FRB議長、米利上げ時期特定せず 雇用悪化に「失望」
【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は6日午後(日本時間7日未明)、ペンシルベニア州で講演し、追加利上げは「より緩やかに進める」と表明し、焦点の時期も特定するのを見送る。同氏は5月の講演で6、7月のいずれかに開く会合での利上げを示唆していた。5月の米雇用統計の悪化について「失望した」とも述べ、早期の利上げ路線を微修正する。
イエレン氏は5月下旬の講演で「経済成長が見込み通り続けば、今後数カ月内の利上げが適切だ」と述べ、6、7月いずれかの米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げする考えを示唆していた。3日に発表された5月の雇用統計が市場予測を大幅に下回る低調な結果に終わり、市場はイエレン氏の利上げ見通しがどう変化するか注目していた。
イエレン氏は6日の講演で「政策金利は物価と雇用の安定を保証するため、緩やかに引き上げていくことがおそらく必要だ」と指摘するものの、利上げ時期の特定を避け、経済情勢を当面見極める考えを表明する。米雇用統計の悪化に加え、23日に英国で予定される欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票も「経済に重大な影響を与える可能性がある」と述べ、月内の利上げ見送りを示唆する。
米経済は雇用情勢が急減速したことについて「注視が必要だが、失望した」と述べる。ただ、自動車販売など個人消費が上向く傾向にあると指摘し「経済は拡大を続ける」と先行きの底堅さに一定の自信を示す。FRBは14~15日に続いて7月26~27日にFOMCを開く予定だ。