中居正広氏の性暴力についてフジテレビの第三者委員会の調査報告書が公表されてもうすぐ1カ月になる。ここでちょっと想像してほしい。フジテレビ側が今も「自分たちの対応は適切だった」と言い張っているとしたら? そんな馬鹿なと思うかもしれないが、兵庫県では次の事態になっている。

懸念はすでに的中していた

『第三者委報告から1カ月 「違法」認めぬ斎藤知事、職員から不満の声』(4月19日 朝日新聞デジタル版)

斎藤元彦兵庫県知事 ©︎時事通信社

 第三者委は、斎藤元彦知事の職員へのパワハラ10件を認定した。県が告発者を元西播磨県民局長(故人)と特定し、公用パソコンを回収し、告発文書の作成を理由の一つとして懲戒処分した点を「違法」だとした。しかし斎藤知事は「県の対応は適切だった」として、元県民局長への処分は見直さない構えを見せている。(4月19日 朝日新聞デジタル版より一部引用)

 読売新聞の社説は「これでは、再び同じような事態が起きても、また告発者潰しをやると言っているに等しい」とドン引きしていた。毎日新聞社説も「そうした行為が容認されるなら、トップに不祥事があっても、部下は報復を恐れて告発を控えるようになる」と危惧していた。

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 ところが、衝撃はさらにここからだ。懸念はすでに的中していたのである。次のニュースを見てほしい。

『兵庫県第三者委員会、報道機関の“情報源”を調査 週刊文春が対象に』(4月5日 TBSテレビ)

 この第三者委は先ほどとは別だ。元県民局長の公用パソコンに保存されていた私的な情報の漏洩の有無を確認する調査だ。ここまでは理解できるが驚くのはここから。県が第三者委を設置する際、週刊文春電子版記事の情報源も調査するよう依頼していたのである。調査対象とされた文春報道はいずれも公益通報への県の対応を批判するものだった。「また告発者潰しをやる」と危惧されていたが、すでにしていたのである。怖すぎる。