Netflix史上最高のヒット作「イカゲーム」が帰って来た!
シーズン1で、456億ウォンという莫大な賞金を手に入れ一人生き残ったソン・ギフン。だが皮肉なことに過酷なゲームを経験したことが大きなトラウマとなり、まともな生活を送れなくなっていた。ひなびたモーテルに隠れ住みながら、ギフンはゲームを阻止するためにゲームの黒幕と接触することを決意する。再び、死地に赴いたギフンは・・・。
シーズン2には、ギフン役のイ・ジョンジェをはじめ、仮面の男役のイ・ビョンホン、めんこ男役のコン・ユ、兄を探していた刑事役のウィ・ハジュンなど前作のキャストが再登場するほか、イム・シワン、カン・ハヌル、パク・ソンフン、元「BIGBANG」のT.O.P(チェ・スンヒョン)、元「IZ*ONE」のチョ・ユリ、パク・ギュヨン、パク・ヒスンらが新たなキャストとして登場する。
『天命の城』(2017)、『怪しい彼女』(2014)などの作品で知られるファン・ドンヒョクがシーズン1に引き続き、監督・脚本を務め、前作を踏襲しつつも新たな展開を見せている。
『イカゲーム2』は2024年12月26日よりNetflixで独占配信中。
目次
Netflix韓国ドラマ『イカゲーム2』作品情報
2024年/韓国/全7話(427分)/原題:오징어 게임 시즌2(英題:Squid Game Season 2)/配信:Netflix
監督・脚本:ファン・ドンヒョク 製作総指揮:ファン・ドンヒョク、キム・ジヨン
出演:イ・ジョンジェ、イ・ビョンホン、ウィ・ハジュン、コン・ユ、イム・シワン、カン・ハヌル、パク・ギュヨン、イ・ジヌク、パク・ソンフン、ヤン・ドングン、カン・エシム、イ・デビッド、チョ・ユリ、チェ・フンヒョン(T.O.P)、イ・ソファン、イ・デヴィッド、ノ・ジェウォン、ウォン・ジアン、チェ・グッキ、カン・エシム
Netflix韓国ドラマ『イカゲーム2』あらすじ
(第3話までのあらすじを書いています。ご注意ください)
ギフンが「イカゲーム」に勝利して、ひとり生き残り、賞金456億ウォンを手にいれてから3年。彼は賞金でモーテルを買い、そこに隠れて暮らしていた。
ギフンは、かつて借金をしていた金貸しにすべて返済し、さらに彼らに報酬を払って、ゲームのリクルーター役の「めんこ男」を探してもらっていた。
残酷な競技に終止符を打つためゲームの黒幕と接触したいと考えているギフンにとってしばしば地下鉄に現れるめんこ男に接触することが唯一の手段だった。
だが、めんこ男はなかなか姿を見せず、なんの手掛かりもないまま三か月近くがたとうとしていた。
一方、兄に銃で撃たれ断崖絶壁から海に落ちた警官のファン・ジュノは漁師に助けられ生きていた。仕事に復帰し、上司に無人島で大勢の人間を集めたデスゲームが行われていると訴えるが、まったく相手にしてもらえない。休日になると命の恩人の漁師に船を出してもらい、かたっぱしから無人島をあたってみるが、手掛かりひとつ見つけることができないでいた。
ある日、ギフンのもとに金融会社のキム代表から連絡が入る。ついにめんこ男をみつけたらしい。キム代表はギフンに連絡し終えると、部下のウソクと共に、引き続き、めんこ男を追跡した。
しかし、尾行に気づいためんこ男に拉致されてしまう。めんこ男はふたりを縛りあげ、ロシアンルーレットをすることを提案。死をかけたゲームに引きずり込まれた彼らのうち、ウソクだけが生き残った。
めんこ男はウソクから居場所を聞き出したのか、自らギフンのモーテルにやって来た。ゲームの招待状が胸ポケットに入っている、ロシアンルーレットで決着をつけようとめんこ男は提案し、ギフンはその誘いに乗った。決死のゲームはギフンの勝利となり、敗北を認めためんこ男は自ら命を絶った。ギフンは彼の胸ポケットからゲームの招待状をゲットする。
そこへやってきたのはジュノだった。交通整理に当たっているときに、スピード違反でキップを切られたのがギフンだったことを知り、金融会社の調査を経由してギフンの居場所を割り出したのだ。
