退職したいほど「電話が怖い」 SNS世代の社員が抱く不安と責任感

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富永鈴香 玉那覇長輝
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 電話が嫌で嫌でしょうがない――。電話がプレッシャーになり、若手社員の退職につながるケースが出ている。企業は電話の代行や研修を進めるほど。苦手な理由を本人たちや専門家に聞くと、SNS世代ならではの「責任感」が浮かび上がった。

「初めて固定電話を触った」

 「電話応対が嫌で辞める若手社員が増えて、困っている」「内線電話が苦手で社内報告ができない社員がいる」

 企業向けの電話応対研修を行っている「ドゥファイン」(東京都)には、そんな相談が相次ぐ。

 同社はコールセンターを運営するほか、メーカーや病院、サービス業などで年間100社以上に固定電話の使い方や話し方の研修をする。研修に参加した若手社員には「固定電話を初めて触った」と話す人も珍しくない。1週間かけて研修する企業もあるという。

 総務省の2023年の調査によると、国内の固定電話のある世帯の割合は57.9%。スマートフォンが90.6%と年々増加する傾向にあるのとは対照的に、固定電話は過去10年で20ポイント減った。

電話は表情が見えない…

 実際、若手社員たちはどう思っているのか。街で聞いてみた。

 「仕事でも、できることなら電話に出たくない」。この春から都内で働き始めた公務員の女性(27)は話す。飲食店の予約も、電話だけでしかできない場合は諦める。

 自分が話せなくて沈黙を生ん…

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この記事を書いた人
富永鈴香
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
人権問題、政治参加、表現の自由
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    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年5月12日6時0分 投稿
    【視点】

    もはや若者ではないですが、電話嫌いの一人として、気持ちが分かる気がするので、少しばかり、若い世代の擁護を。……電話の何が嫌いかと言うと、「上の年代ほど急にかけてくる方が多いけれど、チャットでは済まない連絡なのかな」という発言にある通り、文字

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    佐倉統
    (実践女子大学教授=科学技術社会論)
    2025年5月12日6時0分 投稿
    【視点】

    電話が怖いという人がこんなにも多いのに驚いたが、顧客ユーザーの側からすると問い合わせ電話はトラブル発生時の最後の生命線なので、なんとしても死守していただきたい。何の役にも立たないAIチャットでさんざん振り回されて、疲労困憊、万策尽きて最後に

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