画質と省エネ性能が大幅向上 「AQUOS」4Kテレビ、5シリーズ13モデルを一挙投入
シャープは、テレビブランドAQUOSの2025年夏の新製品として、ブランド史上最高の“輝き”と“省エネ性能”を実現したと謳う、4K有機ELテレビ AQUOS QD-OLED「HS line」、AQUOS OLED「HQ line」、4K Mini LEDテレビ AQUOS XLED「HP line」の、計5シリーズ/13製品を発表した。5月31日より順次発売される。
明るさを向上させて煌めき感のある映像を再現
今回発表の新製品、中でも有機ELとMini LED、それぞれのフラッグシップとなるAQUOS QD-OLED「HS line」、および4K Mini LEDテレビ AQUOS XLED「HP line」については、発光デバイスが最新世代へとアップデートされたこと、それを活かす映像エンジンが最新のMedalist 6へと進化したことで、発光そのものの強化と最適化によって、従来モデルに対して輝き感は、有機ELモデルで2倍、同Mini LEDモデルで1.5倍という高輝度を達成。冒頭、檀上に立ったシャープ TVシステム事業本部 国内事業部 事業部長の高橋秀行氏は「我々が納得できる品位にまで高めることができた」と、自ら太鼓判を押していた。
まずは、高橋氏によるテレビ市場の分析から。近年のテレビ市場では、大型化の拡充はもとより、有機ELテレビやMini LEDテレビといった、より画質に注力した高付加価値テレビの販売が順調だそうで、販売金額では昨年の数字で市場の約41%を占めているという。また、アンケートによれば、そうした製品の購入者の6割以上は画質を重視している、という結果も出ているそうだ。
そうした市場のニーズに応えるべくシャープとしては、高付加価値を持つテレビ(=有機EL/Mini LED)のラインナップを拡充し、同時に画質をより向上させるアップデートを施すことで、ユーザーに幅広い選択肢を提供し、シェアの拡大を狙うとしている。
一方で、省エネへの志向も高まっていることを受けシャープでは、節電機能も強化。13モデル中12モデルで、省エネ目標基準100%を達成したそうだ。65インチで新旧比較すると、約32%の電力削減を実現したと謳っている。
4K有機ELテレビは、より明るく鮮やかに
ここからは新製品について紹介していきたい。まずは、4K有機ELテレビのフラッグシップとなるQD-OLEDのHSラインから。これは、有機ELパネルに、最近流行の鮮やかな色再現を可能にする量子ドットを組み合わせた製品。パネルについては上述したように2025年の最新世代を搭載しており、発光部に周辺への迷光を抑える衝立のようなものを形成することで、光を正面へ効率よく集めることができるようになり、結果、従来よりも明るい映像の再現が可能となった。そして、独自の映像エンジンによる精緻な駆動制御の組み合わせで、上に書いたように前モデル比で約2倍の輝き感を実現したとしている。
そして、先ほどから出てきている新映像エンジンMedalist 6は、今回発表の全製品に搭載されており、前作Medalist 5に対して、処理速度が向上しているそうで、その余裕を、新機能「空間認識AI」に適用している。Medalistについては、もともとAI機能を活用した精緻な処理が特徴であり、画面の中にある物体(オブジェクト)を認識し、それぞれに最適な処理を施したり、スムーズで滑らかな超解像処理(精細感のアップ)、リアルな色彩の再現を可能としていたが、新世代(6)では、新たに“人の目で見た時の映像”に近づける処理=空間認識AIが追加されている。
写真では少し分かりにくいかもしれないが、この映像は手前から奥までピントのあった(パンフォーカス)状態になっており、これまでの映像処理(超解像など)では、近景から遠景までくっきりとした映像になってしまうが、空間認識AIでは、近景はくっきりと、遠景(画面上辺)は少しぼかす処理を入れることで、映像から“遠さ”を感じるようになり、“実際に目で見ている感覚に近づく”というものだ。細かい点かもしれないが、技術が人の感覚に寄り添うように(優しく)なってきたようだ。
発表会では、新製品『HS1』と前モデル『GS1』を並べて同じ映像を表示し、その画質の進化を体験できるブースも用意されていた。新製品は、謳い文句の通りひと目で明るさ、煌めき感が向上しているのが分かった。しかも、通常であれば明るくなれば明度も上がって色味は薄くなりがちなのだが、しっかりと色彩が濃く表現されているのが見てとれた。つまりは、有機ELパネルの高輝度と、量子ドットによる高色彩表現がより一段高められている、ということになるのだろう。まさにフラッグシップに相応しい映像となっていた。
