原因は自分にある。「核心触発イノベーション」特集|“ゲンジブのコア”に触れる4thアルバム完成

原因は自分にある。が、4月23日にニューアルバム「核心触発イノベーション」をリリースした。

昨年11月に2度目のアリーナワンマンを成功させ、ユニバーサルミュージックとのパートナーシップ締結を発表。そこから5カ月を経て完成した4枚目のアルバム「核心触発イノベーション」は、ゲンジブのCore(核)である“哲学 / 文学表現”に新しい解釈がFeel(触れる)することによって生まれる革新的作品集、というコンセプトのもと制作された。

リリースを記念し、音楽ナタリーではメンバー全員にインタビュー。新曲の話題はもちろん、原因は自分にある。というグループ、そしてメンバーそれぞれの“核”にあるものについて、思いを語ってもらった。

取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 曽我美芽

僕らの中に深く刻まれるアルバムに

──4枚目のアルバム「核心触発イノベーション」が完成しました。このアルバムは、皆さんにとってどんな意味を持つ作品になったでしょう?

大倉空人 今回のアルバムのテーマは「Feel Core」。僕たち原因は自分にある。の核に新たな解釈が“触れる”ことで、どんな音楽が生まれるか?というコンセプトなので、僕らが約5年半の活動の中で貫き通してきた“ゲンジブっぽさ”にあふれた楽曲はもちろん収録されていますし、新たに挑戦したいろんなジャンルの楽曲も「Feel Core」というキーワードのもと統一感がある内容になっています。ユニバーサルさんとパートナーシップを締結して1作目のアルバムなので新しい風が吹いていますし、今の僕たちがぎゅっと詰まった作品になったと思います。

大倉空人

大倉空人

杢代和人 “新しい風”の最たるものが.ENDRECHERI.(堂本剛)さんに「LLL」という曲を提供していただいたことだと思うんですが、このタイミングでこんな素敵な出来事があったのも巡り合わせだと思っていて。あるじゃないですか、思いがけず幸運が重なることって。それがこのアルバムでも起きて、新しい出会いや運みたいなものも詰まっているから、僕らの中に深く刻まれるアルバムになったなとも感じてます。

──“新たな解釈が触れる”というアルバムコンセプトに関して、制作の中で皆さん自身が「これは今までの作品になかったな」と感じたポイントは、例えばどういったものが挙げられるでしょう?

大倉 これは全体を見たときに僕がすごく感じたことなんですけど、今回のアルバムには「蝋燭」「Mania」「多分、僕のソネット」「P-P-P-PERO」と、個々の俳優活動に紐付いたタイアップ曲が今までのアルバム以上に多く収録されているんです。それに気付いたとき、1人ひとりが外でもがんばって、ステージに立つときは7人で大きな輝きを放つという、そういった僕らの特徴が作品にも現れたと解釈しました。それぞれにがんばって活動してきたからこそ、こういう解釈が新たに得られたんじゃないかなって。

──確かに、5曲の主題歌、テーマソングを含む全14曲という曲数の多さは皆さんそれぞれの活動の成果にも起因しているのかもしれないですね。

長野凌大 1曲を挙げて言うと、リード曲の「因果応報アンチノミー」は、ここまで5年半活動してきたからこそ歌える曲だと思います。1番のAメロ、Bメロはすごくゲンジブっぽい、独特の言葉遊びやリフがあったりするんですけど、サビに入ると急にサビっぽく……J-POP特有のエモさを感じるようなメロディ展開になるんです。曲を作ってくれた久下真音さんに話を聞くと、この曲はサビを何度も何度も変えたそうで。もともとのサビはみんなが想像するような、ゲンジブのリード曲らしい雰囲気だったものを、「もっと挑戦してみよう」と今のメロディに決めたとおっしゃっていました。僕にとっては、この展開は衝撃的に新しい感覚があって、1つの挑戦だと……新解釈な部分だなと感じています。

長野凌大

長野凌大

潤くんが歌うことにすごく意味がある

──そのリード曲「因果応報アンチノミー」からお話を伺えればと思うのですが、最初にこの曲を聴いたとき、皆さんはどんな印象を持ちましたか?

小泉光咲 一度聴いただけで口ずさめるパートがいくつもあって、僕は「中毒性がめちゃくちゃあるな」と感じました。そこから歌詞をしっかり読んでいくといろいろな解釈ができるから本当に飽きないです。一度聴いただけでも耳に残るし、たくさん聴いても面白い。ゲンジブらしさのいいとこ取りをした楽曲だなと思います。

吉澤要人 久下さんはデビュー曲(「原因は自分にある。」)からずっと僕らに関わってくださっていますが、「因果応報アンチノミー」では本当に、久下さんのゲンジブに対する愛を感じました。久下さんの持つ能力は僕らに計り知れないほどだと思うし、僕らがまだまだ知らない一面もたくさんあるとも思うけれど、1曲の中にこんなにも久下さんの力を詰め込んでくれるんだという喜びがすごくありました。クセになるメロディと歌詞の言葉遊び、1曲とは思えないほど平メロとサビの変化をつけてくれるところも、「すべてを懸けて僕らに楽曲を提供してくれたのかな」と思ってしまうほどで。今までももちろん愛を感じて「一緒にがんばらせていただきたいな」という気持ちでやってきたんですが、改めてこんなに素敵な楽曲を書いていただけると……僕らはこの愛を力に変えていかなきゃいけないなと思います。

大倉 僕は、潤くんが歌ってるサビがすっごい沁みました! ゲンジブの“原点”を感じたというか。久下さんの解釈とは違うかもしれないけど、潤くんはデビュー曲「原因は自分にある。」のサビを5年半ずっと1人で歌ってきたじゃないですか。今となっては、ほかのメンバーもしっかりとサビを担えるようになったけど、ここへ来て表題曲のサビを潤くんが「おかえりエンジョイ」と歌っているのが、原点回帰のように思えて。この歌詞を潤くんが歌うことにすごく意味があると僕は勝手に思ってしまっているんです。だから、一番響いたのは「おかえりエンジョイ」です。

──素敵な解釈ですね。潤さんは今のお話を聞いていかがですか?

