韓国のコロナ新規感染、世界最悪 1日40万人超
【ソウル=細川幸太郎】韓国政府は16日、新型コロナウイルスの新規感染者が初めて40万人を超えたと発表した。感染者数は今や欧米各国を上回り、世界最悪となった。重症者数や死者数も過去最多水準で推移するものの、韓国政府は行動制限の緩和方針を示している。
15日に確認された感染者は40万741人となり、前週比で約2割増加した。ワクチン接種が遅れた18歳以下が26%を占め、重症化しやすい60歳以上が全体の17%だった。
直近1週間の死者数は1日平均230人と過去最多水準で推移。重症患者数も過去最多の1244人となっており、重症者用の病床使用率は64%で上昇傾向が続く。
各国政府統計などをまとめた感染情報サイト「ワールドメーター」によると、韓国の感染者数が最も多く、世界全体の新規感染者の2割程度を占めた。直近1週間の感染者数ランキングでは、韓国が1位でドイツ、ベトナム、ロシア、オランダが続く。
韓国では9日の大統領選を前に大規模な集会が連日開かれたことも感染拡大の要因となった。さらに政府は飲食店などの自営業者に配慮する形で、営業制限を2月下旬に緩和したことで感染を助長した可能性もある。
韓国政府はオミクロンの特性を踏まえて、重症化しやすい60歳以上の8割超がワクチンのブースター接種(追加接種)を完了したことで各種の行動制限を緩和した経緯がある。当初は「3月上旬に感染拡大のピークを迎える」とみていたが、現在のところ感染拡大に歯止めがかからず、重症者・死者ともに増え続けている。
それでも金富謙(キム・ブギョム)首相は16日午前の対策会議で「オミクロン拡散がピークに達し、間もなく感染拡大の頂点を過ぎる」との予測を公表し、制限緩和を続ける考えを改めて強調した。ただ、医療現場からは拙速な緩和に慎重な意見も出るなど、政府のコロナ対応に批判の声が高まっている。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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