- 55歳のシャイ・エフラティ医師は、自身について、20年前より健康になっていると話す。
- 長生きしたい患者への彼のアドバイスは、リタイアしないことだ。
- エイジングに関する別の専門家も、リタイアは長生きに悪影響をもたらすと同意している。
長寿のある医師は、寿命を延ばす最大のアドバイスは、リタイアしないことであると語った。
テルアビブ大学の医学および神経科学の教授でもある医師のシャイ・エフラティ(Shai Efrati)は、脳のMRI画像、認知機能や身体機能の検査結果など、過去20年にわたって自身の健康状態を記録してきた。彼は、自身の健康の指標が、30代だったときより今の方が良くなっていると、Business Insiderに語った。
高圧酸素療法のクリニックをフロリダで創業したエフラティは、加圧室で酸素を吸入する治療法が、彼の健康に役立っているという。高圧酸素治療は、加齢のバイオマーカーを逆転させるとされているが、アメリカ食品医薬品局(FDA)はこれを承認していない。
しかし、健康的に歳を取りたいという患者への対応で、エフラティの最大のアドバイスは、できる限り長く働き続けることだ。
仕事は目的意識を与えてくれる
「最も重要なことは、未来があることだ」とエフラティは言う。彼は、他人から必要とされることが、目的を見つける唯一の方法だと話した。
「もちろん、建設現場など身体的にきつい仕事なら辞めたほうがいい。だがそうでないなら、リタイアしないことだ。もし一つの仕事を辞めるなら、別の仕事を見つけよう。目的のために戦い、何かのために必要とされる存在になろう」
エフラティは、まだ不動産の仕事を行い、火星に建物を建てる方法について考えている90代の患者を例に出した。彼は、この男性の行動と目的意識が、40代ですでに引退してのんびりしている人より、寿命を延ばす医学的治療を受けるのに適していると語った。
2019年に、51歳から61歳の6985人の患者を対象にした調査研究で、人生に対する強い目的がある人は、16年から18年後の追跡期間に亡くなることが少ないことがわかった。論文の著者たちは、目的意識が幸福につながり、炎症レベルの低下と関連すると述べている。
仕事に就くことは、長生きに繋がる
キングス・カレッジ・ロンドン(Kings College London)の老年学教授で、仕事、健康、平均寿命に関する研究「WHERL(Wellbeing, Health, Retirement and the Lifecourse)」の主任研究員であるカレン・グレイザー(Karen Glaser)は、あまりストレスのない、身体的負担のない仕事を続けることは、認知能力保護の可能性があると以前Business Insiderに話している。
しかし、引退すると、長寿に関連する社会的なつながりを失うことになるとグレイザーは指摘する。BMC Medicine誌で2023年に発表された研究で、社会的に孤立した38歳から73歳の人は何らかの原因での死亡リスクが77%高くなることがわかった。
世界の高齢者の年齢について検証する組織、LongeviQuestの研究員である、ベン・メイヤーズ(Ben Meyers)とファブリツィオ・ビラトロ(Fabrizio Villatoro)は以前Business Insiderに対し、彼らが出会った1000人以上のスーパーセンテナリアン(100歳を超える人々)に共通する特徴は、できるだけ長く仕事に尽力することだと話している。
そして、マサチューセッツ大学医学部の生物学教授で、健康寿命について研究するハイディ・ティッセンバウム(Heidi Tissenbaum)は、体と脳を活動的に維持することが、健康的に長生きする人生には必要不可欠であると語った。
ボランティアや趣味を持つことでも同じメリットが得られると、グレイザーは語った。重要なのは、雇用されることそのものではなく、忙しく過ごすことだ。