迷子の男児を救ったのは、小学6年の男子児童2人組だった。大阪市立西天満小の中瀬清一郎さん(12)と後藤理兵衛(りへい)さん(11)。「行くしかない」。強い使命感で男児に声をかけ、110番。警察官の到着を男児の手を握って待ち、男児は無事に父親と再会できた。勇気ある行動に大阪府警天満署から12日に感謝状が贈られた。
「パパ、パパ」。4月19日正午ごろ、公園で遊んでいた2人は、道路で叫ぶ同世代の男児の声に気付いた。「もしかしたら迷子かな」。そう思った後藤さんが「行く?」と中瀬さんに尋ねた。「行くしかないでしょ」と即答した中瀬さん。2人は男児に近付いた。
「どうしたの」。声をかけるも返事はない。男児は、パニック状態となり、道路へ飛び出そうとするなど落ち着かない様子が続いた。
交番に連れて行くのも難しそうだと判断した2人は110番。不安もあったが、「やるしかない」と迷子の男児の情報や居場所を伝えた。警察官の到着を待つ間、2人は男児とその場にとどまり、「きっとお父さんと会えるよ」と声をかけ、励ました。男児の手を握り、少しでも緊張を和らげるよう努めた。
天満署によると、男児は父親とコンビニにいたが、店から出てしまい迷子になったという。同署にも迷子の相談があったことから、その後、父子は無事に再会することができた。
約300人が集まる全校集会で12日に感謝状を受け取った2人。後藤さんは「良いことをすると気持ちがすっきりする。助けることができて良かった」と笑顔を見せ、中瀬さんも「とても良いことができたんだと実感できた」と感謝状を見つめていた。
天満署の西浦義彦署長は「非常に勇気ある行動」とたたえ、ほかの児童にも「困っている人がいたら助けてあげてください」と呼びかけた。(木下倫太朗)