ギフンが死のゲームをやめさせるために再び、あの場所に行こうとしていることを知り、ジュノは彼に協力を約束する。自分は顔が割れているから、ギフンの奥歯に発信機を埋め込んで後方で援護するという計画だ。
ウソクが協力者を集めてきて、船を二つだして、ギフンのあとを追うが、発信機から判断するにギフンはずっと一か所に留まったままだ。調べてみるとその場所にいた釣り人の餌の中にどういうわけか発信機が紛れ込んでいた。これではギフンがどこに行ったのか、見当もつかないではないか。
再びあの恐ろしいゲームの会場にやって来たギフンもまた、歯に違和感を覚え、発信機がなくなっていることに気が付く。万事休す。誰にも連絡が取れず、ひとりで対処するしかなくなってしまった。
彼のジャージには3年前と同じ456番のマークがあった。見渡すと今回も訳ありの人々が大勢集まっていた。ギフンはその中から旧友のチョンベと再会。かつてギフンはチョンベに金を借りようとしたが彼もまた金に困っていたのだ。他には借金を背負った息子とその息子の借金を返済するために大金を手に入れようと参加した母親が顔を合わせてお互いに驚いていたり、投資に失敗した人気ラッパーや妊娠中の若い娘の姿もあった。人々は皆不安にかられながらもゲームに勝って大金を手に入れたいと願っていた。
ギフンが何もできないうちに最初のゲームが始まってしまった。あの「だるまさんが転んだ」である。ギフンは「絶対に動かないで。動いたら殺されてしまいます!」と叫び、実際、動いた人が射殺されるのを見て、人々は震え上がった。
ギフンは隊列を組むように指示し、人々はそれに従い、慎重に歩みを続けた。その間、ラッパーのサノスはわざと前の人を押して、そのせいで動いた数人が射殺され脱落した。
慎重になりすぎたために、今度は時間の勝負となった。時間以内にゴールできなければ殺されてしまう。人々は懸命にゴールを目指し、多くの人々がクリアしたが、ゴールできなかった人々は容赦なく撃ち殺されてしまった。
ギフンのおかげで犠牲者を最小にとどめることができたが、死者が少なかったために、人々が得た賞金はわずかだった。ゲームのあまりの過激さに震え上がり帰りたがる人が出る一方、賞金の少なさに文句を言う人も。
ギフンは、投票で、やめるという人が多ければゲームを中止して帰れるんですよね、とピンクガードと呼ばれるゲームの運営側の人々に問いかけた。
ピンクガードは投票を始めると宣言。このままゲームの続行を希望するものは「〇」、ゲームをやめ、賞金を分け合って帰宅したいと思うものは「×」のスイッチを押すシステムだ。
生き残った人々、ひとり、ひとりが投票していき、残された人はあとひとり。その段階では同点となっていた。その人がどちらに投票するかで続行か中止が決まることになる。
最後の投票者が姿を見せた。001の番号をつけた男は、仮面の男としてこのゲームを仕切るフロントマン、イノだった。だが、誰も、ギフンでさえも彼の正体を知らない。皆が、固唾をのむ中、イノが選んだのは「〇」のスイッチだった。
ゲーム続行が決定し、ギフンは肩を落とした・・・。
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Netflix韓国ドラマ『イカゲーム2』感想と解説
世界中で空前の大ブームを巻き起こした前作『イカゲーム』は、ゲームの参加者が置かれた過酷な運命と懐かしさを思い出させるゲームそのものの独自性がうまくかみ合ったユニークな作品だった。
今回の「2」では、前作で生き残ったソン・ギフンがもう一度ゲームに参加することでゲームがどのように変わるのかがみどころのひとつとなっている。
おなじみの「だるまさんが転んだ」で、人々に「動くと殺される」ことを告げ、その結果、犠牲者を最小限におさえたギフンは、「投票」でゲームを続行するか終了するか決められるルールを持ち出して、ピンクガードに実施するように促す。