Mini LEDのフラッグシップHP1は75インチをラインナップ
続いて、Mini LEDのフラッグシップ「XLED HP1」シリーズについて紹介したい。Mini LEDパネルは高コントラストで精緻な発光制御ができることもあって、最近では各テレビメーカーから搭載モデルが続々と登場してきている。シャープにおいても2025年版の最新世代のパネル、かつ、有機ELテレビのHS1シリーズと同様に量子ドットも備え、視野角の広い「N-Black Wideパネル」が搭載されており、前モデルに対して約1.5倍の輝き(明るさ)を達成したという。
その仕組みは、Mini LEDとQD(量子ドット Quantum Dot)シートの間に、高効率の光反射シートを設けることで実現したもので、従来はQDシートで反射した光は迷光となってロスしていたが、その迷光をうまく集めて正面に反射させることで、同じ発光量でもより明るい映像が表示できるようになった、というものだ。
展示では、上の写真のように新製品を5年前の製品と比較していたが、気になる消費電力は新製品で20%ほど削減されている割に、その映像はかなり明るく、鮮やかに表示されていた。
ゲーミングに便利な画面縮小機能も搭載
以下、今回発表された製品を順次紹介していきたい。4K 有機ELテレビのHQ1、HQ2シリーズは、従来同様の白色有機ELパネルに、RGBのカラーフィルターを組み合わせたもので、HQ1についてはより輝度(明るさ)を高めた「S-Brightパネル」を採用する。HS1、HQ1については日本国内でも設置しやすい65インチ、55インチを、HQ2では65、55に加えプライベートでも楽しめる48インチ、42インチといった小型サイズもラインナップしている。映像エンジンや空間認識AI、省エネ機能などは共通。
一方Mini LEDのHP2シリーズは、Mini LEDや量子ドットには対応(搭載)するが、視野角は従来通りのN-Blackパネルで、高効率光反射シートは非搭載となる。
その他、共通の便利機能として、テレビでwebブラウジングが楽しめる「Sleipnir TV ウェブブラウザ」、サイバーセキュリティソフト「ESET SMART TV SECURITY」、ゲームプレイ時に見やすい画面サイズ(縮小)と位置が選べる「リサイズ機能」、テレビ画面で視力チェックできる「めめログ」、ズーム2画面、録画番組の時短再生(音声付きの1.5倍速・2倍速再生/4KもOK)などに対応する。
■参考資料
●4K有機ELテレビ
AQUOS QD-OLED「HS1 line」
4T-C65HS1 オープン価格(市場想定価格605,000円前後 税込) 5月31日発売
4T-C55HS1 オープン価格(市場想定価格440,000円前後 税込) 5月31日発売AQUOS OLED「HQ1 line」
4T-C65HQ1 オープン価格(市場想定価格440,000円前後 税込) 6月21日発売
4T-C55HQ1 オープン価格(市場想定価格352,000円前後 税込) 6月21日発売AQUOS OLED「HQ2 line」
4T-C65HQ2 オープン価格(市場想定価格385,000円前後 税込) 6月21日発売
4T-C55HQ2 オープン価格(市場想定価格286,000円前後 税込) 6月21日発売
4T-C48HQ2 オープン価格(市場想定価格253,000円前後 税込) 6月21日発売
4T-C42HQ2 オープン価格(市場想定価格242,000円前後 税込) 6月21日発売●4K Mini LEDテレビ
AQUOS XLED「HP1 line」
4T-C75HP1 オープン価格(市場想定価格572,000円前後 税込) 5月31日発売
4T-C65HP1 オープン価格(市場想定価格440,000円前後 税込) 5月31日発売
4T-C55HP1 オープン価格(市場想定価格352,000円前後 税込) 5月31日発売AQUOS XLED「HP2 line」
4T-C50HP2 オープン価格(市場想定価格253,000円前後 税込) 6月21日発売
4T-C43HP2 オープン価格(市場想定価格242,000円前後 税込) 6月21日発売■シャープ AQUOSサイト
https://jp.sharp/aquos/
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