隣りにいたってメールしかしません...
いろんなケータイ会社が少し前から料金プランのシフトなどで対応を図ってきてますけど、もうそれでも追いつかないくらい、音声通話の利用離れが世界的に加速してるんだそうですね。毎月ついてくる無料通話なんて、いつも使わずにドンドン余りまくってるなんて人も増加の一途をたどってるんだとか。ギズ読者の皆さまはいかがですか?
そもそもiモードの時代から、世界に先駆けてケータイメールやネットの利用が盛んだった日本は当然のこととして、ついにこれまでは文化的に音声通話が欠かせないと言われてきた国々でも、このところ裏を返したように急にケータイでしゃべることがなくなってきてるんです。その犯人はiPhone人気であるなんて指摘まで判明してきてますよ!
もしやこれからはiPadみたいに通話できないのにケータイ会社と契約して、それを携帯電話代わりに持ち歩く人も増えてくるのでしょうか? ダイヤルキーがついた電話機なんて化石のように貴重なモデルになったりして? ちょっと驚きの海外の最新ケータイ事情を、意外なる携帯電話キャリア側の本音と一緒に続きにまとめてみました。どうぞご覧くださいませ。
実は海の向こうですけど、昨年のケータイ利用事情は大きな転機を迎え、これまでの米国における携帯電話会社のサービス提供開始以来、まさに史上初という画期的な統計データが飛び出してきましたよ。ワイヤレス移動体通信産業協会(CTIA)の発表によれば、米国内で携帯電話による音声通話の年間トラフィックが、初めてテキストメッセージやメール、ネット利用などのケータイデータ通信トラフィックの年間合計量を割り込んでしまったようです。
とりわけ顕著だったのは、携帯電話からの1回の通話に費やされる平均トークタイムの減少でして、ついに2分を下回る平均1.81分まで落ち込んだと言われています。逆に、携帯電話上でやり取りされるテキストメッセージの数は大幅に伸びており、とうとうティーンエイジャーの過半数が、毎月最低でも1500通のメールを送っているという驚きのヘビーユーザーぶりが明らかにされています!
毎日必ず50通はケータイからメールを送っている学生が半数以上ときたもんですから、なんとも凄い時代になってきましたね。受信メール数も含めたら、もうほとんどの学生がケータイメール漬けの日々ということなのでしょうか。まぁ、こっそり授業中にメールしまくって50万円の請求が来ちゃった女子中学生は異常なる例外なんでしょうけど...「ケータイで相手に電話をかけるのって、失礼なことだと思うんですよ。こっちの都合で勝手に呼び出されて時間を奪うのはどうかなって考えちゃうんですよね」
「そうそう、もうよほどの緊急時しかケータイで通話するなんてあり得ないです。気軽に送れて、都合のいい時に返事してもらえばいいから、いたってメールは親切丁寧。マナーというか常識ですかね」
「電話をかけるよりメールを打つほうが時間がかかるのは百も承知です。でも、だからって面倒くさがって一方的に通話ばかり相手にさせてたら嫌われちゃいますよ」
「保護者の立場から申し上げますと、娘がケータイ中毒気味だったので、しばらく携帯電話を取り上げて利用を禁止したことがあるんです。そしたら、急に仲間外れになって、どこにも遊びに呼んでもらえなくなり、かえって娘の問題が悪化してしまうという状態になりました。もう子どもたちにとって、ケータイでメールのやり取りができないなんて考えられないことなんでしょうね。さすがに一緒にウチの中にいるのに、私にメールで会話するようになった時には、それだけはヤメなさいって言ったんですけどね」
メールでしかコミュニケーションしない世代には、その世代なりのルールや流儀があるという感じでしょうかね。
ちなみに米国内で非公式に実施された調査ではありますが、別にケータイで音声通話を利用しなくなっているのは若者たちのみならず、中高年未満の全年齢層に共通とのことだそうで、最も無料通話の少ない料金プランを選んでいるのに、それさえも使いこなせずに毎月いつも残っていくという携帯電話ユーザーが、かなりの数を占めたんだそうです。携帯電話で通話するのは平均して週1回、通話時間の合計は1か月でも10分未満という回答者も少なくなかったんだとか。
家に固定電話すら置いていない人が一般的になる中で、こういう非通話派の回答ばかり次々と出てくるというのが意外だったようです。わりと日本でも同じような状況の人が増えてきてますでしょうかね?「携帯電話会社として、最も頭を悩ませているのは、このところ流行中のスマートフォンの存在ですね。これまでのダイヤルキーパッドを搭載するモデルよりも音声通話の感度が良くないものも少なくなく、そもそもいちいち電話をかけるまでにたどりつかねばならない操作が多すぎて、ますます通話離れも進んでいるようです」
「あのタッチスクリーンのケータイ全般がダメですよね。特に女性の手には優しくない。爪が長くても、サッとダイヤルキーを押せばいつでも電話がかけられた今までのケータイより、格段に女性も携帯電話でしゃべらなくなってますよ」
「もう時代の流れには逆らえないから、これから出てくる各種スマートフォンには、せめてものフロントカメラの装備を徹底してもらいたいですね。そうすれば、カメラに向かってしゃべるビデオチャットがブームになって、きっとケータイに向かって音声を出して話しかける昔の文化が復活しますから...」
こちらは米国内の各ケータイキャリアの関係者らが語る座談会での発言とのことですが、中には当たっているものもあるかもしれませんね。iPhoneがキャリアからは敬遠されることが多い訳です。やはりケータイ会社にとっては、とにかく電話ではしゃべってもらわないと儲からないのでしょうか。
「携帯電話事業に参入して以来、これまでずっと音声通話こそがビジネスの要となってきた。だが、もはや音声通話に頼るならば、事業を支えることすらできないのが現実だ」
そう語るのは、米国内で第3位の利用者数を抱える、日本だとソフトバンクのような位置づけのSprint Nextelのある上級幹部ですが、キャリアにとっては非常に厳しい状況みたいです。もう音声の無料通話とかなんてどうでもいいから、無料データ通信プランが充実してくればくるほど、ユーザーにとってはうれしい時代でしょうけどね...
[NY Times]
Kat Hannaford(原文/湯木進悟)