夏の参院選で大阪選挙区(改選数4)の情勢が混沌(こんとん)としている。政権与党の自民党は、擁立方針だった現職の太田房江氏が体調不良を理由に出馬を見送ったことで、今も全国で唯一候補が決まらず、緊急公募を実施。大阪を本拠地とする日本維新の会は党内予備選で現職が落選し、新人2人で2議席確保を目指す。現職が出馬する公明党以外は、新人が乱立する様相だ。
「勝てる候補を」
自民の森山裕幹事長と木原誠二選対委員長、大阪府連幹部は29日、協議して公募実施を決めた。期間は6月4日までで、党本部主導で同月10日ごろに候補を選定する。木原氏は記者団に「速やかに、勝てる候補を決定したい」と述べた。
自民は大阪で存在感を示せていない。令和3年と6年の衆院選では公認候補を擁立した15小選挙区で維新に全敗した。
今回の参院選での太田氏擁立には府連に慎重論があった。元年選挙の得票順位は最終枠の4番。政治資金収支報告書への派閥パーティー収入の不記載があったことも影響した。
昨年12月に府連会長に就任した青山繁晴参院議員は今月11日の記者会見で、新人の擁立を模索していることを表明した。直後に党本部が現職優先で太田氏を公認する方針を決めると、交流サイト(SNS)で反対の姿勢を鮮明にした。
5月中旬には週刊誌が太田氏の疑惑を報道。太田氏が元年選挙の前、地方議員らに選挙支援の見返りとして資金提供を持ち掛けたとの内容で、太田氏は全面否定したが、「ストレス障害」と診断されたとして、26日に出馬見送りを表明した。
現職は公明のみ
有力視される7月3日の公示まで、残り1カ月余り。直前の公募実施に府連関係者は「前代未聞だ。一日も早く候補を決めてほしい」と焦りを募らせる。
一方、維新も予備選で落選した現職が離党するなど一枚岩になりきれない。立憲民主党は国民民主党との候補一本化を模索したが、国民が元維新衆院議員を擁立しようとしたため、独自候補を決めた。国民は、元維新衆院議員の擁立を巡り、支持母体の連合から反発を受けて人選を見直している。他に共産党やれいわ新選組、参政党などが新人を擁立する方針だ。(山本考志)