武藤潤 原点回帰という解釈はあるのかなと僕も思っていて。Aメロ、Bメロの掛け合う感じは「嗜好に関する世論調査」(2020年1月リリースの2ndシングル)に近いなと思いますし、間奏では「原因は自分にある。」のサビのメロディが取り入れられていたり。新しいことに挑戦している側面があるけど、ある意味集大成のようにも感じます。

武藤潤

武藤潤

舌打ちで表す僕らなりの答え

杢代 あと僕が思ったのは、「アンチノミー」(二律背反)って、例えば宇宙は無限なのか有限なのか、矛盾する考えが同時に存在しているということを表す言葉だと思うんですが、僕らはこの曲でそれに対して“舌打ち”をしています。言ってしまえば「どっちでもいいよね」って。「何が正しい、何が悪い」って言語化して、口だけいろいろ言う人もいる。でも、そんなのどっちでもよくない?ってことだと思うんです。「今を生きろ」じゃないですけど、頭で考える前にこの曲を聴いて楽しもうよって。そう解釈すると、2番のAメロで雅哉が言ってる「もうええでしょ」も、流行り言葉をただ使っているだけじゃないように感じます。

大倉 「地面師たち」の後藤のセリフね。

杢代 面白い要素がたくさんある曲だけど、最後は舌打ちで終わるというのは「僕たちにとっては舌打ちする程度のことだよ」って。こういう嘲笑的な態度は、原因は自分にある。にしかできない表現だよなと思います。凌大もさっき言ってくれたけど、原因は自分にある。として5年半活動してきたからこそ歌える曲だと思う。

吉澤 曲中「Antinomie」という言葉が何度も出てきますけど、最後だけ「Antinomie」を「アンチのみ」と発音してるんです。僕のパートなんですが、ここは“アンチだけ”という意味を込めているんだということを、レコーディングのときに久下さんから教えていただいて。そうやって世の中に訴えかけるようなラストです。

吉澤要人

吉澤要人

──聴いていて、ドキッとする終わり方だなと思いました。

吉澤 最後の最後にハッとさせられますよね。僕らなりの答えの出し方というか、世の中への提示を1つ、ちゃんと残せるのがいいなと思います。

──「もうええでしょ」の声は雅哉さんだったんですね。

杢代 ここ、パンチラインですよね。

桜木 でもホント申し訳ないんですけど、僕「地面師たち」をまだ観てなくて……。

長野 ええ! じゃあ僕に言わせてくれよ。

杢代 いや、僕に言わせてくれよ。

長野杢代 (情感たっぷりに)「もうええでしょう!」。

桜木 原型を知らないまま言ってみたら「いいね」と褒められました(笑)。

桜木雅哉

桜木雅哉

“舌打ち選手権”優勝者は

──ちなみに、「ほいほい●でついて行っちゃって / 逝っちゃって」で“ピ一音”が入るじゃないですか。“ピー”の下は、何か特定の言葉を言っているんですか?

小泉 これはもう本当に、聴く方の解釈で自由に埋めてくださいという部分です。

大倉 久下さんもそうおっしゃってましたね。

──面白いですね。普通、曲中に“ピー音”は入らないですから。

小泉 ホントに、びっくりしました(笑)。

大倉 曲中の“ピー音”が入るのは、「フリースタイルダンジョン」か「高校生ラップ選手権」くらいでしょ。

小泉 僕と雅哉が歌っているんですけど、“歌・ピー・歌”なので、実は歌い方がめっちゃ難しくて。ミュージックビデオ撮影のリップシンクも大変でした。

小泉光咲

小泉光咲

──あともう1つ、先ほど話題に挙がった舌打ちは誰が担当しているんでしょう?

小泉 これは誰が担当するか、“舌打ち選手権”をしたんです。

杢代 その結果、要人になって。

吉澤 僕、舌打ち得意なんですよ。

長野 それはいいのか?(笑)

小泉 要人のレコーディングの順番が最後のほうだったこともあって、たまたま要人になったんだよね。

吉澤 頑なに認めてくれない(笑)。

大倉 まあまあ、もうええでしょう。要人の舌打ちの音圧がよかったんだろうね。

小泉 でも実際、ダンスパフォーマンスの演出的にも要人がふさわしいと思います。

杢代 「アンチのみ」と言っているのも要人だしね。

杢代和人

杢代和人

──そのパフォーマンスについてもぜひ聞かせてもらえますか?

大倉 この曲は、タットダンスがポイントです。

長野 手首を90°に曲げて、腕を細かく動かす振りです。あと、普段の僕らは表情で魅せることも意識していますけど、「因果応報アンチノミー」ではあえて目を隠してみたり、そうやって1つアイドルの概念を覆すというか。一種のアンチテーゼ的な意味合いを含むような表現も、ところどころに入っています。

大倉 「Museum:0」を振付してくださったKANUさんが今回も振りを担当してくださったんですが、KANUさんが作ってくれるフォーメーションダンスがすごく素敵なんですよ。個人的に見てほしいのは、2番で4対3に分かれるところ。それぞれのグループで踊って、そのあとに7人がダイナミックな振りで集合するんです。ライブで注目してほしいです。