneGuideのメトロデザインへと変わり、テレビの新たなインターフェースが楽しめる。
OneGuideの最大の魅力はカスタマイズ機能。テレビのチャンネルも自分が好きなものだけのリスト表示ができる。そのリストにストリーミングアプリ(例えばNetflix等)を加えることも可能。長い長いケーブルのチャンネルリストをかちゃかちゃしなくていい、それだけでどんなに楽か、テレビっ子ならすぐわかるだろう。
その代わりと言ってはなんだが、OneGuideは遅い。…遅い。Xbox OneはあくまでXboxであって、セットトップボックスの代わりになるものではない。ボックスの上に乗っかっているだけのものだ。つまり、OneGuideでチャンネル操作をすれば、トップボックスを経由せねばならず、若干間があってからケーブルのメニューがでてくることもある。機能やメニューのデザインで言えば申し分ないが、(そもそもケーブルがこういう機能をつけておけと思うが)同時にXboxを介してセットトップボックスをハッキングしているような微妙な気分にもなる。
1番のがっかりポイントは、やはり前者のケーブルを利用していない人の場合。OneGuideを使って自分の好きなアプリをリスト化しておくことはできるが、ケーブル有の人が感じる便利さ、真の醍醐味は味わえない。醍醐味はケーブルのHDMI端子と繋がってこそなのだ。「Xbox、テレビ見る」のコマンドでインプット変更できる、それが味わえないのはとにかく残念。
■SmartglassXbox Oneには、新たにSmartglassも登場。こちら、Windows Phone 8やiOS、Androidにはすでに配布開始済。これは、Xboxをスマートフォン/タブレット端末で操作できるというアプリ。ただ、今までとはデザインが代わり、機能も追加されている。
まず、そのインターフェースのデザインが、Xbox Oneのメインスクリーンのデザインに寄せてある。より一体感のある見た目だ。ただ、最近利用したアプリやソーシャル関連、メッセージや通知等は、Xbox Liveのアカウントの方と同期されている。
が、肝心なのは今までと比べて、これがかなり使えるリモコンだということ。注目なのは、「スナップ」したアプリは同時にこれで操作ができるというところ。つまり、NetflixとIEをスナップ機能で同時に利用していれば、Netflixを操作しながら、IEのアドレスバーに文字を入力することができるのだ。
簡単に言えば、Smartglassは、ボイスコントロール/ジェスチャーコントロール同様に、コントローラーを使わずにXbox Oneを操作する方法の1つである。そして、Xbox Oneで使える最良のキーボードになるとも言える。使う使わないは自由として、オプションにあると嬉しい。
■メディアアプリオンデマンド系アプリになると、Xbox Oneは期待される大抵のことはやってのける。Netflix、Hulu Plus、Amazon Instant Videoがあり、HBO Goも近々対応予定。どのアプリも期待通りに動いてくれる。が、中にはXbox Oneらしさをより活かせている仕様を組み込んだものもあり、違いがでている。
が、残念ながらどのアプリもボイスコントロールを活かせていない。マイクロソフト側の事情なのか、サービス側の事情なのかはわからないが、せっかくのボイスコントロールを使わないのは非常に残念。ここは今後のアップデートに期待したい。
従来のコントローラーを使えば、何も文句をつけるところはない。ただ、Xbox Oneならではの何かが欲しかったと思わずにもいられない。
NetflixXbox One仕様で、タイル系表示のデザインに。だが、その表の派手さをのぞけば、現段階ではアプリとしてはいまひとつ。ホームでマイリストの表示はなく、代わりにあるのは「今人気の動画」だ。(ちなみに、ホーム以外でもマイリストを見つけられなかった。どこにあるのだろうか…)人気動画リストは、ジャンル分けがされており、特にアレがみたいというのでなければ使える機能だ。
見たい物が決まっている場合、タイトルを入力して探すのだが、ここでSmartglassやボイスコントロールが使えれば、と願わずにはいられない。近々アップデートで使用可能にしてほしい。もちろん現状のやり方でも探せるのだが、この次世代新端末にはあまりに古くさいやりかたすぎやしないだろうか。
Amazon Instant Video特にいうことなし。基本のインターフェース。PS4で見たのと大差ない。コントローラーで操作するのに適した作りだ。
が、こちらもNetflix同様に文字入力、キーボードの問題がある。繰り返すが、なんでSmartglassやボイスコントロールが使えないんだ、と。
Hulu PlusHulu Plusは、上記2つに比べると若干まし。ページのスクロールなどで多少ボイスコマンドが使える。しかし、これもコントローラーを使った方が楽だろう。
こちらも検索するには、キーボードによる入力が必要だ。Netflixのキーボードよりは少しまし。しかし再度繰り返す、なんでSmartglassやボイスコントロールが使えないんだ、と。
SkyDriveストリーミングアプリは今や当たり前の時代。Xbox 360にもPS3にもすでに搭載されていた。しかし、Xbox OneのそれはSkyDriveを上手く利用したユニークなものとなっている。古い「.mpeg」「.avis」も写真も、SkyDrive上にあがっていれば、テレビ画面でも十分に見ることができる。Windows Phone 8で写真をとるユーザーには嬉しい仕様だろう。言いにくいが、海賊版の使用者にも利点となってしまう。