その結果、一票差で続行が決まってしまいギフンは肩を落とすことになるのだが、最後に続行である「〇」に投票した「001」番の男と何人かが彼のところにやってくる。経験者である彼がいたからこそ「続けられる」と思ったのだと「001」は言い、ギフンから次のゲームを聞き出そうというわけだ。この「001」がイ・ビョンホンなので、この段階ではこれはあのフロントマンなのか、それともそっくりさんなのか(弟はウィ・ハジュンなので双子ではないし)など、観ているほうはやや混乱しているのだが、ゲームをやめさせようと参加したギフンが、ゲームを続けさせる要因になったのはなんとも皮肉なことだ。
前回、二番目のゲームは「型抜き」だったこと、もっとも簡単なのは?と尋ねられ「△」であることをギフンは皆に伝える。ところが続くシーンでは「△」を選んだものの、内部に複雑なデザインが描かれていて、ギフンを信じた人たちが彼に詰め寄っている。それはギフンの見た悪夢だったことがすぐに種明かしされるが、次のゲーム会場にやって来た人々は、ゲームがまったく違う団体戦であることを知らされる。このダブルで前回の情報を否定してくる演出が鮮やかだ。ゲームは前回の繰り返しでないことが明らかになり、ギフンの信用はがた落ちになってしまう。
2番目のゲームが団体戦で、チームワークが重視されるものだったように、「2」のゲームはチームを組んだり、人と人の協力がなければ難しい競技が続く。
それは、ギフンが彼の旧友チョンベと再会したり、借金まみれの息子とその老いた母という親子が対面したり、妊娠している若い女性とその相手の投資ユーチューバーの男が再会したり、その男を信用して金をつぎ込み大損したラッパーたちが男に詰め寄る、というように今回の参加者には関係性の濃いメンバーが何組か含まれているのと強く結びついている。
人と人との繋がりが重要になっていく展開は、良くも悪くも人間らしさが全開となり、個々の個性が際立つ面白さがある。そんな中、カン・エシム扮する老母チャン・グムジャが持つ根っからの温かさがちょっとした疑似家族的な関係をうみだすなどギフンの周りには、やや周囲から落ちこぼれた、だが、人情深い人たちが集まってくる。彼らが協力し合い、力を出し合い、生存をかけて競う姿にはライバルであるはずの競技者同士が思わず応援し拍手し合う感動的な場面すら見られる。その中に「001」もいることが常に緊張感をもたらすのだが、ゲーム内で、「001」が不器用な場面をこれでもかと見せるユーモラスな場面もあり、イ・ビョンホンの旨さが際立っている。
だが、ギフンはそんな家族のような人々も生き残るために見放さないといけないというこのゲームの構造を知っている。ギフンはなんとかこのゲームを終わらせたい。そのため、「2」ではゲームを存続するか、中止するかの「投票」が大きな意味を持つことになる。ゲームが終わるたびに「投票」が繰り返されるのだ。
多少賞金が少なくても生きることが大事だと考える人々は「×」を押し、死にたくはないがこんなはした金では帰れない、続行すべきだという人が「〇」を押す。それは、ほとんど同数で、話し合っても歩み寄れない決定的な「分断」を作り出してしまう。
参加者が、自身が投票した「〇」か「×」のどちらかのワッペンをつけるというシステムは「分断」を目に見える形にするものだ。
その対立は最悪な方に向かおうとしており、ギフンは大きな賭けに挑む決心をする。
階級社会の不平等さや、人間性の堕落といった問題は「1」でも明確に描かれていたが、「2」では「分断」の問題が大きくクローズアップされている。
まさにこれは今の韓国社会の姿そのものではないか。いや、韓国だけでなく世界のいたるところで(もちろん、日本も例外ではない)起こっている出来事そのものだ。
三部作の第二部ということで、続きは次回へというラストを迎えるなどいささかまとまりが悪く中途半端な印象を受けるのは事実だが、テーマを先鋭化し、現実とフィクションをより巧みにクロスオーバーさせている点で断トツ「1」より「2」を支持したい。