「あの人」が言うこと、なすこと癇に障ってしかたない、という相手がいる。精神科医の和田秀樹さんは「おそらく、相手の“その人”は優位性にこだわるタイプで、あなたは無意識にそれに反応してしまっている。人間関係を感情関係として見つめ直せば、上手に対処できるようになる」という――。(第2回/全3回)
※本稿は、和田秀樹『「困ったあの人」に感情的にならない本』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
苦手な人とは、感情が反応する人
あなたがつい感情的に反応してしまう相手が、友人や近所の人、あるいは会社の上司や部下、同僚の中にもいるはずです。
好きとか嫌いとかというのとはまた別に、どうしても感情にさざ波が立ってしまう相手です。
その人たちはきっと、自分の優位性にこだわる性格だと思います。だからあなたに対して、高圧的だったり挑戦的だったりします。それであなたの感情は揺さぶられてしまうのです。
押されれば押し返そうとするのが「感情」
相手が部下や後輩なら、「こんなやつになめられてどうする」という気持ちになるのは当然のことです。
上司や先輩だとしても、高圧的にこられると「ちょっと待て」という気持ちになります。「自分だってずいぶん雑な仕事をしているじゃないか」と言いたくなるのです。これも感情的には自然な流れです。
つまり、感情というものは押されれば押し返そうとします。相手が強く出てくれば、こちらも負けまいと強く出てしまいます。
あるいは性格的に気弱な人は、相手が強く出れば引っ込んでしまうこともあります。でもその場合は、あとで不機嫌になります。自分が情けなく思えてくれば、自己嫌悪さえ抱くでしょう。これは最悪の感情です。