主演女優賞は『ANORA アノーラ』マイキー・マディソン！25歳の新たなスター
第97回アカデミー賞
第97回アカデミー賞授賞式が現地時間2日にロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、主演女優賞は映画『ANORA アノーラ』のマイキー・マディソンが受賞した。25歳の新星が、オスカー初ノミネートにして初受賞の快挙を成し遂げた。
『ANORA アノーラ』は、ロシア新興財閥のバカ息子と電撃婚をしたストリップダンサーのアノーラが、結婚を取り消そうとする彼の両親とその手下たちの猛追を受けるさまを描いたコメディードラマ。監督・脚本のショーン・ベイカーが生命力あふれるアノーラ役に抜てきしたのが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』（2019）、『スクリーム』（2022）などに出演してきたマイキーだ。
スピーチの冒頭で「これは本当に夢のようです」と語ったマディソンは、「ハリウッドは遠い世界のように感じていました。今日、こうしてこの場に立っていることが本当に信じられません」と心境を告白。セックスワーカーたちに敬意を表して、「私はこれからも彼らを支え、味方であり続けます。コミュニティーの中で出会うことができた素晴らしい人々との交流は、私にとって特に印象深いものとなりました」と感謝を述べた。
社会の片隅で生きる人々への真摯な視線に定評があるベイカー監督。マイキーもアノーラという人物を知り尽くしてから撮影に臨みたかったといい、数か月かけてポールダンスの特訓をし、訛りも習得。アノーラが暮らすロシア人街ブライトン・ビーチに実際に住み、ストリップクラブに通ってダンサーのしきたりや生活を学ぶという徹底した役づくりを行った。第77回カンヌ国際映画祭でお披露目されるや鮮烈な印象を残して「新たなスター誕生」だと賞賛されていたマイキーが、『サブスタンス』のデミ・ムーアという強力なライバルを抑え、25歳の若さでオスカー主演女優賞も獲得した。
マイキーは本作の演技で、第50回LA批評家協会賞、第78回英国アカデミー賞、インディペンデント・スピリット賞なども受賞している。（編集部・市川遥）