終了の音楽も無視し…主演男優賞受賞のエイドリアン・ブロディ、アカデミー賞史上最長スピーチ
第97回アカデミー賞
上映時間3時間35分(15分インターミッションを含む)という大長編の映画『ブルータリスト』で第97回アカデミー賞主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディは、その受賞スピーチもとても長かった。45秒ルールがある中、5分40秒にわたってスピーチを続け、アカデミー賞史上最長を記録したとアメリカの各メディアが報じている。
【画像】大胆ドレス続々!第97回アカデミー賞レッドカーペット
ギネス世界記録によると、これまで最長記録を保持していたのは『ミニヴァー夫人』の女優グリア・ガーソン。彼女は1943年のアカデミー賞授賞式で5分30秒にわたって受賞スピーチを行ったのだという。
今回エイドリアンは、ライバルとみなされていた『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』の若きティモシー・シャラメを抑えて2度目のオスカー主演男優賞を手にし、『戦場のピアニスト』(2002)で打ち立てた同賞の史上最年少(29歳と343日)受賞記録も守った。感激もひとしおだったようで、ステージに立つと恋人であるジョージナ・チャップマンへの感謝や、俳優業がいかにもろく、一瞬でキャリアを失う可能性があることなどをつらつら語る。
終了時刻を告げる音楽が鳴り始めても、「音楽を消してください! 以前にもやっているんでわかっているんです! 短くしますから」とスピーチを継続。『戦場のピアニスト』に続いてホロコーストを扱った『ブルータリスト』で受賞したことに触れ、「わたしは、戦争や組織的な抑圧、反ユダヤ主義や人種差別などの根深いトラウマや影響を代弁するために再びここに来ました。より健全で、より幸せで、もっと包括的な世界になることを祈っています。過去から何かを学べるとしたら、それは憎しみを野放しにしてはいけないということだと思います」などと、最終的に5分40秒にわたってスピーチした。
『ブルータリスト』は、ホロコーストを生き延びてアメリカへ渡ったユダヤ人建築家(エイドリアン)の数奇な半生を30年にわたって描いた圧巻の人間ドラマ。俳優出身・36歳のブラディ・コーベット監督は、架空の人物の光と影の半生を3時間35分かけて観客に追体験させる。(編集部・市川遥)