良いところ
Xbox Oneは、未来の端末だ。ゲームを素晴らしいクオリティでプレイできる上に、さらにたくさんのことができる。大きな野望を持つマシンだが、それに見合って大抵のことは上手くできている。Xbox Oneに深く組み込まれたボイスコントロールとKinectの機能は実に未来的だ。起動しボイスコントロールで操作していると、実に気持ちがいい。Kinectが顔を認識してログインしてくれるのは楽しい。
Xbox Oneの魅力はそれだけではない。ケーブル利用者ならば、テレビ視聴にも大きく役立ってくれる。好きなチャンネルのリストカスタマイズは実に素晴らしい。Xbox Oneの基本的なテレビ操作も申し分ない。常に完璧とは言えないが、動作が上手くいった時に限って言えば、その動きは完璧だ。
ボイスコントロールが好きでない人も安心。何も使わなくてもいいからだ。今まで通りコントローラーがある。ゲーム機に話しかける(又はジェスチャーコントロールする)のが嫌ならば、ただコントローラーを使えば良いだけの話。Kinectは素晴らしいが、嫌なら布を被せてしまえばいい。プラグを抜いてしまえばいい。録画機能等、使えなくなる機能もあるが、基本動作は問題ない。オプションとして好きにすればいいだけの話だ。何より、なんで操作するか、使うか使わないかの設定が簡単なのが魅力なのだ。Xbox Oneは、未来を「今」感じることができるマシンである。
ダメなところ
Xbox Oneは確かに期待を裏切らない端末ではあるが、完璧とはいえない。動作ミス、エラー、クラッシュ、とにかく不具合が起きている。確かに、ボイスコマンドを聞き取れないことは稀だ、誤動作も稀だ。しかし、それでも不具合があることに変わりはない。特に、室内に複数人いる時、みんなに自慢の端末を見せたいと思うそのせっかくの状況で、不具合が起きやすいのがつらい。部屋に1人で使えば問題はない、しかしそれでは、あまりにつまらないだろう。
Xbox Oneは、確かに360よりも力がある。が、発売時の現状で言えば、ゲームのラインナップと仕様に問題がある。「Dead Rising 3」や「Call Of Duty: Ghosts」の720p、PS4の1080pには、やはりかなわないのか。もちろんXbox Oneでも十分美しいのだ。しかし、クロスプラットフォームのゲームをプレイする時、Xbox Oneでは、そのゲームの持つ最大の美しさが見ることはできないと思うとガッカリである。
またXbox Liveがまだ高い。Xbox Oneになってもそれは変わらない。もちろん、PS4もPS3で無料だったオンラインマルチプレイヤーを有料化したので、おあいこと言えばおあいこかもしれない。しかし、ストリーミングアプリをすべて有料の壁で区切るのは、メディアボックスとして大事な機能が欠如しているとは言えるのではないか。
買うべき?
まだ。まだ買い時ではない。一般的に、新ゲーム機を発売すぐ買うのは、コアファンでもない限り賢い選択とは言えないだろう。PS4でもすでに、不具合として「ブルーライトデス現象」が報告されている。Xbox Oneでも似たような不具合が出ることは十分考えられる。また、(PS4よりは多少ましでも)発売同時リリースのゲームタイトルもまだ少ない。「ウォッチドッグス」「Destiny」「Titanfall」等のビッグタイトルが発表される数ヶ月後まで待っても問題ないだろう。「Halo 5」にも期待がかかっている。ソフトウェアにもまだムラがある。いくつかのアプリで不具合が起きている。Twitchのストリーミングサービスも来年までは対応されない。HBO Goも近々対応と言われているが、今はまだ使えない。それなら、まだ待っていればいいだろう。様々なバグも今後アップデートで修正されていくだろう。
本当にやりたいゲームの発売、使いたいアプリのリリースまで、バグ修正を願いつつ待っていればいいのではないだろうか。
現段階でも、Xbox Oneはリビングに置く、十分に期待にそえるエンタメマシンだろう。500ドルという価格以上の働きをするだろう。が、もう少し待てばもっと良くなるのではないか。
今後のアップデートによって不具合が解決され、様々な対応がされれば、Xbox OneはPS4さえたどり着けない、誰にもとめられないマシンになるかもしれない。期待と同時に不安もある。未来を先走り過ぎてしまう可能性があるからだ。さぁ、どちらに転ぶのだろう。
とにかく今はまだ待つ時。思ったよりも大きなサイズなので、一応テレビ周りの整理でもしながら様子を伺うのが良さそうだ。
結果、PS4のレビュー同様に「まぁ、待て!」というのが答え。日本発売の詳細がわからないので、どちらにしろ我々は待っているしかないのですが。これは、第1次発売国じゃないことが幸いするかもしれませんね。
ちなみに、このXbox OneのレビューもPS4と同じエリック記者が担当しているので、同じ人の意見ということで比較しやすいかと。
スマートフォンやラップトップとは違い、リリース頻度が低く、1度リリースされると長い付き合いになるのがゲーム機。これからの年月を考えれば、多少の待ちだってたいしたことはないですよ。ね。
そうこ(ERIC LIMER 米版)