目安として、一般の社会人を対象にした一般的なテーマのグループインタビューを開催し、調査時間が120分の場合、8,000円程度となります。
インタビュー前に事前課題がある等、対象者にかかる負担の大きさによって金額が増加し、中には謝礼がないグループインタビューもあります。
グループインタビューで謝礼が渡されるタイミングは?
グループインタビューでは、参加者への謝礼は「インタビュー終了後」に手渡し、郵送、もしくは会員サイト上でのポイント付与が一般的です。
これは、インタビューにきちんと参加していただいたことへの感謝を込めて支給するという意味合いがあり、インタビューの内容をしっかり聞いたうえで謝礼をお渡しすることで、報酬目的の不適切な参加を防ぎ、調査の質の担保に繋がります。
対面で実施する場合は、その場で現金や商品券を直接渡すケースが多く、オンライン実施の場合は後日郵送、または電子ギフトでの対応が増えています。
グループインタビューで謝礼を出すメリット
グループインタビューでは、参加者のモチベーションと協力度が調査の質に大きく影響します。謝礼を出すことで、以下のようなメリットが得られます。
- 参加率の向上
謝礼は「時間や交通費をかけた労力に対する対価」として捉えられ、募集時点から参加意欲を高める効果があります。特に有職者の平日夜間やお子様とのペア参加等、参加しにくい時間帯や条件付きの調査においては、謝礼の設定が参加可否を左右する大きな要素となります。
- 本音を引き出しやすくなる
参加者が「適切な対価が用意されている」と感じることで、調査に対する安心感や信頼感が高まり、率直な意見や本音が出やすくなります。これは特に、製品やサービスに対する改善点や不満など、センシティブな意見を求める際に有効です。
- ドタキャンや無断欠席の抑止
謝礼が設定されていることで、調査参加に対する責任感が生まれます。その結果、無断キャンセルや当日欠席のリスクを軽減する効果があります。特に少人数で実施されるグループインタビューでは、1人の欠席が全体の進行に影響するため、この効果は非常に重要です。
グループインタビューで謝礼を出すデメリット
謝礼には多くのメリットがある一方で、コストや運用面における注意点も存在します。
- コスト負担がかかる
グループインタビューでは、1名あたり数千円〜数万円の謝礼を支払うのが一般的です。これが複数名に及ぶと、1回の調査でも10万円以上のコストが発生することもあります。頻繁に調査を実施する企業にとっては、年間での負担も大きくなりがちです。
- 謝礼目当ての参加希望者
謝礼を目的に応募する参加者が一定数存在するのも事実です。とくに高額な謝礼を設定している場合、調査対象条件を偽って応募するケースも見られるため、スクリーニング設計の精度には細心の注意が必要です。
- 対応の不備がトラブルにつながる可能性
謝礼の金額や支給方法について参加者に事前説明が不十分な場合、「聞いていた内容と違う」といったクレームが発生することもあります。支給ミスや遅延などがないよう、事務フローの整備と事前の周知徹底が求められます。
グループインタビューの謝礼を検討するときのポイント
謝礼は、ただ「出せばよい」ものではありません。調査目的や対象者に合わせた適切な設計が必要です。ここでは、謝礼を検討する際の重要な3つの観点をご紹介します。
①謝礼を出すかどうかの判断
対象者の属性や調査の位置づけによっては、必ずしも謝礼を必要としない場合もあります。@>
- 一般消費者を対象とする場合は謝礼が基本
- BtoB調査では、謝礼よりも「業界貢献」や「自社サービス改善への期待」などが動機になることも
- 従業員調査など社内を対象としたインタビューでは、必ずしも金銭の謝礼が必要とは限らない
調査の性質をふまえて、謝礼の有無を見極めましょう。
②謝礼金額の設定方法
謝礼金額は、以下の要素を総合的に考慮して決定します。
- 調査時間
インタビューの拘束時間に応じた謝礼金額目安の一例を紹介します。
インタビュー時間(座談会) |
謝礼金額(対面実施) |
謝礼金額(オンライン実施) |
90分 |
7,000~8,000円 |
7,000~8,000円 |
120分 |
8,000円 |
8,000円 |
150分 |
9,000~10,000円 |
9,000~10,000円 |
180分 |
10,000~12,000円 |
10,000~12,000円 |
- 対象者の希少性
専門家(医師や弁護士等)や経営層は、一般的にインタビューの参加許諾率が低いため、謝礼は高額に設定する必要があります。
- 場所と時間帯
平日昼間よりも夜間や休日の方が高額になる傾向があります。平日休み/土日休み、子なし/あり等、対象者の属性によっても適性額が変わります。また、会場が駅から離れている場合は、許諾率が下がらないよう移動費用を加味した謝礼金額にする必要があります。
- 負担の程度
長時間の拘束やインタビュー中にタスクがある場合や、長期にわたる事前課題がある場合は参加者に負荷を考慮し、金額を上げる必要があります。
③謝礼の種類と選び方
謝礼の種類も、参加者の属性や調査環境によって最適なものを選ぶ必要があります。
たとえば、学生や若年層にはスマホで簡単に使える電子ギフトが好まれやすく、一方で中高年層やビジネスパーソンには商品券や現金の方が安心感につながる傾向があります。また、ファン層向けの調査であれば、自社製品を「体験型謝礼」として提供することで、ブランドへのロイヤリティを高めるきっかけにもなります。
参加者に「もらって嬉しい」と思ってもらえる形を選ぶことが、調査の成功にもつながります。
謝礼の種類 |
特徴 |
現金 |
満足度は高いが、管理やセキュリティ面に配慮が必要 |
商品券・ギフトカード |
汎用性が高く、対面・オンライン両方で使いやすい |
電子ギフト |
オンラインインタビューとの相性がよく、スムーズな運用が可能 |
自社製品 |
ファンインタビューなどで活用されることもあり、参加者満足度が高いことが多い |
グループインタビューで謝礼を出す場合の注意点
謝礼を適切に運用するための実務上の注意点をご紹介します。
- 事前説明を明確に
グループインタビューを実施する際には、募集段階で「謝礼の金額」「支給方法」「支給時期」について、あらかじめ明確に記載することが大切です。これにより、参加者が調査の内容や条件を正しく理解したうえで応募することができ、期待値のミスマッチによるトラブルを未然に防ぐことができます。
たとえば「調査終了後に現金でお渡しします」「Amazonギフト券を後日メールで送付します(実施日から3営業日以内)」といった具体的な説明があると、参加者に安心感を与え、信頼関係の構築にもつながります。
- スクリーニングを丁寧に
謝礼を目的に不正確な情報で応募してくる参加者を防ぐためにも、スクリーニング(事前の選定調査)は非常に重要です。複数の個人情報を用いて不正に応募するようなケースも実際に見受けられる為、条件に合致するかどうかを判断できるような設問設計や、架電での条件確認を行うなどの精度の高い確認作業が必要です。
- 再参加の管理
グループインタビューでは、同一人物が短期間に複数回参加することを避ける管理体制が求められます。特定の人が何度も参加していると、「謝礼慣れ」や「受け答えの型化」によって、本音や自然な反応が得られにくくなる傾向があり、企業やブランド側が求める“生活者のリアルな感覚”とはズレてしまうおそれがあります。
これを防ぐためには、参加者の履歴を記録・管理することが重要です。